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放課後サバイバルゲーム  作者: 柊れい
戦略の第一歩
21/49

#3-8


「瀬戸くん、今日は何の作戦で行く?」


部活に入った途端、美月がいつものようにテンション高めで声をかけてきた。ここ数週間、僕は美月の指導のおかげもあって少しずつ成長し、部員たちとも自然に話せるようになってきた。


「いや、今日は逆に美月の作戦に乗るよ。僕、ちょっと考えすぎて最近負けが続いてるからさ」


そう返すと、美月は目を輝かせて「いいね!」と言ってきた。僕が何か言うたびに目を輝かせるのが彼女の特徴だが、それが少しずつプレッシャーから励みに変わってきている。



今日の部活動は、個人戦ではなくチーム戦だ。チーム戦というのは、一緒に作戦を立てながら戦うことが求められるため、メンバー間のコミュニケーションが重要になる。これまで一匹狼のように個人プレイにこだわってきた僕も、最近は仲間との連携の大切さに気づき始めていた。


「瀬戸くん、ここは絶対にこのカードを出さないとダメだよ!」


「え、でもこれを出すと次のターンで……」


「いいから信じて!」


美月はこう言いながら、僕に圧力をかけてくる。内心「本当にこれでいいのか?」と疑いながらも、彼女の言葉に従ってみた。すると、次のターンで相手が予想通りの動きをし、僕たちが大逆転する展開に。


「美月、すごい! 完全に相手の手の内を読んでたんだね!」


「ふふん、瀬戸くんも少しは信頼できるようになってきたかな?」


なんだかんだで、僕と美月の連携がうまく噛み合ってきた。以前は「うるさいな」と思っていた美月のハイテンションも、今ではむしろ頼もしく感じる瞬間が増えた。



それだけじゃない。他の部員たちとも、ここ最近よく対戦をするようになってきた。


「瀬戸くん、次は僕とやってみない?」


最初は無口で近寄りがたかった松本くんが、僕に対戦を申し込んできた。彼はボードゲーム部で最も静かで、黙々と勝負に集中するタイプ。最初はなんとなく怖い印象があったが、対戦してみると意外とお茶目な一面があることに気づいた。


「瀬戸くん、この作戦はあえてミスリードを誘うんだよ。相手を混乱させるのが醍醐味だ!」


そう言いながら、松本くんは何とも言えない奇妙なカードを出してくる。僕は最初「え、それ絶対ダメでしょ?」と内心ツッコミを入れていたが、実際に彼の計画通り、相手は完全に混乱し、僕たちは勝利を収めた。


「松本くん、やるじゃん! 普段から無口だから、何考えてるのか全然わからなかったけど、案外面白い作戦を考えてたんだね」


「えへへ……まぁ、言葉より行動で示すのが僕のスタイルだからね」


こんな感じで、普段はあまり話さない部員たちとも、ゲームを通じて自然と会話が増えてきた。



さらには、石井先輩もまた、独特のプレイスタイルで僕を翻弄してきた。


「瀬戸くん、今回は僕の『奇襲作戦』で行くからな! まずはこのカードで相手を油断させてから、こっちのカードで一気に畳み掛ける!」


「それ、かなりリスキーじゃないですか……?」


「リスキー? リスクがなきゃゲームじゃないだろ!」


石井先輩の大胆な発言に、僕は目を丸くした。彼のプレイスタイルは、勝ち負けよりも「驚かせること」を重視しているようで、周りを常にびっくりさせるのが彼の楽しみのようだ。


案の定、彼の作戦は途中で崩壊したものの、結果的にはチーム戦なので僕たちはギリギリのところで勝利。


「瀬戸くん、驚いたか?」


「はい、驚きましたよ……色々な意味で」


僕は心の中で苦笑しつつも、こんな自由なプレイスタイルもまた、ボードゲームの楽しみ方の一つだと実感していた。



気がつけば、部員たちとの距離が以前とは比べものにならないくらい縮まっていた。個々のプレイスタイルに驚きながらも、それぞれがゲームに対する情熱を持っているのが感じられる。


「瀬戸くん、次は何する?」


美月が笑顔で聞いてきた。


「うーん、次は……そうだな、みんなのプレイスタイルを参考にして、新しい作戦を考えてみるよ」


僕はニヤリと笑って、皆のプレイを一つずつ思い出しながら、次の戦略を考えるようになっていた。かつてはゲームに対して消極的だった僕が、今では自分なりの楽しみ方を見つけつつあるのだ。



「よし、みんな! 今日は瀬戸くんが新しい作戦を考えるらしいぞ!」


「えぇ、そんなハードル上げないでよ!」


部員たちの笑い声が響く中、僕は少し照れながらも、新たな勝負に挑む準備を整えていた。友情という名の戦場で、僕たちは今日も戦い続けるのだ。

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