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38.暇を持て余した主人公の図

バレンタイン当日。

餞別として御影に渡すことができた六花ら四人。


しかし、楽しい時間は

あっという間に過ぎていく……



時計の針の音が、かちりとはっきり聞こえる。

さっきから全然進んでないじゃん、とばかりに私は逆方向へ顔を向けた。


今泉六花、自宅学習期間真っ最中。

とにっっっかく暇を持て余しております……

受かった大学の準備や、用意された課題をしないといけないことは百も承知で分かっている。

それでも時間の経過が遅く感じてしまうのは、彼女達とほとんどいないからだろう。

バレンタイン以降、彼女達とは会っていない。


梨桜は遊ぶためにあるんだ、なんて言ってたけど、連絡も来ないところをみると楓にでも抑えられてるのだろう。

あちらからこない以上、私から送るにも忍びなくて、申し訳なくて……


なんか、こんなこと前にもあったなぁ。

あれは夏休み……だったっけ? 出会ってから一年も経つのに、何も変わってないんだなぁ……私……


「やってみても、いいのかな……」


自宅学習期間とはいえ、彼女達と過ごす時間もあと僅かに迫っている。

そんなことがわかっているのに行動しない自分がもどかしかもあり、情けない。

………いや、言おう。3人に、会いたいって

邪魔だと、勉強しろよと言われても構わない。

彼女達と最後に会うのが卒業式にならないようにー……


とりあえず、最初に梨桜にかけてみよう。

何コールかして出なかったら、次は蛍……がいいかな?

えーっと、最近何してるかっていうのと、空いてる日ありませんかっていうのと………


『もしー? もしもしもしもしーー? こちら梨桜だけどぉ〜奥さぁん、繋がってますよ〜?』


気づいた時には、もう遅かった。

何回コールしたか数えてもないのに、きづいたときにはすでに彼女に繋がっていた。

本当に繋がるとは思っていなかったため、考えていたことが一気に吹っ飛んでしまい……


「り、梨桜!? えーっと、あの、本日はお日柄も良く……」


『これこれ、そんな慌てんで落ち着かんと〜何言ってるかわからんぞ〜?』


「ちょ、ちょっと待ってね、何話すんだったか思い出すから!」


『ていうかぁ、今いるんだけど。六花ちんち♪』


相も変わらない梨桜の声。

それがなんだかほっとして、だんだん落ち着いてきて……

……ん? 待って? 今なんて言って……


「お、おおおおお姉ちゃん、おおお男のお客さんがお姉ちゃんをって……何あの人! 彼氏!?」


電話中にも関わらず、妹の晶が血相を変えて部屋に飛び込んでくる。

なんの話かわからない私は、はぁ? と怪訝に顔を顰めながら、玄関に行って……


「もぉ、だから言ったでそ? 扉開けたらイケメンほたるん!! は絶対彼氏に間違われるって」


「いくら女の子だからって、自分がかっこよく見られてるってこといい加減自覚してよ。蛍」


「だ、だってさぁ……あ、六花! わ、悪い、妹さんに勘違いされて……」


そこにいたのはなんと、梨桜ら3人だった。

知人が少ない私を尋ねてくる男の知人なんて、って思ったけど彼女を見て、蛍を男に間違えたのかと察した。

なんで3人がここに……私、家教えたこと……


「へへ、驚いた? ほたるんがおうち知ってるっていうから、サプライズで来ちゃった☆」


あ、そうだ。私、蛍に家がバレてるんだった。

なにもこんな急にこなくてもいいのに……そう呆れながらも、電話を切って3人の元へ歩く。


「どうしたの急に。自宅学習期間中じゃ……」


「そんな毎日勉強ばっかしてちゃ、体鈍っちゃうわよ! 今から空いてない? 軽手取公園でやってるイルミネーション見に行こうぜ☆」


さすが梨桜、行動力が尋常じゃないくらい早い。

私が返事をしかねていると、二人もさすがに悪いと思っているのか苦笑いを浮かべた。


「ほんっとにごめんな〜六花〜あたしはちゃんといいって言ってからって言ったんだが……梨桜が止まらなくて……」


「いや、もともとは私がイルミネーションが今日までって話したからだよ。そしたら今夜行くって言って……お邪魔してすみませんってこれ渡しておいて」


そういう楓の手にはしっかりとしたお菓子が握られていて、有無を言わさず受け取らされる。

きっと梨桜が勝手に行く、ってなってから二人は倍に気を遣ったんだろうな。


「と、とりあえずお母さんに話してみるから。3人とも少し待ってて」


母を探しに部屋に戻ろうとすると、そこにはすでにみていた二人の姿があった。

晶は玄関にいる3人と私をジロジロ見たかと思うと、バッサリ一言。


「お姉ちゃんのお友達って存在したんだね……今まで疑ってた……」


とつぶやいた。

まあ、だよね。普通は信じてなんかくれないよね。

今まで信じずに色々聞いていたのかって思うと、それはそれで複雑だけど。


「あ、お母さん、私……」


「せっかくのお誘いじゃない。私達はきにせず、いってらっしゃい。わざわざお友達がお誘いにきてくれるなんて……本当よかったわね、六花」


そういう母の目はどこか涙目で、感慨深そうで。

そりゃ何年も一人だったことを思うと、当たり前かと自分で納得する。

この一年で私、色々変わったの……かな。


「行ってきます、お母さん」


(ツヅク!!!)

本当にあと三話で終わるのか、なんて

思われてそうなので

ここにきて急に最終回感を出しております。


イルミネーションなんてクリスマス時期にしか

やってないだろ、なんて思っていましたが

意外と長くやってるとこもあってびっくりしました。


次回は26日更新。

3人でイルミネーションを見に行きます!

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