表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後サバイバルゲーム  作者: 柊れい
戦略の第一歩
22/49

#3-9


「瀬戸くん、どんな作戦考えついたの?」


部室に入った瞬間、美月がいつものように楽しそうに声をかけてくる。これまでの戦いで、美月や他の部員たちのアドバイスを受けてきた僕も、少しずつ成長してきた。だけど、今日は違う。僕は昨晩考えに考え抜いて、ついに自分だけの戦術を編み出したんだ。


「ふふ、今日は特別だよ。僕の新たな作戦、『瀬戸スペシャル』を披露する!」


そう言うと、美月は興味津々な顔で目を輝かせたが、他の部員たちは一瞬、顔を見合わせてニヤリと笑った。


「『瀬戸スペシャル』……? なんだか聞いただけで厨二病っぽいけど、大丈夫?」


「まあ、名前のインパクトは置いておいて、内容で驚かせるからさ!」



僕の「瀬戸スペシャル」は、これまでの戦いで学んだ様々な要素を取り入れた、オリジナルの作戦だ。松本くんの「ミスリード戦法」や、石井先輩の「奇襲作戦」など、他の部員たちの独特な戦術を少しずつ参考にしながら、自分なりにアレンジを加えたものだった。


作戦の核心は、まず序盤で相手を油断させることだ。最初はあえて弱いカードを使い、相手に「簡単に勝てそうだ」と思わせる。そこからが瀬戸スペシャルの真骨頂だ。相手が油断したところで、強力なカードを連続で出し、一気に形勢逆転を狙うのだ。


「最初に相手に優位を持たせるのがポイントなんだ。それで相手が油断して、最後の一手で一気に叩き込む。これが『瀬戸スペシャル』!」


僕が自信満々に説明すると、他の部員たちは興味深そうに聞いてくれたが、名前に関してはやっぱり失笑が漏れていた。


「いや、名前がな……ちょっと痛くない?」


「でも、内容は良さそうだよね。とりあえず試してみよう!」



実際のゲームが始まった。僕の相手は美月。彼女は普段から大胆な作戦を好むが、今回は瀬戸スペシャルの餌食になってもらうつもりだ。


序盤は予定通り、あえて弱めのカードを出して、相手に余裕を感じさせる。美月は最初から強気で攻めてきたが、僕はあえて受け身に徹した。


「瀬戸くん、本当に大丈夫? いくらなんでも弱いカードばかり出しすぎじゃない?」


「まあ、見てなよ」


美月は少し怪訝な顔をしていたが、そのまま攻め続けた。彼女の攻撃は次々と決まり、僕のライフポイントはどんどん減っていく。部員たちは「瀬戸くん、大丈夫か?」と心配そうな顔をしていたが、僕は焦らなかった。これは全て計画通りだ。


そして、ついにチャンスが訪れた。相手が全力で攻め切ったその瞬間、僕は一気に反撃に出る。


「ここからが『瀬戸スペシャル』だ!」


僕はこれまで隠していた強力なカードを連続で出し、逆転の一手を打つ。美月は驚いたように目を見開き、「え、嘘でしょ!」と叫んだ。最初の油断が響いて、美月は防御の準備をしていなかったのだ。


「これが僕の真骨頂だよ!」


相手のライフポイントはみるみる減り、ついに美月のカードがすべて無力化され、僕の勝利が決まった。


「やった! 『瀬戸スペシャル』、大成功だ!」



ゲームが終わると、部員たちは僕の作戦に驚きを隠せない様子だった。


「まさか、あの弱そうな序盤からこんな大逆転をするとは……」


「瀬戸くん、本当に成長したね! 驚いたよ!」


松本くんも石井先輩も、口々に僕の成長を認めてくれた。僕自身、初めて自分の戦術が効果を発揮したことに、心の中でガッツポーズをしていた。


しかし、そんな僕の喜びもつかの間、誰かがボソッと呟いた。


「でも……『瀬戸スペシャル』って名前だけは、ちょっと厨二っぽいよね?」


その一言を皮切りに、部室内は笑い声で包まれた。美月も「ふふっ、瀬戸くん、作戦はすごいけど、名前もうちょっと考えた方がいいかもね」とクスクス笑いながら言ってきた。


「う、うるさいな! いいんだよ、作戦が決まれば!」


僕はちょっと照れくさくなりながらも、笑いに包まれる部室の空気に安心していた。これも部員たちとの絆が深まった証拠だ。



「それじゃ、次の戦いではもっとかっこいい名前をつけてくれよ!」


石井先輩が冗談めかして言うと、僕は「うん、次はもっとかっこいいの考えるよ」と答えた。


でも、心の中ではこう思っていた。


(やっぱり『瀬戸スペシャル』が一番しっくりくるんだよなあ……)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ