#4-11
夜、自宅に帰って夕食を終えると、僕はすぐに机に向かいパソコンを開いた。大会が近づくにつれ、気持ちがそわそわして落ち着かなくなってきていた。明日は朝早くから美月と練習の予定だが、どうしても気になっていることがあった。
「そうだ…去年の全国大会の決勝戦、動画サイトで見られるって聞いたな…」
僕はふとそのことを思い出し、検索を始めた。すぐに動画がヒットする。再生ボタンを押すと、画面には壮大なフィールドと、緊張感に包まれた選手たちが映し出された。去年の全国準優勝校が出場した決勝戦だ。
「これが…全国レベルか…」
僕は画面に釘付けになった。対戦しているチーム同士の動きは、まさに別次元だった。戦略が緻密に組み立てられているだけでなく、個々のプレイヤーの動きにも無駄がない。まるでコンピューターのプログラムのように正確で、すべての行動が計算され尽くしているように見えた。
特に注目したのは、去年の準優勝校のプレイだ。フィールド上で圧倒的な存在感を放っていた彼らのデュオのコンビネーションは、完璧と言っても過言ではなかった。資源の手札管理、前線での攻撃、そして後方支援のタイミングまですべてが絶妙だ。二人の息が完全に合っており、何度も相手の動きを封じ込め、見事な連携プレーで敵チームを追い詰めていく。
「す、すごい…」
僕は無意識に息を呑んだ。画面の向こうの戦いは、僕たちがやってきたものとはまったく次元が違う。彼らはすべての局面を予測して動いているように見えるし、何よりその緻密な戦略の実行力には驚かされた。
「これが全国レベルか…」
思わず同じ言葉を繰り返していた。フィールド上で繰り広げられる熾烈な戦いは、僕の心に衝撃を与えた。
動画はクライマックスを迎え、激しい攻防の末に決勝が終わる。その戦いぶりは誰の目にも強く印象に残るものだった。
「もし僕たちがこれと対戦することになったら…」
僕は冷や汗が出るのを感じた。正直、今の僕たちの実力では、到底太刀打ちできそうにない。もちろん、少しずつ成長しているのは感じているけれど、それでも全国大会の決勝戦に立つレベルにはまだ程遠い。
「でも…これに勝たなきゃ全国には行けないんだ」
そうだ、逃げてはいけない。全国大会を目指す以上、いつかはこうした強豪校と対戦することになる。それなら、今からそのための準備をするしかない。
僕は気持ちを切り替え、再度動画を見返し始めた。彼らの動きを一つ一つ注意深く観察し、どのタイミングで手札を使い、どの瞬間に攻撃を仕掛けるのか、じっくりと分析する。気がつけば時間がどんどん過ぎていくのも忘れて、ひたすら動画に没頭していた。
「よし…こうして見てるだけじゃダメだ。自分たちでできることをもっと増やさないと」
美月と一緒に練習してきたことは間違っていない。けれど、それだけでは足りないことも痛感した。僕たちはもっと戦略を練り、もっと技術を磨く必要がある。個人のスキルだけでは勝てない。僕と美月の連携を完璧なものにし、そして相手を上回るような作戦を考え出さなければならない。
「やるしかない…!」
僕は机に置いてあったノートを開き、思いついたことをどんどん書き込んでいく。全国準優勝校との戦いを想定し、資源管理やフィールドでの動き方、相手の攻撃をかわすタイミングなど、可能性を探る。練習でできそうなことや、今まで試したことのないアイデアも書き出してみた。
「美月にもこのことを伝えなきゃな…」
僕はパソコンの画面を閉じ、深く息をついた。明日からの練習が、今まで以上に重要なものになる。僕たちがこの大会で勝ち上がるためには、絶対に今以上の連携と戦略が必要だ。そう決意を新たにし、僕は少しだけ目を閉じた。
「全国大会への道は険しい。でも…僕たちならできるはずだ」
そう自分に言い聞かせて、その日は眠りについた。




