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day.38(川崎視点)

「ない、ない、ないわ!」


純也が失くしたお客様の大事な指輪を、他のお客様にバレないようにして、客席をこっそりと探す。

あのコ、大丈夫かしら。

自分を追い込み過ぎないといいのだけれど。

あのコのためにも、先輩としてアタシが見つけてあげなきゃ。


「おい、川崎、お前一体何してんだ?」


驚きと呆れが混じった声が、背後から聞こえてきた。


「あら、大林。何って、アレを探してるに決まってるじゃない!」


声の主である大林へ振り返り、オホホと笑った後、見てわからない!?と睨みつける。

だが、返ってきたのは、シラケた視線だけだった。


「いや、それはねぇわ。だってよ、観葉植物の中にはさすがにねーんじゃねぇかな。」


客席を隅々まで確認したけれど、それらしい物は見つからなかった。

だから、自分もまさかとは思ったが、念のためと、観葉植物を必要以上に探してしまった。


「やぁねぇ!そんなの、わかってるわよ!一応よ、一応。」


ふぅ、危ない危ない。パニクってるのがバレちゃうわ。

この男にだけは、弱みを見せたくないのよ。


「この部屋は隅々まで見たけど、例の物は落ちてなかったわ。あと、確認できていない場所といえば………お客様の足元だけよ。」


「足元か……厄介だな。」


そう、お客様の足元を確認するなんて、至極難題なこと。

テーブルクロスを1枚1枚捲っていくなんて、できやしない。

ましてや、足元を覗くなんて、絶対に許されない。

さぁ、どうするべきか。

アタシがスケボーにでも乗って、滑り込むしかないのかしら。


考えあぐねていると、隣がスッと動いた気配がした。

それに気付いて、視線を横に向けると、大林が忽然と姿を消していた。


「大林?」


「ちょっと黙ってろよ。お客様にバレたら一環の終わりなんだからな。」


下から声が聞こえ、そちらに目線を落とすと、なんと、大林が床に這いつくばって足元を見ているじゃないの!?


「ちょっ、ちょっと!アナタ、何してるのよ!!」


周囲にバレないよう、コソコソと小声で話しかけるが、大林は真剣に足元を見続けている。


「ちょっと!!大林!?」


「うっせえな、黙れって!…………ッ!…見つけた。」


「なんですって!!??」


スッと立ち上がり、そっと耳打ちされた。


「3番テーブルの下だ。」


「3…番……ですって?」


嘘だと言って欲しかったが、大林はコクッと頷いた。

絶望感が襲ってくる―。


「そのお客様は………依頼者当人じゃない!!どうすんのよ!!??」


「更に残念なことに、女性の椅子の下だ。」


ヒュッと息を呑んだ。

まさかの、絶対にバレてはいけない方の椅子の下―。


「残念も何も、それ終わったも同然じゃない!!」


「万事休すだな……。」


2人で頭を突き合わせて策を練ろうとするも、何も思い浮かばない。

ここまでなの?

諦めそうになったその時―。


「…失礼。あの下の物が取れればいいんですね?」


超イケメン紳士に声をかけられた。

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