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39.ワタシタチハキットセンコフエキ

もうすぐ卒業。

感傷に浸っている中、突然六花の家に三人がやってくる


驚くのも束の間、

四人でイルミネーションを見に行くことに…

吐く息が、白い。

外では雪が降っていて、静かに空を舞っていた。


そんな寒い中彼女達と共にやってきたのは、バスで10分もしないある公園だった。

軽手取公園という場所で、毎年イルミネーションが綺麗だと有名らしい。

今日が最終日、ということもあってなのかそれなりに人手もあって……


「こんなさっむいのに、よーー人がいますなぁ?」


「梨桜、それ私達も人に言えないから」


「いやぁ、やっぱここのイルミネーション綺麗だな〜! 2月までやってるとこってあんまないけど、ここはすげぇ長くやってくれるんだよなぁ」


梨桜が、楓が、蛍が、口々に言う。

木々に装飾されたイルミネーションが、とても綺麗に輝いていた。

人が通る道沿いにも明かりが施されていて、とても綺麗だった。

奥にはハートなどにかたどられたオブジェも、色とりどりに装飾されていて……


「………そういやさ、みんなって夢とかあるの?」


イルミネーションに見とれている中、突然梨桜が言う。

それでも彼女はイルミネーションから目を離さず、私達と目線を合わすことはない。

それを見かねた蛍が、そうだなーと一番に口を開いた。


「あたしはやっぱりキャビンアテンダントになりたい! 今までは無理だと思ってたのに、卒業したら外国大学だぞ? くぅぅ〜〜なんか緊張してきたぜ!」


「蛍、課題のほとんどが分からないって言ってたもんね。教える私の身にもなってほしいんだけど?」


「そういう楓だって行くの、四年大だろ? 進路、もう決めてるんじゃないのか?」


冷たい風邪が、私たちの間を吹き抜ける。

風で靡く髪を抑える楓の横顔はやはり綺麗で、何人もの男性が一度は振り返って見ている気がする。

そのことに気づいているのかいないのか、楓は少し目線を外して、恥ずかしそうに告げた。


「私は司書、かな。本が好きだから、そういうお仕事ができたらいいなって」


「へぇ〜司書なぁ……確かに楓、似合いそう」


「ありがとう六花。それで? 言い出しっぺの梨桜は何か目標があるの?」


「うち? うちは決まってるよ〜自分で会社作って、社長になる!!」


そう言う彼女の目はいつにも増して、自信に満ちていた。

彼女のまっすぐな瞳の中には、イルミネーションが写っている。

私が見ていることにきづいたのか、梨桜はにこりと満面の笑みを浮かべた。


「そん時は六花ちんを第一社員として、うちが迎えてあげる☆」


正直、そんなことを言われるなんて思ってもなかった。

私には彼女達のようななりたいものも、夢もない。

それでもいいと言ってくれる人が、たくさんいる。

むしろ可能性は無限大だと、以前梨桜が言ってくれた。

そんなみんなが優しくて、とても暖かくてー……


「あーあ………終わりたくないなぁ……」


ぽつりと出てしまった本音に、私は空を仰ぐ。

上を向いていないと涙が出てきてしまいそうで、それを感じ取られたくなくて顔をろくに見れなくなる。

もうすぐ、終わってしまう。

楽しかった四人でのひとときもー……


「終わらないよ、何も」


私の右手が、そっと握られる。

気がつくと梨桜が自分の左手を重ねていて、笑みを浮かべながら同じように空を見上げた。


「別に、これが永遠の別れってわけじゃないじゃん? 卒業してもいっぱい四人で会おう? ずっとずっと、ずーーーっと! 何度でも!! 嫌と言うほど!!」


「ははっ、梨桜のことだから毎日連絡来そうだなっ」


「……まあ、それもいいかもね」


気がつくと楓と蛍も、手を繋いでいた。

四つの手が連なり、同じ空を見上げている。

それがなんだか嬉しくて、離れがたかった気持ちが少し和らいでー……


「それなら毎年ここにこようよ。四人で、一緒に」


夜空に浮かぶ四つの星が、寄り添うように輝いている。

イルミネーションの下で握られた手は、今まで感じたことないくらいとても暖かかったー……


(ツヅク!!)

最初で最後のエモエモ回です。


呪いがあったとはいえど、

やはり最後は四人でわちゃわちゃしてる姿が

一番書いてて幸せでした。


軽手取公園という名前も、四人組ということで

カルテットからつけていまして、

タイトルのせんこふえきも、【千古不易】という四字熟語で

永久に不変であること、という意味です。

四人にはずっと、このままでいてほしいですね。


次回、30日更新!

いよいよ最終回、最後までよろしくお願いします!



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