40.Never Ending Story‼︎
卒業を前に、梨桜達はみんなで
イルミネーションを見に行く。
別れることを惜しみながらも、
四人は離れることはないと通じあい、
ついにその時を迎えるー……
「卒業生、退場」
長い、長い拍手が何度も何度も続く。
先生の合図で立ち上がった私達は、ゆっくりと体育館を後にした。
私ー今泉六花は今日をもって高校生活を終える。
この高校にきて一年。色々あったな、なんて物思いにふけってしまう。
式が終わるが否や、部活動の後輩達が、卒業する三年生に贈り物を送っていた。
三年生同士で元気でねと泣きながらだきあったり、親に卒業証書をみせていたり、人それぞれだ。
今まで私は、それをなんとも思えず一人孤独に卒業式を過ごしていた。
卒業することに寂しさも、何も感じない。
小学校の頃なんて誰もいなくならないのに、なんで泣いているのか意味がわからなかったくらいだ。
でも今回は……違う。
「お疲れ、六花。先生の話、相変わらず長かったな。あたしうとうとしちゃって、立つの忘れそうになったよ」
「もう、だから早く寝るようにって言ったのに」
「楓っぴにはわかんないだろうねぇ、卒業式って思うだけでワクワクして寝れなくなるもんなんだよ~」
梨桜、蛍、楓の三人が揃って私の元へやってくる。
いつもちゃんとした格好だった楓はともかく、二人がしっかり制服を着ているのは初めてだ。
ただ、蛍だけはある箇所が違い……
「蛍、ブレザーにあったボタンは? 全部ないけど」
「あー、なんか欲しいって言うからあげたんだよなー。なんでボタンなんかが欲しいんだろうな?」
「……それ、もう答え言ってるようなものだと思うけど。お下がりにするって断ればよかったのに」
「あそっか! 考えもしなかったわ! けどくるとしてもまだまだ先だし、ボタンの一つや二つくらいいいだろっ!」
相変わらずだ、そう思いながらも私は、この場にずっと留まりたくなってしまう。
今までの私ならきっと、帰りたくないってなってたんだろうな。
……でも、大丈夫。
「よし。私、そろそろ行くよ。お母さん、待ってるから」
「お? あの六花ちんから切り出すなんてめっずらしぃ〜この前まで離れたくな〜いto
か言ってたのに」
「永遠の別れじゃないって言ったのは梨桜でしょ? それに、約束したから。毎年会おうって」
ずっとずっと、求めていた。
心のどこかで、諦めていたかけがえのない存在を。
こんなにも離れ難い気持ちになるのは、もう二度とないんだろうなぁ……
「今泉六花、須賀蛍、長谷部梨桜、久保園楓」
ふと、名前を呼ぶ声がする。
聞いたことのあるその声は、御影さんのものだった。
こうして直接話するのはバレンタイン以来……だろうか。
彼はしばらく私たちの目を真っ直ぐ見つめ、ふっと笑みを浮かべ……
「あの頃に比べて、少しはマシな面になったな。まさか丸一年、その面を拝むことになるとは思わなかったが」
その笑みはどこか優しく、呆れているようにもみえた。
こんな風に笑えたんだ、御影さんって。
ぽかんとする私に変わり、梨桜がで? と彼に話題を振った。
「御影っち、元気でね! これからは天界に戻るんだろうけど、あっちでもちゃぁんとうちらの行く末でも見守っててよ!」
「その必要はない、やるべきことが出来た。それも、貴様らのおかげだ。もし機会があるとするならば……また、会えたらいいな。その時は………として」
彼はそう言うと身を翻し、足早に去ってしまった。
向こうで待っていたニ渡君や、藤木君のもとに。
相変わらず、最後まで謎な人だなぁ。
またどこかで会う……なんてこと、あるのかわかんないけど。
私達は、神に呪われている。
正確には呪われていた、だけど……
「あーーー! お腹すいた!! やっぱ帰り、どっか寄ってこーよ! うちいい店見つけたんだ!」
自分の存在意義を探すため。
「おっ、いいなぁ! どこなんだそれ?」
過去からの呪縛を、抜け出すため。
「え、私もう迎え来てるんだけど……いいの、二人とも」
イメージの自分を、壊すため。
「まあ、こうなることは予想してた……よね。卒業式なんだもん。きっと、お母さん達も許してくれるよ」
そして、かけがえのないものを手に入れるため。
一人一人が輝く場所へ、四つの花びらは今日も共に飛んでゆく。
先の未来でもきっと、笑いながらたわいもない話が出来る。
ここで、終わらない。
私達四人の絆はきっと、永遠に、どこまでも続いていく。
そう信じながら、私達は共に歩き出したのだったー……
fin
約一年間、本当にありがとうございました!!
四人の物語、いかがだったでしょうか?
きっとこの先の未来でも、四人は変わりません。
御影さんともどこかで再会してほしいなぁ、
なんて未来の妄想をしましたが
あとは皆様にお任せします笑
呪いという重いテーマながらも
四人のわちゃわちゃが本当に楽しくて、
ここまで書けたことに感無量でございます。
終盤あたりからかなり迷走しましたが、
書きたいものは書けたのでとても満足しています。
詳しいことは活動報告にもあげるので、そちらもぜひ!
また四人に会いに来てくださいね。
それでは、またどこかで……




