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14.それが、学生としてのSADAMEとあらば。

呪いが解けると思ったのも束の間、

同じ呪われた者同士だった六花ら一行。


3人の呪いを解くことで、

六花自身の呪いも解けることになったものの、

梨桜が留年するかもと飛び出してきて…

カリカリ、カリカリと静かにシャーペンを走らせる音だけが聞こえる。

星マークがかかれた問題と、公式を交互に見比べながらため息混じりに頭をかく。


「だぁぁぁぁぁ! わ・か・ら・ん!!」


そんな沈黙を、秒の速さで破る者がいた。

無論、梨桜だ。

彼女の声に顔をしかめた久保薗さんは、小声で


「梨桜、図書室では私語厳禁。静かにして」


と一喝した。


「だっでぇ分かんないもんは分かんないんだも~ん。ねぇ、ほたるん?」


「あはは……悪いな、楓。あたしまで付き合ってもらっちゃって」


「別にいつものことだから、気にしてないよ。あ、今泉さん、そこはここの公式使ったほうがわかりやすいよ」


「えっ、あ、ほんとだ。ありがと」


「ちょいちょーい、うちだけ厳しいのはなんでなーん? うちにも構って~楓ちゅぁん」


「口じゃなくて手を動かしたら? このままだと留年まっしぐらな長谷部梨桜さん」


向かいでシャーペンを口の上に起きながら、ぶーぶー文句を言う。

その隣でドンマイとばかりに肩を叩いている須賀さんを含め、私達4人は図書室に来ている。

理由は簡単、学期末に控える期末テストに向けての対策のためである。


どうやら勉強が苦手で、誰かに頼ろうとしてたのは私だけじゃなかったらしい。

というのも、梨桜が今度のテストでいい点を取らないと先生に留年かもと言われたそうで……


「せんせーもせんせーだよねぇ。いくらかわいい梨桜ちゃんと一緒にいたいからって、何も留年させなくてよくない?」


「その理由はないと思うが……でもお前、二年の期末でも散々だっただろ?」


「学年で最下位でしたっ☆」


「それでよく余裕もてるよね。もう受験生なんだけど」


なんとなく、だけど梨桜は勉強が苦手そうな気がしていた。

須賀さんは絶対スポーツマンって感じで運動以外苦手そうだし、逆に久保薗さんは優等生って感じするし……イメージ通り、といいますか……


それにしても受験、か。

時は無常にも残酷だと、最近常に思う。

友達というものが出来たとしても、一緒にいられる期間はもう一年もない。

どうせなら一緒の大学受けて、大学も一緒にいれたら……なんて、うまくいくわけないよね〜……


「受験ねぇぇ、ほんっと嫌になるわぁ三年生って。そういやほたるん達はどっすんの? どこ行くとか、きめた?」


「えっ、あたしは……まあ夏休みまでには決めるつもりだよ。模試とかの結果にもよるしな。楓は?」


「……私の志望校は、もう決まってるから。そこに行けるよう、努力するだけ」


目を逸らす須賀さんと、顔もあげようともしない久保薗さん。

その様子を見て、やはり何かあるんじゃないかと疑ってしまう。

私自身、ずっと悩んでいたことが呪いの内容だった。つまり、3人もその可能性があるってことだよね……

「あ、あのさ、今日御影さん来て。3人の呪いをとくことで私の呪いもとけるんだって〜期日は変わったけど死ぬことに変わりはないので、のろ……」


「梨桜、そこまた間違ってる。もう3回目だよ、いい加減覚えて」


「え? マジか。つーことはうちの頭ちゃんがNGを出してるのかもしれん。よし、ここは捨てよう!」


「あははっ、梨桜らしいなっ。でも、それじゃきりないぞ〜?」


私の話を聞いていないのか、また勉強の話へ戻ってゆく。

まるで、話題を逸らされたような気もしてなんだかモヤモヤする。

少しは危機感をもってほしい、と思うのは私だけなのだろうか。

それとも呪いの話をしたくない、という意思表示?

ここまでくると、そこまでして解きたくない呪いの内容って何なんだろう。不思議な人達だなぁ。


「今泉さん、手が止まってるけど……大丈夫?」


「あっ、ごめんなさい久保薗さん。なんでもないよ」


「……あの……それ、やめてくれない?」


急に身に覚えがない注意を投げかけられ、え? と聞き返してしまう。

それってなんだろう、私何かしたっけ。

答えを求めるように彼女をみようとするも、彼女はなぜか持っていた教科書で顔を隠してしまって……


「……この前、呼び捨てで良いって梨桜が言ってた……でしょ? なのに梨桜だけって言うのは……その……」


「そーだ、六花! お前、あたしのことも須賀さんって呼ぶだろ?! 名前で呼んでいいんだぞぉ? てか呼んでくれよぉ〜」


「え、あ、えっと」


「ちょっとぉほたるんに楓っぴ、何抜け駆けしようとしているのよ~六花ちんが呼び捨てで呼んでいいのはうちだけなんだけど〜?」


須賀さんと梨桜が茶々を入れ合う。

二人の会話には混じらず、久保薗さんは顔を隠したままこちらを見ようともしない。

そんな光景に私は思わず笑みが溢れて……


「はいはい、分かりました。じゃあ……蛍……と楓?」


「おう、それでいい! なんかやっぱ新鮮だなっ」


「……別に、私はよかったのに……」


「いやどーーみても楓っぴも呼んで欲しかったから言ったんでそ。そういうあなたも今泉さんじゃな

くて、六花って呼んだらどうなの? ほんっっと楓っぴは楓っぴだね!!」


「梨桜うるさい。……ありがとう、六花」


呼ばれた小さな声が聞こえて、みんながそれに笑い合ってーー


『今泉さんってさー、話かけても乗ってくれないし、なんかつまんないよね』


その時、ふと思い出してしまった。

昔、友達を作ろうと頑張っていた時代があったのを。

その時に偶然、女子のグループがそう話していたのを聞いてしまったことを。


どんなに作ろうとしてもうまく会話が続かない。

自分から話せる勇気もない。

話してかけてくれても、希望に沿った答えが返せないー……

そんな自分から逃げるように、その言葉を言い訳に無理をしてまで友達を作ることを諦めてしまった。


一人なんて怖くない。周りにどう思われようが、どうでもいいって。

そうは思っても、やっぱりどこか羨ましくて……

……まさかこんなことになるなんてなぁ。まあ、きっかけが呪いじゃなきゃもっとよかったんだけど。


「ほら、おしゃべりはおしまい。早くしないと、下校時間になっちゃうよ」


「うぇ〜〜〜もう今日はこの辺にしてかえらなぁい?」


「ダメ。それ絶対明日も言うから」


「あはは、相変わらず楓は厳しいなぁ。気を抜くとあたしらまで被害にあうかもだぞ、六花」


「……うん。ちゃんとしなきゃ、だね」


呪いで繋がった縁だとしても。

ささいで、たわいもない時間でも。

四人で過ごす時間を、大切に過ごして行きたい。

例え、3人の呪いがどんな内容で、この先何が起こったとしてもー……


(ツヅク・・・)

六花の過去もそうですが、

なんだかんだでみんなの成績も初公開です


まあ、みなさんのイメージ通りだと思います笑


ちなみに六花は平均を行ったり来たりの

至って平凡な成績だったりします


次回は25日更新。

そろそろ夏がやってきます……

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