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day.23

どこかで浩二達と合流できると思っていたのだが、結局上手くタイミングが合わず、合流できないまま夜になってしまった。

それでも、冬悟との2人の時間を楽しんでいた俺は、近くに人混みを見つけた。


「なぁなぁ、あれ何だろうな?」


「さぁな。気になるなら、行ってみるか?」


コクンと頷き、冬悟の手を引いて、その人混みに近づいていく。

何が始まるのかよくわからないまま、ざわざわと賑やかなそこに飛び込む。

周りのテンションに触発され、俺もよくわからないがそわそわし始める。


「何が始まるんだろ?」


「おい、落ち着け。」


段々と集まってくる人達に押され、思わず冬悟の手を離してしまった。

そして、そのまま人波に流されそうになる。


「うわっ!ちょっ、押すなって!」


このままはぐれたらヤバい。絶対迷子になってしまう。

何とか流れに逆らおうとしていると、グイッと力強く腕を引かれて、何かに衝突した。


「わっ!」


「…大丈夫か?」


気付いたら冬悟の腕の中にいた。

それだけでとても安心し、それと同時に、助けてくれたことに嬉しくなる。

そして、また胸がドキドキする。


「うん。ありがとう。」


これ以上はぐれないように、ギュッと冬悟に抱きつく。

今日は俺、ずっと冬悟にドキドキしてる。冬悟もドキドキしてるかな?

そっと冬悟の胸に耳を当ててみる。だけど、聞こえてくる心音は、ドクッドクッと規則正しいリズムを刻んでいた。

…ドキドキしてるの、俺だけなの悔しい。

どうしたら、冬悟をドキドキさせられるんだろう。


そんなことを考えていると、突然周りから歓声が上がり出した。


「な、何だ!?」


「純也、俺にへばりついてないで、前を見ろ。」


グイッと体を反転させられると、目の前のお城に幻想的な映像で、次々と見知ったキャラクター達が映し出されている。


「すっげぇ!これ何?」


「…プロジェクションマッピングだろう。」


「へぇ〜、綺麗だな!」


そう言いながら、後ろにいる冬悟に寄りかかると、スッと腰に手を回される。


「…別にどこにも行かんから、前を見てろ。」


「うん…。」


背中に温もりを感じながら、そのままショーを見続けた。



ショーが終わると、どうやら同じものを浩二達も見ていたようで、漸く合流することができた。

そして今、俺達はお土産店にいる。


「なぁ、冬悟はどのキャラが好き?」


「…特にこれが好きとかはない。そういうお前はどうなんだ?」


「俺?俺はこのアヒルが好き。」


そう言いながら、俺はペアで使える物を探していた。キーホルダーは、冬悟は使わなさそうだし、Tシャツとかも着ないだろう。

2人で使える何かいい物ねぇかな。


「なぁなぁ、浩二は何買うんだ?小百合さんと何かお揃いの物買ったりすんの?」


近くにいた浩二にススッと近づき、こそっと聞いてみる。


「いやいや!まだお揃いとか買える程仲良くなれてねぇよ!」


「そうか?合流したとき、めっちゃいい感じに見えたんだけど?」


ニヤニヤして見ると、少し照れたように、浩二は頬をポリポリと掻いた。


「全然まだまだだぜ。ただ、個人的に連絡してもいいとは言ってもらえた…かな。」


「マジか!!やったじゃん!一歩前進だな!」


バシバシと浩二の背中を祝福するように叩いていると、ふと、目の端にある物が見えた。


「俺、お土産これにしよっと。」


ある物を手に取り、冬悟の元へ向かう。


「冬悟、俺、これがいい。」


「…マグカップか?」


俺の好きなアヒルとアヒルの恋人が描かれているペアマグカップだ。これなら、朝とかに普通に使える。


「うん。冬悟とお揃いで使いたくて。俺がアヒルで、冬悟が女の子の方な。」


「………好きにしろ。」


初めてお揃いの物を使えるかもという嬉しさから、自然と笑みが溢れた。


皆でお土産を冬悟に買ってもらい、帰路に着く。

小百合さんとはネズミーランドの駐車場で解散し、俺と浩二は冬悟の車内で爆睡しながら連れて帰ってもらった。

浩二を送り届けた後、俺達は漸く自宅に帰ってきた。


「今日は楽しかった〜!」


自宅に着くなり、速攻でソファに飛び込む。


「おい、さっさと風呂に入ってこい。」


「ん〜。」


そのまま寝そうになるのに抗いつつ、ゴロッと寝返りを打ち、仰向けになる。


「冬悟も楽しかったか?」


「…それなりにな。」


下から見上げた冬悟の表情が、穏やかなことに満足し、よっと立ち上がる。

そして、冬悟にギュッと抱きついた。

今日の気持ちをちゃんと伝えておきたくて、まっすぐに冬悟を見つめる。


「今日は一緒に来てくれてありがとう。冬悟と遊べて嬉しかった。」


何だか照れ臭くなって、思わずへへっと笑うと、冬悟の目が優しく細められていく。そして、そっと頭を撫でられる。


「…そうか。ほら、さっさと風呂入ってこい。」


「はーい。」


この日は冬悟のベッドで一緒に眠った。

今日1日で、冬悟との距離はぐっと近づいたんじゃないかと思っていたのに―。



後日、冬悟の知り合いに偶然出くわした時、アイツはやっぱり俺のことを“従兄弟”として紹介しやがった。


何でだよ!?

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