第十六話 VS実験体00−001 ②
来た。これからが本気モードだ。本当に恐ろしいのはここからだ。
すぐさま、第一階位【ファイヤー】を発動させた。
一度使ったことがあるから発動が早い。
『!! 回避しまス』
実験体00−001は【ファイヤー】を躱した。威力は相変わらずおかしい。
俺は構わず【ファイヤー】を出し続けた。これで少しは牽制できるはず。
しかし突然、実験体00−001は動きを止めた。
『計測完了。威力Sと判断。回避行動を中止しまス』
【ファイヤー】が実験体00−001に当たった。
しかし、ノーダメージのようだ。全く効いてない。
どうやら、金剛鉄の鎧で防御力がSS級以上だったのだろう。
これは結構まずいな。相手の防御力はSS級以上、その上攻撃力もSS級以上だろう。
対して俺の装備は【星剣クレイモア】のみ。防具はなし。おそらく【星降の剛腕】の打撃のみですら一確だろう。
『本気モード』
実験体00−001は高速で移動し始めた。
この速さ、俊敏性SSS級くらいか? あまりにも速すぎる。
辛うじて見えるのはアイツの目が光って……まずい、【光速光線】だ!
俺は全力で走った。光線を俺の腰辺りを通った。
「躱せた? うぐっ!」
どうやら少し掠っていたようだ。
かなり痛い。現実ではなかなか感じたことのないかもしれない。
それに痛みがしっかりと感じれるから、この世界はゲームではないと実感できる。
しかし、そんなこと言っている場合ではない。
「ちょっとまずいかもな」
「ちょちょちょっと! 大丈夫!?」
「策はある。任せとけ」
実験体00−001を倒す方法は二つ。
一つは相手の魔力切れを狙うことだ。
実験体00−001は魔力を動力源にしている。つまり、魔力がなくなれば動かなくなる。
もう一つは生命核を取り出すことだ。
実験体00−001の魔力が溜まっている核がある。それがなくなれば動かなくなる。
基本的には前者の方が簡単だ。ただ攻撃を躱し続けるだけでいい。躱せればの話だが。
だが、それじゃ面白くない!
「そんじゃ、今度はこっちのターンだ」
【星剣クレイモア】を構える。以前獲得したスキル【剣術SS級】を使って戦うことにしよう。
俺は一気に間合いを詰めた。まずは【金剛鉄】の鎧を破壊しなければいけない。
俊敏性SS級のおかげで速い。しかし、相手は俊敏性SSS級以上。速さでは相手の方が上だ。その速度差をなくすような立ち回りをしなければ近づけない。
ようは鬼ごっこだ。
『私に近づくナ!』
【星降の剛腕】による【星砕き】だ。
思いの外、【星降の剛腕】の振りは速くない。ただ、地面が抉れ足場が悪くなるのはちょっと厄介だ。
だが、避ければ問題ない!
「鎧はもらってくぞ!」
『!!』
バキィィィン!!
【金剛鉄】の鎧は砕いた。これで生命核が取り出しやすくなった。
しかし、俺は忘れていた。相手の右手の存在を……。