第一話 ゲーム内転移していた
新作小説です!
これからもよろしくお願いします。
俺は宮内海馬。ごくごく普通のゲーマーである。
そんな俺のイチオシゲームは【New Adventure World】、通称【NAW】だ。
オンラインゲームであり、世界中に1億人ものゲーマーがプレイしている。剣、魔術、その他諸々何でもアリなゲームだ。
「やった……やったぞ!」
とある日、俺は人生で一番と言えるほどの喜びを感じていた。
俺が学生の身でありながらそのゲームに専念して早4年。課金勢が多いゲームであるが、そんな彼らをも下し、全プレイヤーの頂点に立った。
世界ランキング一位。これが俺の夢だった。その夢が、今達成された。これ以上無いほど嬉しかった。
今まで四年間、毎日10時間、総プレイ時間約14600時間やり続けたかいがあった。
今は深夜2時。起床は6時だ。そろそろ寝なきゃ。俺は嬉しい気持ちになりながら、眠りについた。
・ ・ ・
午前6時。今日は平日の月曜日。俺はまだ高校2年生だ。だからいつも通りの学校がある。いつもなら嫌々学校に行くのだが、今日はとても気持ちが良い。
クラスメイトにも【NAW】をプレイしている友達がいる。その友達に自慢したくて堪らなかった。故にとても上機嫌だった。
学校はいつもギリギリに到着する。
この習慣は中学からずっと続けてる。なぜそんなにギリギリにゆくのか。それはもちろん、ゲームをギリギリまでするためだ。
俺にとって時間は、一分一秒たりとも無駄にはしたくない派である。俺にとってゲームは、一秒でも多くプレイする派だ。
俺にようにギリギリまで学校に来ない人はそうそう居ない。
今日もいつも通り、ギリギリに登校した。そして、毎度恒例の説教を聞かされる。
「遅いわ。いつも言ってるでしょ、学校には余裕を持って来るって」
彼女は幼馴染であり、クラスメイトであり、生徒会二年副会長を務めてる西条日向子だ。
黒髪の長髪で容姿端麗、成績優秀、運動神経抜群、そしてクラスメイトからの信頼が厚い、まさに完璧女子。
俺とは全く違う性格だ。因みに俺の容姿は黒髪でイケメン顔と言われているが、その割には陰湿なキャラだ。だから、皆からは【残念イケメン】というあだ名を付けられた。
彼女は毎度正門で仁王立ちし、俺が来るのを待っている。
そして毎回あのようなことを言う。俺のために言ってくれるのは嬉しいが、彼女も分かっているはずだ。
何を言っても無駄だ、とね。
「はいはい。毎回毎回どうも」
「あなたねぇ。もう高2でしょ。そろそろ真面目にやりなさいよ。これはあなたのために言ってるのよ」
とまぁ、こんな感じ。これを毎回言われる。本当によく諦めずに言ってくるなと感心した。
教室に入ると既にクラスメイトが集まっていた。これも毎回同じだから、もう慣れた。
ホームルームまであと2分。これだけあればゲームの自慢ができるな。俺はそう思ったため、ゲーム友達の所に向かった。
「おー。やっと来たか、海馬。っていつも通りか」
「今日も日向子ちゃんに言われたのか。お前も改善しないなぁ」
「流石は、学校一のガチ勢ゲーマーだな」
彼らは俺のゲーム友達だ。
上から鱸南人、升貝匠、鷹波清二郎だ。
仲が良い友達かつ同じ【NAW】のプレイヤーである。
「そういえば、今やってるコラボイベント、あれキツくね」
「まじそれな!」
「無理ゲーだよな」
彼らが集まる時は大体【NAW】の話だ。俺も交わりやすい会話ができる唯一の友である。
「なぁなぁ、ちょっと聞いてくれよ。実は……」
彼らに自慢しようとした時……
「はい、そろそろホームルーム始めるから席について」
先生が入ってきた。なんとタイミングが悪い。この話はお預けとなった。
ホームルームまで後一分。30秒、10秒、3、2、1……
「じゃ、ホームルームを始めま……」
唐突に教室の床が光り始めた。その光は止むことはなく、むしろ強くなり、目の前が真っ白になった。
・ ・ ・
「……ここは?」
目が覚め、目の前に広がる風景に俺は言葉が出なかった。
小高い丘に広がる穏やかな草原、眩しい太陽……のようなもの。そして遠くには雲を突き破るほど高い山脈があった。
草原の下手には流れの速い川がある。この川、どこかで見たような……。これは……そう、【NAW】ストーリーモードの第八エリアに存在するラベル川に似ている。いや、全く同じだ。
ってことは、ここは同じく第八エリアの【ラベル草原】、あの山脈はラベル山脈ってことになる。
ここって……まさか……【NAW】の世界!?!?
どうやら俺は、ゲームの世界に入り込んでしまったようだ。
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