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放課後サバイバルゲーム  作者: 柊れい
戦略の第一歩
14/49

#3-1


「なあ、美月。ちょっと聞いてもいいか?」


放課後、いつものように部室でゲームの準備をしていた僕は、思わず美月に声をかけた。これまで、彼女のアドバイスを半分聞き流していた僕が、初めて自分から積極的に戦略を教えてもらおうとするなんて、自分でも驚いていた。


美月は僕の声にパッと顔を輝かせる。「え、本当に?もちろん!何でも聞いて!」


彼女の目はまるで子供のようにキラキラしていて、そのテンションの高さに少し戸惑いながらも、僕は続けた。


「いや、その……基本的な戦略ってやつ、教えてくれないか?ずっと負け続けてるのも、さすがにもう限界でさ」


美月は勢いよくうなずき、すぐに自分の席に戻りながら、いそいそとノートを取り出した。「いいね!じゃあ、まずはこのゲームの基本からいこう!」



美月は興奮気味に説明を始めた。最初はそのテンションについていけるか不安だったけど、彼女の話は驚くほどわかりやすかった。これまでぼんやりとしていたルールや戦略が、急に頭の中で形を成していくのを感じた。


「まず、このサバイバルゲームでは、資源の管理が超重要なの。資源をどうやって使うかが勝敗のカギを握るんだよ。例えば、序盤で使いすぎると後半で何もできなくなるから、最初は少し節約しておいて、後で一気に勝負に出るのが効果的なんだ」


彼女は駒を動かしながら、具体例を交えて説明してくれる。その説明が想像以上に的確で、僕は思わず感心してしまった。


「そうか……だから俺、いつも資源を無駄に使っちゃって負けてたんだな」


「そうそう!最初に勢いよく動かしたくなる気持ちもわかるけど、そこを我慢して、状況を見ながら慎重に進めるのが大事なんだよ」


彼女の言葉がスッと頭に入ってくる。今まで、僕はただ漫然とゲームを進めていただけだった。勝ち負けなんてどうでもいいと思っていたけれど、少しでも勝ちたいと思った瞬間から、ゲームに対する見方が変わっていたんだ。


「なるほどな……もうちょっと慎重に進めばいいのか」


「そう!焦らずにね!あと、相手が何を狙っているかも考えると、もっと面白くなるよ!」


美月は熱心に続けた。彼女の情熱が伝わってくる。今まで僕は彼女の熱心さがただのテンションの高さだと思っていたけど、それだけじゃなかった。彼女は本当にこのゲームを愛していて、楽しんでいるんだ。



「なんで、そんなに楽しそうなんだ?」


思わずそんな言葉が口をついて出た。美月は一瞬驚いたように僕を見つめた後、また笑顔を浮かべて答えた。


「だって、楽しいじゃない?ゲームって勝ち負けだけじゃなくて、自分の頭を使ってどうやって攻略するかを考えるのが楽しいんだよ。もちろん勝つと嬉しいけど、負けても、次はどうすればいいか考えるのがまた面白いの」


その言葉を聞いて、僕は少しだけ納得した。僕はこれまで、ただ結果だけを求めていた。でも、美月にとっては、ゲームの過程そのものが楽しみだったんだ。


「なるほど……そういうもんか」


僕は苦笑いしながらうなずいた。美月の言うことが少しずつ理解できるようになってきた。彼女の楽しさは、ただの勝敗にとらわれない、もっと深いところにあるんだと気づき始めていた。



「じゃあ、次のゲームでは……」


僕は自分でも驚くほど前向きに、次のゲームに取り組む決意をしていた。もちろん、今すぐに勝てるわけじゃない。それでも、少しでも成長している自分を感じられるようになっていた。


「よし、次はこの戦略を試してみるよ」


「うん、その調子!絶対に勝てるって!」


美月のテンションの高さにはまだついていけない部分もあるけど、それでも彼女の情熱が僕を少しずつ引っ張ってくれているのは間違いなかった。


次のゲームが始まる。僕はこれまでとは違う感覚で、少しでも自分の頭を使い、戦略的に動くことを心がける。美月のアドバイスを思い出しながら、慎重に駒を進める。


「ここで無駄に資源を使わないで……もう少し温存しておこう」


以前なら勢いに任せて動かしていた駒を、今は少し冷静に見つめながら動かした。まだ全てを理解しているわけじゃないけど、少しずつゲームの流れが見えてきている自分に気づく。


結果はどうなるかわからないけれど、今はそれでもいいと思えるようになっていた。勝つことも大事だけど、それ以上に、このゲームを楽しもうとしている自分がいる。

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