第3話 あっさりと
1.バゼリ王国-穀倉地帯
俺は腰の剣を鞘から引き抜く。
(やっと、待ちに待った戦闘だ…!)
【ビクトリア】の戦闘は以下の要素を常に意識して行うことになる。
技能系スキル:【剣術】……剣の取り回しに補正がかかる。より軽く扱える。
技能系スキル:【魔法剣】……魔力を剣に纏わせることができる。
これら、上述の技能系スキルを脳内で意識して、【起動】すると、攻撃にスキルの効果が反映されるのだ。
そこら辺の藪を掻き分けていると、『食いだめげっ歯類』が現れた。
[kiaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!!!]
(…くる…!!)
けたたましい叫び声だ。
「うおりゃーっ!」
だが、怯まず剣で斬りつける。
すると、すっぱりと胴体を両断することができた。
(おおっ!?)
肉体系スキル:【筋力増強】…自身の筋力値の成長率を1.5倍する
確実に、初期に選択したスキルビルドの影響だった。
《アーサーさんのレベルが5に上がりました!》
「よし、まずは手近のを倒せたな。」
《取得スキルアビリティ:【衝撃波】》
スキルアビリティ:【衝撃波】…前方にダメージを与える衝撃波を放つ。
「…スキルアビリティ?」
見知らぬ言葉に疑問符を並べた俺の足はすでに食いちぎられていた。
「───え?」
両足を丸々失ったので、否応なく視点が地面へと落ちる。
(待って待って待って待って。)
「このっ…!?」
見れば、『食いだめげっ歯類』が6匹。忙しそうに俺の足を齧っていた。
「え…グロ…。」
(というか、四肢の欠損とかありかよ…!)
ともかく、あのげっ歯類はけたたましい叫び声で仲間を呼ぶ習性があったらしい。
彼らの目が、俺へと向く。
「ひ、ひぃっ!?おい、来るな!やっちまうぞ!」
俺は剣を振り回して抵抗するが、虚しく6匹のげっ歯類に余す所なく食いちぎられ、粒子と化して死亡した。
(こんなにあっさりーっ!?)