#4-4
放課後、僕と美月は部室で特訓を始めた。今日はデュオとしての連携プレーを強化するため、ふたりでの特訓だ。これまでの失敗を反省しつつ、今日は絶対に息を合わせてみせる!と、僕の心に秘かな闘志が燃えていた。
「よーし、瀬戸くん!今日はペアとして完璧に息を合わせるよ!」
美月はいつも通り元気いっぱいで、すでに意気込んでいる。僕もそれに引っ張られるように気合が入る。
「そうだね。今日こそ、ちゃんとしたコンビネーションを見せないと」
「まずは呼吸を合わせるために、いくつか基本的な動作から練習しようか!」
そう言って、美月は楽しげにゲームスタートの合図を出した。まずはシンプルな位置取りの練習から。美月が前に出て僕が後ろから援護する。簡単そうに思えるけど、これがなかなか難しい。
「瀬戸くん、もっと早く私にカバーして!」
「いや、そっちが急に動くから…!」
何度か繰り返すうちに、思ったよりも息が合わないことにお互い気づき始める。特に、美月は攻撃的なスタイルなので、僕がそれに合わせるのが大変だ。
「もっとリズムを感じて、こう…スムーズに!」
「リズムって言われても、急に速くなったり遅くなったりするんだけど!」
しばらくの間、美月のハイテンションなペースに振り回され、僕はぐったりとしていた。だが、ここで諦めるわけにはいかない。特訓を続けるうちに、少しずつだが美月の動きに慣れてきた気がする。
「お、今のいい感じじゃん!」
「うん、なんかだんだん掴めてきたかも」
特訓が進むにつれて、少しずつだがお互いの動きを感じられるようになってきた。美月の動きに合わせて僕がカバーに回るタイミングも、ようやく噛み合ってきた。
「よーし!次はもうちょっと高度な連携プレーに挑戦だ!」
美月が提案したのは、敵を挟み撃ちにして、僕が援護射撃をしながら美月が前線で仕留めるという作戦だ。連携が命のこの戦術は、僕たちがペアとしてどれだけ成長できたかを試すいい機会だ。
「行くよ、瀬戸くん!まず私が突っ込むから、その隙に後ろから援護してね!」
「わかった、任せて!」
美月が華麗に前へ進み、僕はその後ろからタイミングを見計らって援護射撃を繰り出す。相手の動きを見極めながら、彼女の動きにぴったり合わせる瞬間がついに訪れた。
「今だ、攻撃!」
美月が突撃するタイミングと、僕の援護が完全に一致した瞬間、見事に敵を仕留めることができた。
「やったー!これで完璧なコンビネーション!」
僕たちは嬉しそうにハイタッチをした。ようやく、特訓の成果が見え始めた。これならデュオ戦でもなんとかやっていけるかもしれない。僕も少しだけ自信がついてきた。
特訓の合間、休憩していると、他の部員たちが僕たちの様子を興味深げに見ていた。
「お前ら、急に息ぴったりだな。どうやったんだ?」
部の先輩が不思議そうに問いかけてきた。
「それがさぁ、私たち、ずっと一緒に行動してるの!だからだんだん息が合ってきたんだよね!」
美月が何気なくそう言った瞬間、周囲が一瞬静まり返った。みんなの視線が一斉に僕たちに注がれる。何か、変なことを言ってしまったのだろうか…。
「一緒に行動って…そんなに?」
「うん!朝も一緒、昼も一緒、帰りも一緒!ね、瀬戸くん?」
美月はニコニコしながら僕に話を振るが、僕は顔が真っ赤になりそうで困ってしまった。だが、他の部員たちからは、若干引かれたような表情とともに、その努力を称賛する声があがる。
「すごいな…そこまで徹底してるのかよ」
「そこまでやってるんなら、確かに息も合うわけだ」
「でも、やっぱりちょっと変だぞ…」
みんなの反応に、僕は恥ずかしくなりつつも、美月はまったく気にしていない様子で笑っている。そんな彼女を見ていると、やっぱり美月らしいなと思わずにはいられない。
「だって、勝つためにはこのくらい必要でしょ!」
美月が自信満々に言い放つと、他の部員たちもその情熱に引き込まれたようで、だんだんと笑顔になり、僕たちを応援してくれるムードに変わっていった。
「まあ、確かにお前ら本気だしな。大会までにもっと強くなれよ!」
その日、僕たちは特訓を終えて帰るころには、心地よい疲れを感じながらも、確かな成長を実感していた。息が合い始めた僕たちは、これからさらに強くなるはずだ。
「よし、この調子で次も頑張ろうね、瀬戸くん!」
美月が元気に言い放つ。僕も彼女に負けじと頷いた。
「うん、もっと息を合わせて、絶対に勝とう」
その瞬間、僕たちのチームワークはまた一段と強くなった気がした。




