第6話 どうして俺が?
1.人界魔界間ゲート
暗闇が続く。
まだ身体は指一本すら動かせない。
(あ、そうだ。)
脳内メニューからフレンドの項を開く。
ラマンダに連絡をつけて、助けてもらえれば…!
…距離が遠すぎるのでチャットできないという、システムからのお達しがあった。
2.魔界-転移門
(お、移動が終わったっぽいな。)
やっと景色に色が戻った。だが、安心できない。
どこの壁もおどろおどろしい紫色で染まっている。
そして、視界の真ん中にはゲートらしき黒い穴。
ここを通れば元の世界に戻れるのだろうか。
まぁ、俺には自由はないようだが。
まだ麻痺状態らしきものは続いている。
…体も動かせないし暇なので、ログアウトすることにした。
《リスポーン地点が【人体研究ラボ】に変更されました。》
2.魔界-人体研究ラボ-留置室
飯などを食って再びログインしてみると、ゲーム内時間では6時間程度経っていた。
(時間の流れが違うのか。)
調べてみると、ビクトリアの内部は、現実世界と比べて時間の流れが3倍になっているらしい。
(ふむ…。)
あの謎の麻痺状態は解けていたので、自由に動ける。
真っ先に周囲を見渡すと、視界の端から端、その全てがさっ白い壁だった。
檻もない。何処かしこも壁だけしかない。
完全なる密室だ。
───なにそれは…。
独りごちた。
意味不明。
どうしてこんなことになってしまったんだ…。放置プレイは趣味じゃない。ついでにNTRも。
(いきなり拉致されたのは、なんでだろう)
…!そうだ、とりあえず自分の状態を確認してみよう。
「…剣はある。身の着はそのままみたいだ。槍の傷もなくなってる。」
…剣があるので、多分、ちょっとは戦える…でも、どうすればいいんだろう。
(なんか、アナウンスが魔界とか言ってたぞ。ここってかなりやばい所なんじゃないのか…?)
先程言った通り、此処は密室なのだ───。
(まぁでも、やれることは、やるか…。)