表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/24

第六話 神聖衣を着たボドー、褐色の性母様認定される!

アーネ・ゾーマの活躍により領都ズレクの住民達を苦しませていた、シミオン盗賊団が壊滅したと言うビッグニュースは一日でスラム街迄広がった。

其れまで頭の逝かれた露出女冒険者だった扱いが、領都ズレクを救った救都の女英雄冒険者に変わった。

アーネが街中を歩くと彼方此方から声を掛けられ、若い女性達に取り囲まれる姿がズレクの日常に加わる。

今日も私的な買い物に出向いていたアーネに、凛とした雰囲気を醸し出す美女が声を掛けて来る。


「救都の英雄アーネ様、其処の娼館マダレーナの喜びの館に御案内致します」

「・・・・・・お誘いは嬉しいのですが・・・・理由が」

「アーネ様は娼婦みたいに身体を売る女は嫌いですか?」

「嫌いでは有りません、娼館嬢や街娼も立派な仕事です!何故、案内されるのか理由が判らなくて?」

「失礼しました、アーネ様。憎いシミオン盗賊団を皆殺しにしてくれたからです。マダレーナの喜びの館で働く嬢の半分は、シミオン盗賊団の被害を受けて娼館に身売りした女達です。其のシミオン盗賊団を一人で皆殺しにしてくれたアーネ様は、私達マダレーナの喜びの館で働く娼館嬢の心を救ってくれた救済の女神なんです。其の救済の女神アーネ様に少しでも恩を返したいと、嬢仲間で話し合って招待しようと決めたのです。其れでは理由に成りませんか?」

「其れなら筋が通ります、断るのも失礼に当たりますね。貴女の名前を教えて頂けますか?」

「私は、マルメです。マルメは本名です」

「マルメさん、案内お願いします(ニコニコ)」

「ハイ!救済の女神アーネ様(ニコニコ)」


此の日から一週間、特殊娼館マダレーナの喜びの館は開業以来初の臨時休業を行い、其処で働くシミオン盗賊団被害者の嬢達がアーネに誠心誠意全身全霊を込め肉欲の御奉仕を行った。

マダレーナの喜びの館で肉欲の御奉仕を受けていたアーネも、痩毒病の治療薬ピニリンを娼館主に渡して嬢達の健康維持に協力していたりもする。

ピニリンは南球東大陸のペテルザクセン王国に在る、ザクセン魔導科学研究所で筆頭魔導師ダイアナ令嬢が開発した痩毒病治療薬だが、以前共同作戦中に知り合ったガーネラから譲り受けた物だった。

臨時休業終了後は、救都の英雄が骨抜きにされる程楽しめた娼館として、ズレク在住の同好の女性達が大量に押し掛け売り上げを伸ばす事に成る。


また神託の聖女ガーネラと五聖賢女の神聖衣の衝撃が凄過ぎて、アーネのライトレザー水着が常識の範囲に収まってしまう。

更にクアドラ王国を代表する格闘春日組や、呪詛結界師ゾク・パトチュカも神聖衣を着ていた事により、徐々に露出過多の格好で外を歩いても良いのではと言う考え方が広がり始める。

其処に来て治療回復師の明日香とフローリアンが、適切な料金で治療魔法を使った医療行為を提供した結果、露出過多の格好をしてる冒険者に対する好感度が急上昇したのも大きかった。


「明日香とフローリアンの、影響力は凄まじいな。此処までとは予想出来無かった」

「ギルマス、冒険者の新規登録者が激増してます。其れも若い女性の登録者が、今までの五十倍を超えてます。皆さん、明日香さんやフローリアンさんの姿を見て、冒険者ギルドに足を運んだそうです(ニコニコ)」

「若い女性の登録者が増えるのは、個人的に大歓迎だ(好みの女も結構いたしな(ニヤニヤ))」


女神アスナールの神託を受けボンデージファッションから、神聖衣に着替えたボドーもズレク住民の話題を集めていた。

辺境伯第四夫人ボドーが領都内を全裸に近い格好で歩き回り、ベゴーニャに頼まれた買い物や屋台での食べ歩きを楽しんでいた。

汗で光り輝く褐色肌に自己主張の激しい双丘と巨大な桃尻に、魅了される男達も多数現れ褐色の性母様の呼び名が裏で定着する。

其の褐色の性母ボドーは最愛のジナイダに合う服を探しに、領都ズレクの高級店が立ち並ぶ商業地区に足を運び、好奇な視線を集めながらも楽しい時間を過ごしていた。

最後の買い物を済ませて新緑の芽吹き亭に帰ろうと、郊外に向かって歩き出したボドーに声を掛けて来る女性がいた。


「ボドー様、御元気そうで何よりです(ニコニコ)」

「ぺルラ!元気にしてましたか?」

「御蔭様で病気などに罹らず、元気に毎日過ごしています」

「私の為に尽くしてくれた貴女達を残して、屋敷を飛び出した我儘を許してください。酷い事をされていませんか?」

「ボドー様、フィー様がいた頃と比べたら、働き難い環境に変わりました。ですが第三子のカミラ様がボドー様付けだった従者達を、纏めて受入れて下さり助かっています」

「カミラ様が?!・・・」

「カミラ様は激情的な一面も有りますが、根は凄く優しい方です(ニコニコ)」

「往来で立ち話も何ですから、お茶でもしながら話しませんか?」

「宜しいのですか、ボドー様」

「構いません、ぺルラには沢山助けられていますから」


ボドーの神聖衣の話をしながらカフェに向かう二人、店に入ると頻繁に利用していた時代とは激変した露出過多の格好に、店主や店員達が表情を強張らせて動きを固めてしまう。

が、領都ズレクに滞在している神託の聖女ガーネラの口を通して、女神アスナール様に着るよう命令された事を話すと、先程以上の驚きの表情をされ固まってしまった。


「ボドー様は凄いです。女神アスナール様から直接命令を受けるのですから」

「私では有りません、ガーネラちゃんが凄いのです」

「聖女様とも、お知り合いなのですか?」

「ガーネラちゃんは、フィーの腹違いの姉です」

「エエエーーーー!!フィー様は神託の聖女ガーネラ様の、妹君だったのですか!」

「メノウの娘ガーネラが長女、タシューの娘ルオが次女、私の娘フィーが三女に成ります。メノウとタシューとは直ぐには会えませんが、娘達は良好な関係を続けています」

「バルドストン家とは大違いですね。正妻トレイシー様派閥と、第二婦人パメラ様と第三婦人ヒラリー様の連合派閥が険悪な状態です。其処に来てトレイシー様の息子ヴィクター様が妹君でヒラリー様の娘グレンダ様を近親婚で娶ると言い出し、パメラ様、ヒラリー様連合派閥支持に寝返りました。

逆にパメラ様の息子で第二子マイルズ様と第四子ラッセル様、ヒラリー様の息子で第五子のラッセル様が懐柔され、正妻トレイシー様の派閥支持を表明しました」

「カミラ様は?」

「何方にも与しないと宣言され、中立の立場を表明しています。其れでボドー様にカミラ様からの手紙を預かって来ました。此れを御読みください」


ボドー付きだった従者ぺルラから受け取った手紙には、

館を勝手に出た第四夫人ボドーが全裸に近い格好で領都ズレクを徘徊している事に対して、正妻トレイシーが激怒して処罰を与えるよう王都ログザークに滞在している領主ヒューバートに手紙を送った事。

領主ヒューバートからの返信が先日届き、第四夫人ボドーと娘フィーに対して懲罰会を開くように指示されていた事。

懲罰会を開くにあたり家族会議が開かれ、第三子カミラを除く全員が賛成した事。

二週間後トラザム広場でバルドストン家主催の公開懲罰会を開き、領民が見ている前でボドー親子に対する判決を言い渡す事が書かれていた。


「酷い、ボドー様、フィー様を晒し者に・・・」

「ぺルラ、私はバルドストン家との繋がりを切れる、良い機会だと考えています。此のガーネラちゃんから贈られた神聖衣を着ると決めた日、上級貴族の妻という身分を捨てる覚悟をしました。辺境伯の爵位は公爵位や侯爵位と同格とされる、上級貴族の中でも最高位と言われる二つと並ぶ階位です。世間一般から見れば裸同然の神聖衣を着て蔑まされるよりも、辛い事が有っても辺境伯の妻の身分を守るのが当然だと思われています。しかし様々な束縛から解放され真の自由を手に入れ、自分が心の奥底から求めているモノを見付けてしまった現在、旧態依然の仕来たりと虚構と虚飾で塗り手繰られた貴族の生活に戻る気は全く有りません」

「・・・・・・ボドー様の見つけたモノとは、いったい何なのでしょうか?」

「ズレク冒険者ギルドマスター・エリカに解放の仕方を教えられ、神託の聖女ガーネラちゃんと五聖賢女のリオンちゃん達に徹底的に強化された、自らの魂を解放する一番崇高で一番下品な太古から続く野蛮な儀式です(ニコニコ)」

「ボドー様の話は難しくて理解出来ません。いつか私にも教えて下さい!」

「ぺルラが望むなら今日からでも教えて上げます、時間が有る時に新緑の芽吹き亭に来て下さい。新緑の芽吹き亭に住んでいる全員が、ぺルラの参加を心から歓迎してくれますよ(ニコニコ)」

「「はい!、絶対に顔を出します。ボドー様、約束します!(ニコニコ)」

「ぺルラ、御使いを頼まれてくれますか?」

「任せて下さい、ボドー様」

「カミラ様に今から手紙を書きますから、必ずぺルラが直接渡してください」


ボドーからの手紙を預かった元従者のぺルラは言付けを守り、辺境伯第三子カミラ・ヴァン・バルドストンに直接手渡した。

手紙を読んだカミラ・ヴァン・バルドストンは、納得した表情を見せ少しだけ笑顔を零す。

一方、ボドーからカミラの手紙の内容を聞いたギルマス・エリカも、終始満面の笑みを浮かべながらアーネが骨抜きにされたマダレーナの喜びの館に向かった。


「(次の依頼の邪魔に成る要因は消えた、此れで心置き無く塵共を潰す事が出来る。アーネには犯罪者共の命を、最低でも四桁は狩って貰うか(ニヤニヤ))」




添付キャラは、ボドー付きの元従者ぺルラ、バルドストン辺境伯第三子カミラ・ヴァン・バルドストン、特殊娼館マダレーナの喜びの館で働くマルメです。


挿絵(By みてみん)



























評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ