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崩壊世界でマンション暮らし ~家賃はきっちりもらいます  作者: 二時間十秒


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国道沿いには食べ放題の店がだいたいある

 国道を歩く俺の前に雪代が、後ろにアンドラスがいた。

 挟み撃ちするように近づいてくる二人に俺は声をかけ、


「二人もここに来てたのか」

「九重さんこそ。やっぱりこの辺がどうなってるか気になってたんだねー」

「まあ、これまでずっと来られなかったからな。鬱陶しいやつらがいなくなったことだし、何があるかじっくり調べてやろうと思って。雪代もだろう?」

「うん。もちろん。ずーっと、地図見ながらイライラしてたんだよねー。アンドラスさんも実は気になってたんだ?」

「はい。実はそうなのです。自分もこの世界のことについて調べたところ、国道というものの近くには飲食店が多くあるそうなので、ぜひ来てみたいと」

「あーなるほどねー。アンドラスさんも好きだねー」


 そういうことか、新しい場所で新しい食を探しに来たと。

 口には出してなかっただけで、アンドラスはずっとこの時を待っていたのかもしれない、なんならマンションで一番。


「せっかく合流したなら一緒に近くを調べていくか。調べる建物はたくさんあることだしな」


 ざっと見渡しても、色々な店があるのがわかる。

 ファストフード店の倒れた看板、回転寿司、焼き肉食べ放題、飲食店がやまのように。さらに大きな衣料品店、靴屋、ドラッグストア、コンビニなど。


 これだけあれば結構期待できるんじゃないか、少しは役に立つものがあるはずだ。

 俺達は張り切って国道沿いの探索を始めた。




 ――しかし。


「えー! また空っぽ! なんなんだよもー!」


 雪代が衣料品店の空っぽの商品棚をバシバシと手で叩く。


「衣服もないとは驚きですね。食べ物がないだけでなく」


 アンドラスも崩れた壁のむこうに見える焼き肉屋を遠い目で見ながら呟いた。


 飲食店にも、衣料品店にも、何も残っていなかった。

 飲食店に生物がないのはしかたないとして、ソースやタレくらいはあるかと思ったのだがそれもない。

 衣料品も見事に何も無い、正確には子供服くらいは残ってるが、俺達には着れない。


 回転寿司にもツナやコーンの缶も何も無いし、靴屋にも何もなかった。

 商品が魔石化して崩れ去ってしまったものもあるだろうが、それにしたって全部ないというのは極端だ。


 となると、考えられるのは。


「あいつらが持っていった後か」


 南の無法者、このあたりを縄張りにしていたなら、国道沿いの店も漁ったんだろう。それですっからかんになっている。

 せっかく来たっていうのに、壊滅した後まで迷惑な奴らだ。


「くうー! なんで全部持ってちゃうの! そこまで使わないでしょ絶対!」

「やつらの考えてそうなことはわかる。残しておいて他人に使われるくらいなら、必要ない分まで持っていってしまおうってことだろう」

「はぁー、最低。せっかく南に来られるようになったっていうのに。がっかりも二倍だよこれじゃあさあ」


 地団駄を踏む雪代にアンドラスも同調した。


「これほど多くの飲食店があるのに、美味が残っていないとは許せないことです。無法者という言葉では足りませんね。まさに悪魔です」

「悪魔はアンドラスだろう」

「ふふっ……」


 アンドラスがそんな冗談を言うとは、表情は笑ってはいるが、内心は相当キレてるなこれは。

 だが、どっちにしろもう何ヶ月もたつから寿司ネタも肉もなかったとは思う。


「どうするのー、九重さんー」

「多分、他の店も同じようなもんだとは思うが……」

「だからといって、中を見ずに帰るというわけにもいきませんね」


 そのとおりだ。多分無駄だけど、無駄だということを確定させるまでは、せっかくの店を調べないわけにもいかない。


 今日一日が始まったときとの期待感とは裏腹に、だいぶテンションが下がったまま、俺達は国道沿いを見て回った。

 やはりなんの成果もあがらず時間ばかりすぎていく。商品だけでなく魔石もなかった。魔石も無法者たちが集めていたからな。

 つまりは何も成果が得られていないまま時間だけすぎていて、もう国道は諦めるかと考え始めたその時だった。


「お二方、こちらを見てください」


 アンドラスが地面を指さしていた。

 そこには、ガレキが積み重なっているが、よく見るとその下には――。


「トンネル!? 地面に穴があいてるよっ」

「これは……この前と同じだ、山根を助けに行ったときと」


 そういえばあの時も地下トンネルが繋がっていた先は、南の国道近くだった。

 ということは、この辺りでは地殻変動が地下に起きて、トンネルができたり色々な建物が地下に沈んでいるのか?


「そうだとしたら、この先に元は地上にあった何かの建物があるかもしれない」

「地下ならあいつらに荒らされてないかも! 行こ行こ! 早く早く!」


 雪代が目にも止まらぬサイコキネシスでガレキをどけてトンネルに入っていった。俺とアンドラスも後に続き、先へと進んでいく。

 幸いこのトンネルには魔獣はいなくて、スムーズに先に進んでいくことができた。


 5分ほど進むとコンクリートの崩れた壁が見えてきた。


「ねえあれって!」

「ああ、何かしらの建物の壁に穴が空いてるんだ。やっぱり、この前と同じで何かしらの建物に続いてた」

「よっしゃー! 入ってみよ!」


 雪代がすかさずダッシュ。

 さりげなくその後ろからアンドラスもダッシュ。

 今日のアンドラスはかなり意欲的だ。


 そして俺も壁に空いた穴を通ると、中は思ったより何倍も広くなっていた。


 どうやらこれは……通路か?

 しかし通路といっても、相当広い。床もきれいな塗装がなされていて、通路の両サイドには小さなドラッグストアとドーナツ屋が……?


「なんだこの建物は」

「ショッピングモール! ショッピングモールだよこれ、彩草市に大きなモールができたって一年くらい前に話題になってたでしょ、あれだよ!」


 雪代が興奮気味にまくし立てているが、言われていみれば彩草市にモールができるっていう話は聞いた覚えがある。

 俺自身は行ったことなかったから印象にはなかったが、たしかにそれのようだ。


「ここは……色々な店がありそうですね。しかも、今見えている店には商品がいくつか残っています」

「まさに掘り出し物、見つけちゃったね」


 ウキウキなアンドラスと雪代――と正直に言うと俺もだ。

 三人のショッピングモールの旅が始まった。



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