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放課後サバイバルゲーム  作者: 柊れい
大会への道のり
27/49

#4-3


朝、いつものように家を出ようとした瞬間、ふと視線を感じた。玄関を出た先に、なんと美月が立っている。驚いて声をあげそうになったが、彼女がこちらに気づくよりも先に、僕の頭の中は混乱していた。


「おはよう、瀬戸くん!」


美月が元気に挨拶をし、笑顔を見せる。こんな朝早く、しかも僕の家の前にいるなんて一体どういうことだろう。


「え、なんでここに…?」


驚きを隠せないまま、僕は素直な疑問を口にした。


「今日は息を合わせるために、ほとんどの時間を一緒に過ごそうと思ってさ!」


彼女はサラッと言った。彼女にとってはそれが当たり前のことのように聞こえたが、僕にとっては急な展開すぎて頭が追いつかない。


「え、そんな急に…大丈夫なの?」


「大丈夫だよ!むしろ、このぐらいしないとデュオとして成功しないでしょ?」


彼女は真剣な表情で言い放った。その表情を見ていると、反論する気も起きず、結局僕は頷くしかなかった。


登校中、いつもなら一人で考え事をしながら歩く時間が、今日は美月と一緒だった。彼女は前向きな性格だからか、どんな話題でも楽しそうに話してくる。


「瀬戸くん、今日の授業何があるんだっけ?」


「えーと…数学と英語と、確か社会だったかな」


「ふーん、私は英語が好き!だって、なんかカッコいいじゃん!」


そう言いながら、彼女は軽く手を振りながら英語の単語を呟き始めた。僕はそれに笑いながら、普段はあまり意識していなかった美月の明るさに少し救われる気がした。


「それにしても、息を合わせるために、こうして一緒にいるのが良いって思ってるんだね?」


「そうそう。デュオ戦ってやっぱり心の呼吸が大事だからね。今日一日、全部一緒にいれば、きっと息が合うようになるよ!」


彼女の前向きな考えに、少し引っ張られるような気分になる。これが、彼女が他人を引き込む力なのだろう。普段は冗談みたいに感じることも、彼女の情熱を目の当たりにすると、本気で取り組む気になってしまう。


昼休み、僕たちはいつものように食堂へ向かった。普段は友達と一緒に食べることが多いけれど、今日はもちろん美月と一緒だ。クラスメイトがチラチラとこちらを見ているのを感じながら、僕は彼女と席に着いた。


「瀬戸くん、今日は何食べるの?」


「うーん…普通に日替わり定食かな。美月は?」


「私はカレー!エネルギーが必要だからね!」


元気いっぱいに答えながら、美月はカレーを頬張り始めた。そんな彼女を見ていると、何となく一緒にいるのが当たり前のように思えてきたが、周囲の視線が気にならないわけではない。


「ねぇ、瀬戸くん、あんたたち付き合ってるの?」


突然、隣のクラスメイトが興味津々に話しかけてきた。僕は驚きのあまりスプーンを落としそうになった。


「え、いや、そんなわけないよ!」


慌てて否定したが、美月は気にする様子もなくカレーを食べ続けている。さすがに少し恥ずかしくなり、彼女に目配せをしたが、まったく動じない。


「そんなの、言わせておけばいいのよ。大事なのは大会、デュオ戦で勝つことなんだから」


彼女はまったく気にしていない様子で、むしろ堂々としている。その姿に僕は少し感心してしまった。そうだ、今はそんなことを気にしている場合じゃない。大会で結果を出すことが何よりも重要だ。


放課後、部活動が終わってからも美月と一緒に帰ることになった。学校から家までの道中、彼女と話しながら歩くのは、なんだかんだで楽しい時間だった。練習中はあまり噛み合わなかったけど、普段の会話なら息はそこまでずれていないのかもしれない。


「明日はもっと連携を磨こうね、瀬戸くん」


「うん、頑張ろう」


二人で歩きながら、今日一日の出来事を振り返った。確かに美月と一緒に過ごす時間が増えることで、何かしらの変化が起きるかもしれない。息を合わせるというのは、ただゲーム内だけの話じゃないんだ。


「それにしても、噂なんて気にしてなさすぎじゃない?」


「そんなのどうでもいいの。私たちはデュオペアとして結果を出すために、一緒に頑張ってるんだから。それが全て!」


美月の言葉に、僕は少し笑ってしまった。彼女のポジティブさには本当に助けられている。僕も、彼女と同じくらい真剣に取り組まなければならないと、改めて思った。


家に帰り着くまで、ずっと美月と並んで歩いた。部員たちとの関係も良好だし、こうして美月とも息を合わせるために日常を共有できる。ゲームの世界だけでなく、リアルでも絆が深まっているのを感じた。


次の日、学校に着くとクラスメイトがまた噂をしていたが、僕ももう気にすることはなかった。美月の言葉通り、大切なのは僕たちが本気で取り組んでいること。噂なんて気にせず、デュオとして最高のパフォーマンスを見せることだけを考えよう。

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