第十五話 VS実験体00−001 ①
来たな。実質魔王よりも邪神よりも強い最強の敵。
俺がゲーム上、最も苦戦した敵だ。
並のプレイヤーじゃ手も足も出ないだろう。今の俺だって勝てるか怪しい。
だが、せっかくここまで来たんならやるっきゃないだろ!
「ヒナコ、物陰に隠れてろ」
「うん。絶対勝ってね」
俺は小さく頷いた。そして、アイテムボックスから以前出した星剣クレイモアをだした。
すると。
『何をしに来タ、人間』
「!! 喋れるのか」
ゲームだと無口で喋らない。無言で始まり無言で終わる。そう思っていた。
しかし、喋った。話せるだけの知能が身についたのか。
『ここは私の領域。すぐに立ち去るがいイ』
「悪いけど、そうもいかないんでね」
「そウ。なラ、排除しまス」
そう言って、唐突に【光速義眼】の【破壊光線】を出してきた。
こいつは遠・中・近距離全体様。【光速義眼】は遠距離装備だ。
スキル【超越】を使い、【破壊光線】を躱す。
相変わらず威力はえげつない。当たったら大抵の人は即死だな。
『避けられタ。なラ、ちょっト本気』
今度はさらに速い【音速光線】だ。これなら星剣でも切れる速さだ。
ばっさり切った光線は左右に分かれ、地下施設の壁をえぐっていく。
『脅威度Sに引き上げまス。本気モード』
来た。本命の【光速光線】。こいつは速すぎるから……全力で躱すしかない!!
……紙一重だった。髪の毛何本か掠ったか?
これを連発されたらヤバいが、クールタイムがある。
あいつを止めるには近づかなければならない。
だから、一気に距離を詰める!
「うぉぉぉぉぉ!!」
俺が近づこうとすると大きな左腕を振りかざした。この構えは……【星砕き】だ!
俺は咄嗟に後方へ飛んだ。その瞬間、【星降の剛腕】が地面を叩き割った。
地面に大きな亀裂が生まれた。これが近距離兼中距離の装備だ。
【星砕き】等の打撃は近距離だが、こいつの性能は別にある。それは……【流星群】だ。
【星降の剛腕】は一種の大砲のような役目もある。魔力を溜め、大量の魔力弾を放つ。それが【流星群】。
案の定、腕を俺に向けてきた。【流星群】の合図だ。
すかさず、星剣クレイモアの持つ特殊能力【虚無】を発動させた。これで【流星群】は防げる。
無数の魔力弾が【虚無】に吸い込まれていく。計算通りだ。
『脅威度を最大に引き上げまス。敵を排除しまス』
来た。これからが本気モードだ。