3.ぎふと from god
突如現れた神と名乗る人物に出会った六花。
その神からプレゼントをもらうことに……
太陽の光が、カーテンの隙間から差し込む。
あまりのまぶしさに、私は起きるのをためらう。
「お姉ちゃ~ん、起きて~なんかお姉ちゃん宛に荷物届いてるよ~」
うんざりとした、妹の声が聞こえる。
仕方がないので重たい体を何とか起こし、私は
「あー……部屋の前においといて~」
とまた二度寝をしようと布団に潜った。
今泉六花、高校三年生。
何度でもいうが、普通の高校生である。
実家から学校は電車で通える距離ではあるものの、少し田舎じみた地域。
ここに母と、今年高校生になった妹がいる。といっても、同じ高校ではないけれどね。
「お姉ちゃーーん、荷物、持ってきた……ってあー! 二度寝してる~!」
「あー………布団がすごいあったかくて……」
「もう遅刻しちゃうよ~? お姉ちゃんの分までご飯食べちゃうからね? あ、荷物ここ置いとくから」
妹の声を聞きながら重いまぶたをこすり、置いてくれた荷物へ体をうごかす。
それは大きさ自体は何かものが入ってそうな、ペンとかが入ってそうな細長い段ボール箱。
なんだっけ、これ……
曖昧な記憶のまま、裏にある宛名をみると……
『今泉六花ちゃんへ。神様リーリエより、お約束の品です❤︎』
筆ペンか何かで書かれたほそーーい達筆な字。
そして何より、聞いたことがある神という響きとその名前。
不明瞭だった記憶が、一気に呼び起こされた気がした。
そうだ。私、神様になんかもらえるんだっけ。
あまりに信憑性なかったし、あれ以降姿形も見せないから夢だったのかとばっかり思ってたよ……
こうしてものとして形になると、あれは現実だったんだと思い知らされる。
まあそんなこと、今はどうでもいい。
さて、ここからが本当の正念場だ。
何せ神様かどうかもわからないような人からの贈り物。入ってるものが吉なのか、凶なのか……
とりあえず開けてから考えようと、ゆっくり封を開けてみると……
「えっ……なにこれ……予想外なんですけど……」
入っていたのはなんともあろうことか、まさかのネックレスだった。
六角形の角に白いダイヤモンドのようなものが均等にちりばめられている。
一つ一つがすごい綺麗で、まるで宝石店に売ってるような本物のように見えて……
「普通にかわいい、よね……え、さすがにガチのダイヤだったりしない、か……でもこんないいものをくれた、ってことはあの神とか言ってた人、本当に神様だったの……?」
気がつくと私は、首につけていた。
鏡に映ったネックレスの見栄えを、確かめるようにして。
こういうのをつけるのは、正直慣れていない。むしろ初めてだ。
だから、なのかな。なんだか自分じゃないみたいで…
『対象の装着を確認。任務を遂行する』
その時だった。
謎の声が、ネックレスを通じて聞こえてきたのは。
『呪詞』
その瞬間、白く、眩しい光が私を襲う。
あまりの突然なことに、私は目を瞑ることしかできなくて……
『今泉六花、貴様に呪いをかけさせてもらった。今この時より、友人を作らなければ貴様は30日後に必ず死ぬ』
やっと光がおさまった頃に、ようやく目を開ける。
その時には何事もなかったかのように、ネックレスはきらきら輝いていた。
なんだったんだろう、今の声。
呪い……とかいってませんでした??
いやいやいや、ただの聞き間違いでしょ。そもそもそんなのあるわけないし……
「お姉ちゃ~~ん? どうしたのぉ? 遅刻するよーー?」
ああ、そうだった。私、今日学校だったんだった。
こんなものさっさとしまっちゃおう。あんな声、絶対聞き間違いだって……
「………え? とれな、い……?」
その時、私はまだ知らなかった。
昨日の出会いが招いた、「呪い」というプレゼントに……
(ツヅク・・・)
作品題にもあるエーデルシュタインってなんだろう、
と思っていた方は調べたりしたのかもしれませんが
宝石という意味だったりします。
ちなみに、サブタイトルのぎふとって
贈り物って意味だけじゃないみたいです。
それが「おまけ」にも関わっています。
今作も名前やタイトルにはすごく凝るつもりなので
おいおい語りますね。
次回は11日更新!
物語の全貌が明らかに!!




