24.IMAGEとTRUTH
いよいよ季節は秋。
高校内では文化祭一色!
そんな中、楓の様子が少しおかしいようで……
「んで、ここで主人公がどっかーーーんって敵に飛び込んでいくの! どう? 結構いけてない!?」
「おおっ、いいなあ! んじゃあさ、敵が実は生き別れの兄弟だったって展開はどうだ!?」
「うひゃあ、何その展開神ってる~~! 採用!!」
騒がしいほどの二人の声が、屋上内に響き渡る。
相変わらず元気だなあ、そんなことを思いながら弁当を口にした。
文化祭までの準備が、着々と進んでいる。
そんな中で私達は、今日も今日とてのんきに過ごしていた。
監督を任されたと言っていた梨桜が元気に熱弁し、それに負けないくらいの熱量で蛍が語りだす……
いつもなら、ここで楓が「うるさい」とか、「静かにして」とか何か言ってくれるんだけど……
「やっぱヒーローものは熱くなれるからいいよねえ~そうは思わないかい、楓シルバー……って今いないんだった」
ふいに我に返ったように梨桜が弁当の箸を進めだす。
いつもなら四人でお弁当を食べているのに、今だけは三人だ。
それもここまで来る途中に、誰かに呼び止められたからだ。
小柄なところをみると、多分一年生で楓には先行っててと言われたけど……
「なんか最近さぁ、めちゃくちゃ多くない? 楓っぴのお呼び出し。ちょーーー羨ましいんですけどぉ」
大きな口の中にウインナーを頬張りながら、少し不満そうに梨桜が言う。
その言葉をきいた蛍は、彼女とは違い心配そうな表情を浮かべて見せた。
「そう言うなよ、楓だって気遣ってるんだぞ? 男子からの呼び出し率が高いせいで、断るのも大変って」
「そういえば、海に行った時も絡まれてた……よね? やっぱ楓が可愛いから?」
「ん〜……でも二学期になってから急増してる気がするんだよなぁ。この前もあたしつてで、楓を呼んで欲しいって頼まれたし。大丈夫かあとで聞いたけど、いつものことだからの一点張りだから、なんも言えなくてな」
この前って……クラスの様子を見に来た時のことかな。
いつものこと。
確かに友達になったばかりの私でも、その言葉に納得してしまう。
何かしらある度に校舎裏や体育館裏という、お決まりの場所に呼ばれているのを見た。
そりゃ確かに? 見た目も頭もいいから、モテるのも無理はないと思うけど……
「あ、噂をすれば帰ってきた。おーい、楓っぴ~」
屋上のドアが開いたと同時に、楓の姿が現れる。
彼女は見たこともないくらい悲しそうな、切なそうな顔をしていて、それがすごく胸に刺さって……
「また告白ですかい? いいよねぇ、モテる女は。辛いねぇ〜リア充だねぇ〜」
「………そんなこと、ないよ」
「楓、最近なんか疲れてないか? 無理してないか?」
「……大丈夫。ごめんね、心配かけて」
二人の言葉も、楓は優しそうに笑ってみせるだけ。
それがなんだかつらくて、胸がとても締め付けられるようで……
一緒だ、あの時と。
「ごめん、楓!」
「……っ……!?」
根拠はない。ただ、気がついた時には、行動に出ていた。
長い横髪を、そっとのかす。
隠れていた彼女の耳にはめられたイヤリングは、赤色に染められていてー……
「それ……! あたしの時と同じ……!」
「……やっぱり、楓も呪いの期限が迫ってるんだね」
「はぁぁ〜マジかぁ、六花ちんよくわかったねぇ」
自分でもなんでわかったのかは、よくわからない。
ただ彼女の表情が、どこか蛍と重なるものがあったからなのだろうか。
私たちが真剣な表情で見つめているのと対照的に、楓ははぁっとため息をつきうんざりしたような顔を浮かべ……
「蛍の身体が代償だとしたら、私のなんて全然大したことない。だから言わなくていいって思ってたんだけど……やっぱり観念した方がよさそうだね」
「楓……楓の呪いは、一体……」
「私も、蛍と同じ。やらなきゃ、いけないことがあるの。自分から行動しない限り、たくさんの男性が私を邪魔するように永遠にやってくるだろうって……」
確かに、蛍に比べたらまだ優しい方なのかもしれない。
でもその気がない楓にとっては苦痛だろうし、というか私だったら絶対嫌になってしまう。
それってなんだか、色々な人に監視されてるみたいな感じがして……
「はーー、それでお呼び出しが多いわけだ。んで? やらなきゃいけないことって何? なぁんでも完璧にこなしちゃう楓っぴがやってないものなんて、この世に存在するの?」
若干信じられないような声で、梨桜が問いただす。
それでも楓は言いたくないのか、顔を俯かせるだけだった。
彼女も蛍と同じように、何か気にしていることがあると言うのだろうか。
あの神様のことだ、そういうことを呪いにしたに違いない。
現に友達ゼロな私に、友達作れとかいう無理難題を突きつけたあの神だし……
「……楓、やっぱりまだ気にしてるのか? みんなから、距離を置かれてること」
そんな沈黙を蛍が破ってくれる。
俯いたままの楓は、私達に顔を見られたくないように後ろを向いてしまった。
そんな彼女に寄り添うように、蛍が彼女の頭を優しくそっと撫でながら私達に話してくれた。
「……みんな言うんだよ、楓は頭も見た目もいい、誰もが憧れる…高嶺の花のようだって」
「………あ」
「でも、本当の楓はそれだけじゃない。本当は誰にでも優しいのに、口下手で人と話すことが苦手だから素直になれなくて……だから、誤解されることが多くてな。いつかみんなと、対等に話せるようになりたい……昔、あたしによく言ってたの思い出したよ」
蛍の言葉は優しく、そして懐かしむように笑う。
彼女の言葉が当たっているのか、楓はこっちを向こうとさえしてくれない。
そんなことないと、本来なら彼女を励ましていたかもしれない。
でもそんな発言が私にできる資格なんてない。
最初、楓と出会った時ーこの人とは仲良くなれそうにないと距離を置いてしまった。
私だけじゃない。
文化祭準備の時に蛍のことで話してきた冨沢さん達も、同じようなことを言っていた。
だけどそれは、彼女を遠くからみている側の意見にすぎない。
本当の楓は優しくて、かわいい、普通の女の子で……
それを一番にわかっているのは、私達なのに……
「なーーんだ、だったら簡単じゃん! 要は、クラスメイトにそう思われないようにするだけっしょ?」
そんなことを思っている私とは逆に、梨桜がいとも簡単そうな声をあげる。
え、と戸惑う私に比べて、蛍も同じように笑った。
「大丈夫だ、楓。あたしを楓が助けてくれたように、あたしも楓の力になるよ!」
「蛍、梨桜……でも、私……」
「なぁに弱気になってるの! 呪いのせいで諦めるのはナッシングだって、ほたるんの時に自分で言ってたっしょ? ねえ? 六花ちん」
「………まあ、私達でよければ力になるけど……」
「よっしゃあ! そんなわけだ! んじゃ、任せたよ六花ちん♪」
……ん?
今私、指名されなかった?
ここはみんなで頑張るぞー、的な展開になるはずでは……
「頼りにしてまっせ、我らが頼れる六花様っ☆」
「……………はい?」
彼女のウインクは何故か私に向いており、力強く肩を叩いてきたのだった……
(ツヅク!!!)
余談ですが、海で男達が絡んでいたり、
前回の女子達の会話が楓の呪いに繋がっています。
そういう面も注目して読んでくれると嬉しいです!
ちなみに、本編で一応拾ってはいますが、
忘れてそうな方もいそうな楓と蛍は幼馴染設定。
他のメンツ……主に梨桜が濃いのもあってか
あまりそういう描写が書けなくて……
ちゃんと描写を書くぞ!
ということをお知らせしときます笑
次回は3日更新!
楓の悩み解決に抜擢された六花の運命は!




