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31.そろそろ人生に楽があってもいいと思うんだ

呪いがとけ、半年ぶりに神と再会し

ついに自由を手に入れた四人。


季節はすぎ、あっという間に冬になり……

「今の調子でいけば、合格点は取れると思うわ。でも、油断はしないでね。冬休みは、苦手なところを徹底的にやりましょう」


「は、はい。よろしく、お願いします」


先生に渡された紙を胸に引き寄せ、会釈しながら職員室を出る。

季節はもう、あっという間に冬。


明日から冬休みということもあってか、どこか浮ついている人もいれば緊張したような顔つきの人もいる。

人によってこんなにも対称的な理由は、すぐに分かる。

どちらかと言えば私は、緊張している人の方に気持ちが高いんだけど……


「あ、帰ってきた。やほ〜六花ちん。お邪魔してまーす」


教室に戻るが否や、ひらひら手を振る梨桜は私の席を陣取っている。

そばには蛍も楓もいて、おつかれと優しく微笑んでくれた。


「ごめん、話長引いちゃった……先帰っててもよかったのに……」


「なぁにいってんの。今年最後の六花ちんを見納めなきゃ、無事に帰れんよ!」


「今年……そっか、みんなは補修ないんだっけ」


「なんかごめんな〜試験が先ってだけで、六花だけ補修になっちゃって」


忘れているかもしれないため、ここで改めて言っておくと私達は高校三年生……つまりは受験生である。

冬休みにもなると、推薦やAO入試などで志望大学への合格が決まる人もちらほら出ている。

進学ではなく、就職する人もぼちぼち内定をもらい出して、決まってる人とそうじゃない人と分かれてきた。

無論、特に取り柄もなんもなく普通な成績の私には、推薦なんて道があるわけなくて……


「そぉんな卑屈にならんでも、いいじゃぁん! センターで勝負できるだけの学力があるって思えば充分でしょ!」


「……なんか、私より成績悪い梨桜の方が先に決まってるなんて納得がいかない……」


「ふっふーーん、みんなと違ってうちは就職だからね〜日頃の行いがよかったってもんよ!」


成績が良く、先生や生徒にも頼りにされている楓や蛍はあっという間に推薦で入学が決まった。

それだけならまだよかったのに、まさかの梨桜が早々に就職が決まったというのは驚いた。

つまり私だけがセンター試験を受けるために、冬休みは補修で学校に来なくてはいけなくて……


「安心しなって。六花ちんが遊べない分、うちがリア充しまくるから!!」


「何も安心できないんだけど……」


「大丈夫だよ、六花。遊ばないように、私がきっちり梨桜を見張っておくから」


「うぇ〜〜〜そりゃないよ楓っぴ〜〜〜」


「六花だけいないのに、あたし達だけ遊ぶわけにはいかないだろ〜?」


四人の中で一人だけ、しかも私だけが決まってないってだけで気を遣わせてる気がしてすごく申し訳なくなる。

気にしないでいいのに、と私が言っても楓は大丈夫と声をかけてくれた。

せっかく高校最後のクリスマスやお正月なのに、何もいけないなんてなぁ……

こうして友達と過ごせる冬休みなんて、私にとっては初めてなのに……


「……だったらさぁ、少し早いけどクリスマス会だけでもしない?」


がっかりしている中、梨桜がぽつりと一言放つ。

正直予想もしていなかったので、え? と声が漏れた。


「補修って言ってもある日とない日あるっしょ? 1日だけ遊んでも、別に問題ないと思うわけ!」


「まあ……そうかもしれないけど……」


「それに、この四人で過ごせるの、初めてなんだしさ! これを逃すなんてもったいないって!!」


私もまったく同じことを思ってくれていた梨桜は、ねっと笑顔を浮かべて見せる。

正直、少し嬉しかった。

ただでさえ一人、補修で心細い思いをしていたのに。

いいのかな……3人のクリスマスを、そんな理由で私と一緒に過ごしてもらうなんて……


「あっ、それならさ! 一緒に呪い解放パーティーしないか?」


「の、呪い解放パーティー?」


「ああ! あたしら、やっと呪いがとけただろ? せっかくとけたんだし、みんなでパーっとやりたいなって思ってさ!」


「それめっちゃいい!! 採用!!!」


「もう二人とも……勝手に決めたら六花が困るでしょ?」


やれやれというように笑う楓に、パーティーにやる気満々な蛍。

そして、やってもいいよね? とばかりに私の答えを期待する梨桜……

この3人は相変わらずだ。

一人で引けを感じてる私に比べて、そんなの関係ないとばかりに声をかけてくれる。

こんな私でも、3人と遊んでいいと許されるというなら……


「……みんながいいなら私も、やりたい」


今泉六花、高校三年生の冬。

初めて友達と、クリスマスパーティーをします!


(ツヅク!!)

ここからはやんわぁりと平和な時間を

四人でわちゃわちゃしていきます。


梨桜の話が時期が曖昧で、

時間飛んだ? って思われがちですが、

そんなに飛んでない……と思ってます。多分……


四人の進路先については、おいおい明かします。

進学を選ぶ3人は本当に真面目ですね。

ちなみに、梨桜のみ就職なのは勉強がしたくないから、という彼女の性格故だったり……笑


次回は12日更新!

少し早めのクリスマス!

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