第4話 出会いの先にあるのは、別れ
1.バゼリ王国-教会
(あーあ。耐久ステータスがよく伸びるらしいから【ナイト】にしたんだけどなぁ…。)
粒子が人の形に集まり、復活する。
教会を見渡すと、ラマンダが長椅子に座っていた。
「また死んだのか。」
軽く言ってくるラマンダ。
ラマンダは俺との会話の後、教会に戻っていたらしい。
「ま、根気良くな。…どうした?」
俺はラマンダにスキルアビリティのことを聞いた。ついでに、自分の持つスキル、あと、【ナイト】についても詳しく教えてもらうことにした。
───スキルアビリティって、なんなのか聞きたくて…。
「スキルアビリティは技能系のスキル…フレンドリストを確認してみるか、いいよな?アーサー。」
どうやら、こちらが許可さえすれば、フレンドになった人物の状態やスキル構成を見れるようだ。
俺のスキル構成は、技能系スキルは【魔法剣】、【剣術】、肉体系スキルは【体力増強】、【筋力増強】。
「…お前でいうと【剣術】、【魔法剣】だな。それら(技能系スキル)を習得していると、スキルアビリティは発生する。」
「アビリティは基本、必殺技みたいなものだ。」
「戦闘をこなせばこなすほど手に入れることができると思うぜ。俺もそうだったからな。」
なるほど、必殺技!ロマンがある。
目指せ!魔法剣の騎士!と言ったところだな。
「あとお前…【ナイト】にしてるのか?【ナイト】は玄人しか使えないって、よく言われてるぞ。」
「耐久ステータスがいくら伸びても、敵の攻撃力がそれ以上の勢いでインフレしていくから、使い道がないらしい。」
───え、それ、マジすか…!?
「大マジだな。覚える【職業アビリティ】も…【かばう】、【殿の心得】、【周囲絶断】…どれも防御系スキルだけど、あんまり評価は良くないみたいだ。」
「あ、でも。アーサー、その分研究されてない職業でもあるらしいから、そのへん、可能性はあるよ。」
情報をくれた上で、励ましてもくれるラマンダ。
あったけぇな…。
俺は初めに助けてもらった時の事も感謝しつつ、ラマンダにお礼を言った。
───助かります。ラマンダさん。
───おれ、もうちょっと頑張ってみます!
「よせやい、礼を言われるほどのことじゃねぇよ。」
「あと、呼び捨てでいいからな。」
ラマンダは視線を逸らして頬を掻いた。
2.バゼリ王国-穀倉地帯
ラマンダと別れ、ひたすら修行と洒落込む。
(強くならねば。)
このゲームは死んでもペナルティがないから、レベルアップのためには回復を気にせずひたすら戦闘する方が効率がいい。
(復活すれば体力は満タンになるしな。)
黄金色のでかい藪に入り込んで敵を探すと、少し遠い所に『食いだめげっ歯類』の姿が。
偉そーにふんぞり返ってくつろいでやがる。
…【衝撃波】を使ってみるか。
スキルアビリティの使用法は、使いたいスキルアビリティの名称を脳内で意識する事。
《【衝撃波】がセットされました。》
奮ッ
[kiaッッッ]
『食いだめげっ歯類』は叫ぶ暇なく俺の剣に両断された。
「お、やったぞ。───て、え?」
ついでに視界を塞ぐ黄金色の薮も【衝撃波】は全部刈ってしまった。
(───え、"アイツ"…何…だ…!?)