AI奮闘記~AIは進化した。私のツールは退化した~
# 完成したツールは、アップデートで壊れる
――AIとの終わらない修正合戦――
「よし!」
ついに完成した。
LINEアニメーションスタンプを量産するためだけに作った専用ツール。
文字を入力して、キャラクターを選んで、ボタンを押す。
すると、画像が生成され、背景が透過され、アニメーションになり、LINEスタンプ用のサイズまで全部作ってくれる。
しかも、これだけじゃない。
個別保存。
ZIP保存。
作成したスタンプ一覧。
メイン画像。
タブ画像。
文字に合わせたアニメーション。
欲しかった機能は全部入れた。
ここまで作るのに使ったクレジットは、およそ二千。
「まあ、完成したんだから安いものかな。」
そう思っていた。
……その時までは。
数日後。
Flowのアップデート通知が表示された。
「アップデートか。」
まあ、性能が上がるんだろう。
そんな軽い気持ちで、いつものようにスタンプを作ってみた。
……
「あれ?」
キャラクターが切れている。
文字も切れている。
昨日まで普通にできてたよね?
まあ、アップデート直後だから、こういうこともある。
私は修正をお願いした。
するとAIは、自信満々にこう答えた。
「修正しました。」
仕事が早い。
期待しながら、もう一度生成する。
……
おぉ!
今度は切れていない!
「やった!」
……と思った次の瞬間。
「あれ?」
今まで320×270だったものが、違うサイズになっている。
これじゃ今まで作ったものと混ぜて使えない。
「サイズだけ戻して。」
「修正しました。」
ありがとう。
生成。
……
「あれ?」
今度は画像取り込みがなくなってる。
「え?」
「修正しました。」
もう一度生成。
……
「あれ?」
今度はZIP保存しかない。
「個別保存は?」
ない。
「一覧画面は?」
ない。
「メイン画像保存は?」
ない。
「タブ画像保存は?」
ない。
「えっ?」
私は思った。
「直してるんだよね?」
もう一度お願いする。
「修正しました。」
ありがとう。
生成。
……
「文字に合わせるアニメーションは?」
「おまかせになりました。」
いやいやいや(笑)。
そこ変えなくていいんだって!
しかも、そのたびに返ってくる言葉は同じ。
「修正しました。」
もう、この言葉を見るだけでドキドキするようになってしまった。
「今回は何が消えたんだろう……。」
そんな気持ちでボタンを押すのである。
一番笑ったのは、その後だった。
AIが真面目に提案してきた。
「プロンプトを工夫しましょう。」
……
違う。
そうじゃない(笑)。
プロンプトを工夫するのが面倒だから、このツールを作ったんだよ!
毎回AIにお願いするのが面倒だから、
ボタン一つで、
誰でも、
同じ品質で、
量産できるようにしたかったのである。
そこを頑張るなら、このツールの存在意義がなくなる(笑)。
しかも、Flowはアップデートが結構多い。
一回ならまだいい。
でも、短期間で何度もアップデートされる。
そのたびに、
「画像が切れた。」
「サイズが変わった。」
「機能が消えた。」
「また別の機能が消えた。」
その修正をお願いするたびに、クレジットは減っていく。
私は思った。
「これ……完成する日は来るの?」
もちろん、Flowが嫌いになったわけじゃない。
むしろ逆だ。
Geminiとのチャットだけで試行錯誤していた頃より、Flowを使うようになってからはトライ&エラーは少なくなった。
だからこそ、クレジットを使ってでもFlowで作るようになった。
でも。
アップデートのたびに完成したツールを作り直すことになるなら話は別だ。
「もう直すのやめよう。」
そう思った。
修正し続けても、直る保証はない。
クレジットだけが減り、不満だけが積み重なっていく。
だったら、一度壊して作り直した方がいい。
アップデート後の仕様に合わせてスクラップ&ビルドした方が、きっと修正を繰り返すより少ないクレジットで完成できる。
そう考えたら、それだけでストレスは随分楽になった。
今回の出来事で、一つだけ分かったことがある。
AIの進化は、本当にすごい。
昨日できなかったことが、今日はできるようになる。
それは間違いない。
でも、その代わり。
昨日まで普通に動いていたものが、今日のアップデートで動かなくなることもある。
AI時代のツール作りって、「完成させること」じゃないのかもしれない。
完成したものを、進化に合わせて育て続けることなのかもしれない。
……いや。
完成したと思っていた。
……いや、完成したんだ。
完成したのは私のツールじゃない。
**「アップデートされるたびに完成から遠ざかるツール」**だった。
AIの進化は速い。
でも、私のクレジットが減る速度は、そのさらに上をいっていた(笑)。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
これは、実際にAIを使ってLINEアニメーションスタンプ作成ツールを作っていたときに起きた、本当の出来事です。
AIで小説を書くことはあっても、本当に奮闘するのはアプリや映像を作っているときです。
思いどおりに動いたと思えば、アップデートで動かなくなる。
修正したと思えば、今度は別の機能が消えている。
そんな予想外の出来事が、次から次へと起こります。
今回は、その中でも一番笑ってしまった出来事を書いてみました。
きっと、また新しいAIに挑戦すれば、新しい事件が起きると思います。
そのときは、また『AI奮闘記』として皆さんにご紹介したいと思います(笑)。
それでは、また次の『AI奮闘記』でお会いしましょう。




