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放課後サバイバルゲーム  作者: 柊れい
戦略の第一歩
23/49

#3-10


「瀬戸くん、今日はゲームじゃないよ!親睦イベントだよ!」


美月がにこにこしながら言った瞬間、僕は一瞬耳を疑った。親睦イベント? ゲーム部なのに、ゲームしないってこと? 驚いている僕をよそに、部員たちはすでに準備万端で盛り上がっていた。


「瀬戸、今日は戦いじゃないからリラックスしろよ!」


松本くんがニヤリと笑い、石井先輩も

「今日は部内の絆を深めるための日だからね!」と優しく笑っている。


「で、具体的に何するの?」


僕は不安を隠しきれずに聞いた。


「カラオケとファミレスだよ!青春といえばこれしかないでしょ!」


美月がウキウキと説明する。


(おいおい、カラオケって……ゲーム部なのに音楽関係なのかよ)と内心でツッコミを入れつつも、ここまで盛り上がっている部員たちを前に断るわけにもいかない。



カラオケボックスに到着すると、早速部員たちは曲を選び始めた。誰もが遠慮することなくマイクを手にし、思い思いの曲を熱唱する。松本くんの選曲は、まさかのアニソン攻めだった。


「この曲は神曲だから!聞き逃すなよ!」


叫びながら、彼は魂を込めて歌い始めた。しかし、その高音部分がまるで窓ガラスを割るかのような声量で、僕は思わず耳を押さえる。


「松本くん、音程がすごいことになってるけど……」


僕が苦笑しながら突っ込むと、美月がクスクス笑いながら

「でも、松本くんの情熱がすごいよね!」

と同意してくれる。


続いて、石井先輩が選んだのは、しっとりとしたバラード曲だった。普段のゲームでの冷静さからは想像もつかないくらい、感情を込めて歌う彼の姿に、部員全員が思わず拍手を送る。


「石井先輩、やっぱり何やってもクールだなぁ……」


僕が感心していると、美月がマイクを握った。


「次は私の番!見ててね、瀬戸くん!」


美月はアップテンポなアイドルソングを選び、ノリノリで踊りながら歌い始める。普段のゲーム中の彼女とはまったく違う一面に、僕は思わず笑ってしまった。


「おお、美月、すごいな!」


僕が美月を褒めると、彼女は満面の笑みで

「ありがと!青春でしょ?」

と返してきた。


「いや、青春っていうよりアイドルかも……」と心の中で思いつつ、僕も少しずつカラオケの雰囲気に慣れていった。



その後、カラオケを堪能した僕たちは、ファミレスへと向かった。ファミレスのメニューを手に取ると、みんなが一斉に好きなものを頼み始めた。僕も負けじと、大きなハンバーグセットを注文。


「ファミレスってなんか部活の打ち上げって感じでいいよね!」


美月が言うと、他の部員たちも「そうだな、こういうのが青春だよな!」と盛り上がった。


料理が運ばれてくると、誰もが待ちきれずに食べ始め、会話も弾んだ。普段のゲーム中は、みんな真剣な顔つきでカードを出し合っているけど、こういう場ではなんだか別人のようにリラックスしている。


「瀬戸くん、今日はどうだった?」美月が僕に声をかけた。


「うん、なんだか不思議な感じ。ゲームしなくても、みんなとこうやって楽しめるんだなって」


僕が答えると、美月はニコッと笑った。


「そうだよ!部活ってゲームだけじゃなくて、こうやって一緒に楽しむことも大事なんだよ」


他の部員たちも「そうだよな、部活って仲間との時間が一番大事だよな!」と頷きながら、それぞれの料理を楽しんでいた。


松本くんがハンバーグをガツガツ食べながら、「次はバスケとか行くのもありじゃね?」と提案してきた。ゲーム部なのに、バスケってどういうこと? と思いつつ、意外と悪くないかもと思っている自分がいた。



食事を終えると、ファミレスのテーブルには笑顔と満足感が溢れていた。カラオケでの騒ぎもあり、腹がよじれるほど笑ったこともあって、みんなすっかり打ち解けている。


「今日は楽しかったなあ。こんな感じでまた集まろうよ!」


美月が提案すると、全員が大きく頷いた。


「そうだな、次はもっと大きなイベントやってもいいかもしれないな」


石井先輩が静かに言ったが、その言葉に全員が期待に満ちた顔をする。


僕も、なんだかんだでこの親睦イベントを心から楽しんでいた。部活って、ただゲームをするだけじゃない。こうやって仲間と過ごす時間も含めて、すごく特別なものなんだって、改めて実感した。



帰り道、美月がふとつぶやいた。


「ねぇ、瀬戸くん、今日楽しかった?」


「うん、すごく楽しかったよ。なんか、もっとみんなと一緒にいたいって思った」


僕の答えに、美月は満足そうに微笑んだ。


「それならよかった!これからももっと一緒に楽しもうね!」


その言葉に、僕も心の中で頷いた。青春はゲームだけじゃない。こうやって仲間と過ごす時間も、かけがえのないものなんだと気づいた日だった。


(そして、次はバスケ……いや、やっぱりゲームがいいかもな)

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