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放課後サバイバルゲーム  作者: 柊れい
大会への道のり
33/49

#4-9


数日後、学校に驚くべきニュースが舞い込んできた。今回の地区予選に、昨年のデュオ全国準優勝校がメンバーが変わらずに出場するというのだ。チーム枠はベスト4、個人はベスト8に3人全員残りさらに1人は準優勝と。その知らせを受け、部室は一気に緊張感に包まれた。


「まじかよ…あいつらがまた出てくるのか」


個人枠で参加予定の北島先輩がつぶやくと、他の部員たちも同じように顔をしかめた。全国準優勝校――その名前だけで、彼らの実力がどれほどのものかが伝わってくる。特にデュオ枠は対戦は避けられないことがわかり、僕と美月も同じく不安を感じていた。


「やっぱり強い相手と当たるのは避けられないんだな」


僕がため息をつくと、美月が肩をすくめて「まあ、こうなったら全力で挑むしかないよ」と明るく答える。美月のポジティブさは相変わらずだが、内心は彼女も緊張しているはずだ。


「でも…どうやって対抗するの?彼らって去年、ほとんど無敵だったんでしょ?」


「そう、まさに鉄壁のチームだって評判だったよ。しかもデュオ戦も完璧にこなしてくるって聞いたし」


他の部員たちの話を聞くと、その強さが改めて実感できる。どうやってそんな強敵に挑めばいいのか、僕たちの実力では到底敵わないんじゃないかと思えてくる。


その日の放課後、部長が緊急で戦略会議を開くことを決めた。部室に集まった部員たちは、緊張した様子で椅子に座っていた。部長の声が響く。


「みんな、もう分かっていると思うが、全国準優勝校がまた出場することが決まった。彼らに勝たなければ、全国大会への道は閉ざされる」


部員たちはそれを理解している。準優勝校に勝てるかどうか、それが今回の大会の最大の焦点だった。


「だからこそ、彼らに勝つための普通にやってもだめ。戦略を練らなければならない。今まで以上に綿密に作戦を立て、連携を強化する必要がある」


部長の言葉に全員が頷く。だが、どうやってその強豪校に挑めばいいのか、具体的なアイデアが出てこない。部員たちは次々と意見を出し合うが、どれも抽象的で、結局、誰も確信を持てない状態が続いた。


その時、僕はふと考えた。これまでの練習や特訓を通じて、美月と僕のデュオの連携は確かに向上してきた。でも、それだけでは勝てない。相手は一枚も二枚も上手だ。それなら、奇策に出るしかないのではないか。


「…僕、考えがあるんだけど」


自分でも驚くくらいのタイミングで、思わず口を開いてしまった。みんなの視線が一斉に僕に向かう。


「瀬戸くん、何かいいアイデアがあるの?」


美月が興味津々に聞いてくる。僕は少し緊張しながらも、自分の考えを説明し始めた。


「えっと…相手は確かに強いけど、僕たちができることはまだあると思う。僕たちの強みって、まだ完全に読まれてない部分が多いってことじゃないかな。だからこそ、相手の想定外の動きで翻弄する戦術が効果的だと思うんだ」


「想定外の動き?具体的には?」


部員の一人が疑問を投げかける。僕は少し考えてから答えた。


「例えば僕らが挑むデュオ戦の場合、普通は片方が前線で動き回って、もう片方が後方で資源管理をするのがセオリーだよね。だから逆に…美月が最初に相手の目の前に立つんだ」


「え?私が?」


美月が目を丸くして僕を見る。


「そう。で、いきなり戦闘に入るふりをする。だけど、その間に僕が全力でフィールドの端っこに行って、ひたすら隠れるんだよ」


部室内が一瞬静まり返った。誰もが「何言ってるの?」という顔をしている。だけど、僕は続ける。


「で、そのまま美月がわざと相手を追い込んでいくんだけど、いきなり途中で逃げ出す。相手はきっと追ってくるよね?その時に僕がすかさず飛び出して、相手の足元に資源を投げる!足元にばら撒いて相手を混乱させるんだ。敵が何が起きたかわからない瞬間に、また僕が素早くフィールドから姿を消す。それを繰り返すんだ」


美月が眉をひそめて質問してくる。


「つまり、私は囮になるってこと?」


「そう!だけど、囮になってる間に、僕がフィールド全体を自由に動き回れるようにするんだ。相手は何が起きてるのか混乱して、きっと攻撃に集中できなくなる。最終的にはリソースも相手にばら撒かせて、自滅させる作戦なんだ!」


美月はしばらく考え込んでいたが、ついに口元に微笑みを浮かべた。


「面白い!でも、それって結構リスクあるよね?」


「うん。でも、正攻法で戦ったって勝てない相手だから、かなりの奇策を使わないと。相手が予測できない動きで撹乱させれば、何とかなるかもしれない」


一瞬、部室が静まり返った。突拍子もないアイデアだということは自分でもわかっている。けれど、この状況で常識的な戦略を取っても勝てないという直感があった。


そして静寂を破るように部長が口を開いた。


「…ちょっと非常識だけど、逆に面白いな。相手の隙を突くのは理にかなってる。準優勝校相手だから、これくらいの奇策でもいいのかもしれない」


「よし、それでいこう!瀬戸くん、あなたの案、採用!」


美月が嬉しそうに賛同してくれた。ほかの部員たちも、最初は驚いた様子だったが、次第に納得し始めた。


「確かに…相手が油断する瞬間を狙うっていうのはありだな」


「普段やらない動きをすることで、相手のリズムを崩せるかもしれない」


次々と賛同の声が上がる。部長も「面白い発想だ」と言ってくれた。


「じゃあ、その戦術をベースに、具体的な作戦を練ろう。瀬戸の提案を軸にして、対策を立てていくぞ」


その言葉に全員がうなずいた。僕たちはこれまで以上に本気で、全国準優勝校に立ち向かうための準備を始めることになった。



こうして、僕が初めて提案した戦術は、思いもよらずみんなに受け入れられた。僕たちは今まで以上に真剣に正攻法を、そして難敵に打ち勝つための戦略も練習に練習を重ねていくことを誓った。

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