13.ノロイで得た縁
ついに友人ができたことで
呪いから解放されると思っていた六花。
しかし、仲良くなった3人は全員、
神からの呪いを受けた同士だった!!
自分と友達になってくれた3人のため、
3人の呪いをとこうと決心するが…!?
呪い。それは、その人を縛るもの。
たった三文字の言葉なのに、簡単に人はそれに左右される。
友達なんて必要ないと見切りをつけていた、私だって動いたほど。
その結果、得ることが出来た最初で最後の「友達」。
最初はなんでこんな私なんかに、って思っていた。
今でも少し思っているところもまあ……あるけれど。
だけど、その友達はー……
「いやぁ実に興味深い縁ですなあ。まさか六花ちんも、おんなじ呪い仲間だったとは」
彼女―梨桜がいなくなった御影さんの場所をぼーっと見ながら言う。
あんなことがあったにも関わらず、彼女はにこりと笑ってみせた。
「これぞ! 腐れ縁って奴ですな! うんうん!」
「梨桜、それ意味違うから……」
「呪われたもの同士、引き合う何かがあるんだろうなぁ。あの人もちゃんと説明すりゃいいのに。な、六花」
梨桜、久保薗さん、須賀さんが私に笑いかけてくれる。
これが私が出会った友達、三人組。
何と悲しいことに、実はみんな、呪われたもの同士でした~
……なんてそんなオチ、誰が信じると思います?
確かにね、御影さんは言ってましたとも。
呪われた人は私だけじゃないって。
そうはいってはいましたけども。
問題はそこじゃなくて……
「……あの、ああ言った以上教えてもらってもいいですか。呪いの内容……3人の性格的に、友達を作らないと死ぬ……って内容じゃないですよね?」
同じ呪いを受けたものだからこそ、わかる。
きっと3人も何かしないといけない呪いを言われたんだと思う。
なのになぜかみんな楽観的だし、呪いをとこうという態度すら見受けられない。
なんかこうしてると、あんなに意地になっていた私がバカみたいって言うか……
「あ~~~~それね~~~ん~~~黙秘権を行使します!!」
「え、何それずるい」
「てか、六花ちんそんな呪いだったん? やばいね〜うちら救世主じゃん!」
「だぁかぁらぁ、そうじゃなくて! 教えてもらわないと私が困るんだけど」
私が言っても、梨桜は納得していないような曖昧な返事を返してくる。
予想通り、彼女が発した言葉は楽観的極まりないものだった。
「六花ちんには悪いけど、うち的にはぁ呪いとともに過ごす人生ってのもぉ、悪くないかなって思ってさ」
「意味わかんない……てか、一人だけならまだしもみんな呪われてるってなんなの。もしかして、3人は呪われてること知りながらつるんでたってこと?」
「あー、実はあたしがチョーカー付けてきたことに、楓がすぐおかしいって気付いてさ。あたしも梨桜も嘘つくの苦手で、楓の尋問に負けたんだよ」
なるほど、一緒にいるが故……なのか。
しかし困ったな。3人が何の呪いをかけられているか分からなきゃ、私からは何もできないし……何より私も呪いをといてもらえそうにない。
御影さんにああ言った手前、なんとかしないといけないのに……
「さっき御影さんは、この話は持ち帰るって言ってた。少なくとも、話が決まるまでは今泉さんが死ぬことないと思う。だから私達の呪いとか、気にしないでいいよ」
「と、言われても……私の呪いはあなた達にかかってるといいますか……」
「まっ! いいじゃん、六花っち! 呪いが何だ! そんなのきにしてたら、これからの人生何も楽しめなくなっちゃうよ!」
な、なんだろう。呪いを受けてるはずなのに、私との差は……
「うわっ、てかもうこんな時間じゃん! そろそろ帰らねぇと! 楓もバス近いんじゃないか?」
「あ、そうだね……急がないとやばいかも。じゃあ私達行くから」
「えっ、ちょっと、まだ話は終わってない……」
「まあまあ六花ちん、積もる話はまた明日ねん☆」
足早に去っていく3人の背中をみながら、私は身動きがうまく取れない。
なんでこんなことになったんだろう、こんなにうまくいかないなんてことあるんだろうか。
そんなことを思っていたせいなのか、私のため息は深くなるばかりだったー……。
しとしとと、雨が降り続いている。
そんな窓の外の音を聞きながら、カバンについているキーホルダーを手で少し触って見せた。
季節はもう夏へと移り変わろうとしている。
現在、5月末。本来なら私……死んでる日付なんですよねぇ……
3人の呪いをとく、と言う形で私の呪いをとくことにしてほしいと頼んでから数日。
あれからなーーーんも音沙汰がありません。
しかもあの人、学校にも来てません。
……これ、私の呪いってどうなってるのかな……?
そもそも久保薗さんがああいってたし、今実際に生きてる以上、大丈夫ってことだよね。
もしかしたら、このまま呪い消えたりして、ネックレス外れたりぃ…………しないか。うん、諦めよ。
「今泉」
そんな時、だった。
いつのまにか、隣には御影さんがいた。
突然の雨だったせいか、髪が少し濡れているのにも関わらず拭こうという気配は見受けられなかった。
「み、御影さん……久しぶり……ですね。どこ、行ってたんですか……」
「少し時間がかかったが、一応伝えておこうと思ってな」
「はい?」
「呪いの更新が受理された」
突然言われるとは思っていなく、心の準備がいまいちできない。
そんな私に気付いているのかいないのか、彼は淡々と続けた。
「あの3人の呪いをとかなければ、貴様は翌年3月31日で死ぬ。それが、貴様の呪いだ」
「わ、かり、ました……あの人達って私みたいに期限はないんですか? どーも危機感がないというか、私との温度差が……」
「……時期にわかる。そう余裕をこいていられるのも今のうちだと、奴らにも伝えておけ」
彼はそういうが否や、すぐにどこかへ行ってしまう。
何も言わせまいと、言わんばかりに。
あの人、本当に何なんだろう。
呪いをとく気があるように見えないのは、私だけなのか……?
「今、御影さんと話してたけど……何か進展あったの?」
そんなこと考えている中、久保薗さんが私に近づいてくる。
不思議そうに首を傾げる彼女の耳には、呪われている証拠のイヤリングがきらきら輝いている。
「あ、うん。一応呪いが変わったっぽい……?」
「そう、それはよかったね。もうすぐテスト期間だから、呪いのことばかりだと集中できないもんね」
なんかさらっと話題を逸らされたのは、気のせいだろうか。
言われてみれば、もうすぐテストということに気がつく。
やたら宿題で問題を解いてきてだの、ここは大事だのを連呼するわけだ。
……あれ、ちょっと待ってぇ? 私、今回のテスト、やばくなぁい?
休んでた時に学んだ箇所の宿題でうんうん言ってた私に、点数が取れるとは思えない。
やはりここは……!
「ね、ねえ久保薗さん! よかったら……!」
「救世主楓様ぁぁぁ! 我らに御加護を! お恵みをぉぉぉ!!!」
すると、うるさいと思えるくらいの大声がクラスに響く。
振り返らなくてもわかる。この声の主は、もちろんー
「……ちょっと梨桜、うるさい」
「それどころじゃないんだぜ、奥さん! うち、留年するかもしんない!!」
!!?
(ツヅク!!!)
前回で名前のことを語りすぎたせいで
あまり呪いについて言えませんでしたが
実はみーんな、呪いの内容が違います。
つけてるアクセや、モチーフになってる宝石も違います。
六花だけだと思ったら、実はみんなメインだった、
というありがち展開ですね
名前がある子は大抵何かしらあるので
どうなっていくのか、楽しみにしていてください
次回は21日更新。
次はテストでピンチ到来?




