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崩壊世界でマンション暮らし ~家賃はきっちりもらいます  作者: 二時間十秒


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大盛況

執筆が間に合わず休む週をなくすため、今後は火・木更新で連載していきます。今後ともよろしくお願いします。

 第二マンションと美容室を作ってから一週間。

 俺は様子を見に行くことにした。

 果たして利用者はどれくらいいるだろうか。


「うわ、本当に変なとこにワープした!」

「美容……室? 体育倉庫みたいなんだけど」

「こんなマホウあり?」


 結論から言うと、大盛況だった。

 第二マンションの門をくぐると、そこには10人以上の人が列を作っていた。


 美容室の感想を聞くつもりだったが、そもそもこのマンション空間への驚きがまずあるようだ。

 言われてみれば当然のことだった。俺達は慣れきってしまっていたけれど、この崩壊世界でこんな穏やかな空間があって、そこに転移できるっていう時点でまず普通じゃないことなんだから。


 マンション空間にいる半数はマンションの前に列を作って並んでいるが、残りの半数は並ばずマンション空間で気ままに過ごしている。

 ただ歩きまわったり、マンションの壁を訝しむように触ったり、芝生の上に大の字になったり、美容室よりむしろこの空間自体を見に来た人のようだ。


 しばらく様子を見ていると、美容室から人が出てきた。

 外で待っている人と言葉をかわしているのに耳をそばだてると。


「なんか青いのが髪切ったんだけど!!!」

「青いの? 何言ってるの?」


 そこからか。そこからだよな。


 と最初はあの群青色のシルエットへの驚きを口にしていたが、技術には満足しているようだった。自分の望んだ髪型にしてもらえたし、シャンプーやトリートメントもたっぷり使えてよかったと言っていた。

 外で待っていた人も「すっごいいい香り」と感じ入っていたことだし。


 それからしばらく見ていたが、他の客も満足しているようだった。

 評判がよくて幸いだ。これならリピーターになってくれそうだし、自警団の他の人達も噂を聞いて通うだろう。


 そうすれば……。


 第一マンションに戻ると、管理人室から管理用端末を操作する。

 すると、【美容室売り上げ】の項目があらたに追加されていた。


 確認すると、【6000MP】と表示されている。

 一人あたり500MPだから12人が利用……いや、カットが500MPだけどカラーは別料金だったし、カット以外のことをした人がいたらその分単価は上がるか。

 とすると人数は何人かはわからないがまあ5~10人くらいだろう。


 その6000MPをタップすると、【4800MPが払い出されます】との表示が現われ、管理人室のMPに4800MPが加算された。


「よし、しっかり利益確保できるな」


 売上の8割を利益としてMPを得られるようだ。

 2割は美容室自身が消費する、つまりあの群青の存在のエネルギー源や、美容室の電力や水道などの維持に必要なマホウの力として使われている、ということだな。


 8割返しならかなりいい。

 最悪半分くらいかと思ってたけど、思ったよりも多くMPを稼げる。


 このMPを俺の101号室で管理している、マンション全体用として使っているウォレットに送る。MPは電子マネーのように、部屋間で自由に送金(送MP)できるし、また部屋ごとに所持しているMPを分割することもできる。


 たとえば、日常用と貯金用で二つ口座を作って、MPを振り分けるということも可能だ。この機能を使って、俺が所持している中にマンション全体のために使うMPを保管している。一応大家なので。もちろん使い込んだりはしていない。


 美容室の稼ぎもそこに保管しておく。

 後々、皆で話し合って何に使うか決めたらそこから支払う予定だが、このペースで儲けが来るなら、結構早い時期から何かできそうだな。


「あ、こんにちは九重さん」

「ああ、楓……あれ? なんか雰囲気違う?」


 管理人室から出たエントランスで、外から帰ってきた楓と会った。

 しかし今日は少し違う気がする。


 俺がそう言うと楓は少し嬉しそうに、


「気付いてくれてよかったです。せっかくお店の美容室ができたので、私も行ってみたんです」

「なるほど、どうりで」


 白状すると俺はあまり……いやかなり髪型の変化に敏感な方ではないのだけれど、いつもよりふんわり軽い感じがしていることに気付けてよかった。

 極限環境で生きているうちに観察眼が磨かれたのかもしれないな。


「楓も行ったんだな。どうだった?」

「もちろん、とても良かったです。やはりお店でフルのサービスを受けると違いますね」

「そうか。俺も今度行ってみるかな」

「絶対、おすすめします。これなら自警団の方達も満足すると思いますよ」


 楓の言葉の通りだった。

 いつも通り魔石集めをした時にまた様子を見に行ったところ、そこに田茂がいて、彼から自警団の間での美容室の評判を聞くと、皆満足しているとの話を聞けた。

 第二マンションと美容室の建設、成功といってよさそうだ。




 それからしばらく、いつも通りの暮らしを俺たちはしていた。

 そうして一ヶ月ほどが過ぎた頃のことだ。


 久しぶりに美容室の稼ぎを確認してみると【25000MP】が貯まっていた。

 以前のものとあわせて合計約【30000MP】を稼げたことになる。

 思った以上の成果だ、これなら元をとってさらなる高みに到達する日もそう遠くないかもしれない。


 ついでに、一ヶ月ぶりに美容室を見てみようか。


 俺は美容室へと繰り出した……が。


「なんだこれは……?」


 門をくぐった俺は我が目を疑った。

 そこには芝生と美容室(小さいマンション)だけがあるはずだったのだが、マンションの周りにプランターがいくつも置かれ、そこには色とりどりの花が咲いていた。


 さらに、板を立てて看板のようにしているものまであり、ピンク地に白い文字で【ヘアサロン マジック】と書かれていた。


 ……俺の知らないうちに美容室がアップデートされている?

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― 新着の感想 ―
突っ込まないぞ…俺は突っ込まないぞ…でも、ダメだ…突っ込みどころのオンパレードで…負けた、俺の負けです! でも1言だけ、美容室でゆるふわヘヤーの極限世界とは、これ如何に! 人類はタフだった…皆さん崩壊…
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