表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
59/64

day.59

次の日から、新学期が始まった。

久々の大学で、久々に浩二と会った。


「よっす、純也。今年は全然会わなかったけど、元気にしてたっぽいな。」


左手を軽く上げて挨拶する浩二に、俺も挨拶し返す。


「はよ。あの時はサンキューな。マジで助かった。」


今年の夏休みはずっと、バイトか冬悟と一緒に過ごしていたから、浩二とは2回しか会っていなかった。

しかも、その内1回は、俺が風邪を引いた時に、呼び出して来てもらったやつだ。


「はぁ〜あ。とうとう純也が全然遊んでくれなくなったな~。どうせ、ず〜っと諏訪さんに夢中だったんだろ〜なぁ〜。俺寂し〜な〜。」


机にダラッと上半身を倒しながら、ニヤニヤしてくる浩二を、軽く睨みつける。

だけど、図星のため、強く言い返せない。


「全然寂しくなんてねぇくせに、よく言うぜ。浩二だって、小百合さんと遊んでたんだろ?」


それでも、なんとか言い返そうとして、反撃すると、浩二の顔が突然、しょんぼりしてしまった。

絶対に惚気られると思っていた俺は、予想外の反応に困惑する。


「えっ……と?まさか、あれからあんまり進展なかったのか?」


しょんぼりから、どんよりに変わってしまった浩二の雰囲気に、流石の俺もオロオロしてしまう。


「えっ??嘘だろ!?だって、この前は仲良く花火大会行ったって、言ってたじゃねーか!?」


「………それがさ、その後は全然よかったんだけど、ここ1週間くらい、急に忙しくなったからって言われて、全然会ってももらえないし、連絡も返ってこなくなったんだよね………。これってさ、どう考えても、もう脈ナシってことだよな………?」


「そんなことねぇよ!!」


思わず大声で否定するも、周囲からの痛い視線に、一旦口を閉ざした。

小声でコソコソと話しを再開する。


「んなわけねぇだろ!?しかも、たかだか1週間だろ!?小百合さんも社会人だから、いろいろあって忙しいだけだって!冬悟だって、忙しそうな時あるしさ!」


「たかだかって、言うけどなぁ。お前だって、諏訪さんと1週間も離れられないだろ?」


「ゔっ……。」


「それに、お前らはさ、一緒に住んでるから、お互いの状況がわかるけど、俺はわからねぇからさ……。LINNEだって、最近は既読スルーはおろか、未読が多いし………。その、上手く言えねぇけど、何かいつもと感じが違うのが、不安なわけよ。」


な、なんてこった!!

こんなにベコベコにヘコんでいる浩二なんて、今まで見たことがねぇ!

なんとか元気付けてやりたいけど、今は下手したら、傷口に塩を塗るだけになるかもしれないし。

どうしよう……。


ただ、ここ1週間くらいってのが、ちょっと引っかかる。

それって、冬悟の様子が変わった時と、丁度同じ頃だしな。


でも、ただの偶然かもしれない。

だけど、もし、偶然じゃなかったら?


「そっか……。わかった。俺、浩二の分までがんばるからな!」


「いや、何をだよ。」


はぁ?と疑問を浮かべている浩二を余所に、俺は内心で、冬悟の口を割らせるべく、気合いを入れた。





今日の講義を全て受け終え、帰り道を歩きながら、冬悟にどうやって抱えている問題を聞き出すかを考えていた。


だけど、今回も今回とて、当人からは聞き出せる自信はない。


それに、もしその内容が、俺が力になってあげられないことだったら?

その場合、どうやったら、冬悟を支えてあげられるんだろう―?


うーんと思考を巡らせていると、ふと真正面でイチャついているカップルが、目に入ってきた。

そのカップルの彼女が、彼氏の頭をなでなでしている。

頭を撫でられている彼氏は、嬉しそうにして、彼女に甘えていた。


こ、これだ!!


妙案を思いついた俺は、ダッシュで家に帰っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ