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30.呪いをプレゼントした神様は信仰すべきかどうか。

ようやく梨桜の呪いがとけたことで、

彼女の記憶を取り戻した蛍と楓。


四人揃ったところに、

再び神様が降臨し……


『やあ、半年ぶり……かな? 元気だったかい?』


神々しい光が、彼女を照らすようにさす。

こういうのを後光がさす、というのだろうか。

会うのも、会話をするのも初めてあった時以来だ。

姿形がその頃と何も変わらないせいなのだろうか、久々に会った気がしなくてー……


「うおっ、なんかでた!?」


「あらまぁ、誰かと思えば神様じゃ〜ん! おっひさ〜」


「………今度は、何の御用ですか」


驚く蛍、呑気に挨拶を交わす梨桜、そして怒っているような声をかける楓。

三者三様の反応を見ながら、私も神様へ視線を向ける。

みんなどこか警戒しているのか、顔がこわばっているように見える。

そりゃそうだ、だってこの神が「呪い」なんてものをかけてきた犯人なのだから……


『そんなに警戒しないで。僕は君たちに話があって来たんだ』

「話?」


『そう……僕がわざわざここにきて話したかったもの……それは………おめでとう〜〜〜! 僕がかけた呪いはすべて! 君達の身体から消え去りましたぁ〜!』


にこにことした笑顔と拍手が、私たちに向けられる。

かけた本人がやっているせいなのか、若干わざとらしく見えてしまった。


「………わざわざそんなことのために時を止めてまできたなんて、神様って思ったより暇なんですね」


『そんな悪く言わないでよ〜六花ちゃん。ラッキーガールに選ばれたって時、喜んでくれてたじゃぁん』


「あ、あれは呪いだなんて知らなかったから……」


『これでもヒヤヒヤしてたんだよ〜? そこの3人はとく兆候もなかったからさぁ。まあ、ちょぉっと僕が本気を出せば、とかない選択肢なんてなくなったけど』


本当にこの人は神なのか、そう言いたくなってしまう。

そもそも神様なら、呪いなんてプレゼントを与えたりしない。

ラッキーガールに選ばれた、なんて口車に乗せられて……あの日付けた日を何度後悔したことか。


私は3人とは違って、身体的なダメージは与えられていない。

期限が近づいたとはいえ、3人だけに何か起こったことにすごく違和感を覚えていたけど……


「そっかー、それで徐々にだったものが急に形になったのかー……すげーな、神様って」


「ほんそれ〜〜絶対この人だけは敵にしたくないわぁ〜」


「呑気に言ってる場合じゃないでしょ。そもそも、どうして私達に呪いなんて………」


『君達はすでに勘づいているのではないかい? 僕が呪いかけた理由が、君達自身にあることに』


急に何を言い出すのか、怒りで話を聞く気にもなれなくてついそう思ってしまう。

けれど蛍に梨桜、それに楓も何か心当たりがあるのか、真剣な眼差しを向けていた。


『君達には、大きな共通点がある。心の内に隠している秘密や、悩みがあることだ。一人で悩むことしか出来ない君達はずっと苦しみの中を彷徨ってばかり……そんな君達だからこそ、この呪いという形で解決してあげたんだよ。これで少しは納得してくれたかな?』


言われてみれば、そうかもしれない。

私を含め、3人も悩んでいたことを呪いをとく条件にされていた。

その代わりの代償がみんなひどいものだったせいか、どうも納得がいかない。


私達のためなんて、口だけだ。

敬われるはずの存在、神様に体に害まで与えられたのだ。そうなんですね、で納得出来るわけが無い。

少なくとも、そう思っていた。

あくまでも、私は……


「まあ〜〜そーね〜〜色々あったけど……うち的には、この呪いに価値があったと思ってるよ。サンキュー、神様」


あんな理不尽な呪いをかけられたのに、笑顔でお礼を言う。

そんな梨桜の言葉に、私は思わず振り返ってしまった。

すると彼女は、小声で私に


「言ったでしょ、六花ちんが思い出してくれただけで十分だって」


と話してくれて……


『……驚いたな。下手したら、死んでいたり、男になっていたり……この場にいなかったのかもしれないのに、君達は僕に感謝してくれるの?』


「まー、あれだな。すげーピンチになったけど、今まで何もしてこなかったってのもあるし……あたしがこんな風に吹っ切れたのも、呪いのおかげってのもあるしな。あたしも全然ありがたいって思ってますよ」


「……私も、一応感謝してるつもり。強引なやり方だけは納得いかないけど」


蛍も、楓も、みんな同じ答えだった。

考えてみれば私も、呪いなんてなければ二人にさえ会っていなかったかもしれない。


さくらちゃん……梨桜のことも、思い出していなかったかもしれない。

呪いがあったから、この3人と出会えた。それは認める。

……ただ、やり方が気に入らないとか、神様なんだからちょっとはやりようがあったんじゃないかとか、ついそんなことを考えてしまうけど……


『……何年もやってきたけど、こんな風に感謝されたのは初めてだよ。みんなやり方がひどい〜とかで、不評でね〜』


何年もやってきたって、他にも呪いの被害者がいたのだろうか。

神様が呪いをかけるなんて、普通誰でも納得するわけがないだろうし、否定されてもやり方変えないってそっちの方にびっくりする……


『御影くらいかな? 嫌々ながらも、僕に付き合ってくれるのは』


聞き慣れた名前に、つい反応してしまう。

そういえば彼は当初から、このやり方にうんざりしているように見えた。

それでも私達には最低限の会話しかしないし、ただのお目付役だからなのか学校にもあまりきていなかった。

普通なら呪いをとくなとかいいそうな人なのに、最初の頃は残りの日付を言いに来るくらい催促しにきてたし……


『……そっか、君達は何も知らないんだったね。彼のこと』


私の考えを読んでいるかのようなタイミングで、神が言う。

その人は何故か悲しげな表情を浮かべたかと思うと、すぐににこっと微笑んでみせ……


『まあ、とりあえず呪いの解放おめでとうっ。これからは残された高校生活を楽しく、楽しく送るといいよっ!』


「え、ちょ……今の、どういう……」


『神のみぞ知る、ってね。それじゃっ、またどこかで会えたらよろしく〜♪』


「あっ、待って……!!」


私が止める間もなく、神は姿を消してしまう。

そして何事もなかったかとでもいうように、時が動き出した。

まるで取り残された私たちは、何が何だか分からなくて……


「……相変わらずだよなー、あの人……あんな人を信仰してるって思うと、少し複雑……だよな」


気まずい沈黙をいち早く破った蛍が、やれやれというように口を開く。

それを聞いて肩の荷が下りたのか、楓もはぁっと深いため息をついて……


「なんか、どっと疲れちゃった……私、そろそろ帰らないと……」


「あ、そっか。もう夕方か」


「時が止まっていたとは言え、学校帰りに来てくれたらそんな時間にもなるよね〜〜んじゃ、うちはみんなを見送って帰るとするか!!」


梨桜がそう言いながら、私達の背中を押す。

なんだかんだ色々あったし、まだ納得していない部分や不思議なことはあるけれど。


この四人なら、四人一緒なら大丈夫な気がする。

神との再会を終えた私たちは、駅までずっと話してははしゃいで、共に時間を過ごしたのだったー……


(ツヅク!!!)

久しぶりに神様を書いたので、キャラがこんなのだったか

忘れているところが多いのですが……

一応確認はしてますが、違うように見えたらすみません。


神様について、やってる内容が内容なので、

どう思われているか分かりませんが、

少なくとも作者は3人の考えに近い気がします。

六花の気持ちもわかりはするので

私はみんなの味方です。何の話だっけこれ……


次回は3日に更新できたらします!

解放された彼女たち、ついに幸せ時間到来!

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