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12.ついに! 堂々の最終・・・え? 

3人と友達になった次の日。

六花は初めてのお出かけに行く。


不安を抱えながらも、優しいメンバーに

心を許していく。


お揃いのキーホルダーを買い、

梨桜と名前で呼び合う仲に進展する中、

「その時」が訪れるー……

周囲の木々が、緑に色づいている。

季節が変わるのは早いなと思いながら、カバンにぶら下がったキーホルダーを眺めみる。

左右にゆらゆら動いているのを手で止めては、またつんと触ってみたりする。

そのキーホルダーをみるたびに、自然と顔が綻んでしまう自分がいるのを隠しきれずにいた。


5月ももうすぐ終わる、そんな中で私は初めてお友達と「お揃い」と言えるものができました。

なんでもないただのキーホルダー、なのになぁ。

なんだろう、誕生日でもないのに、プレゼント貰ったみたいでめちゃくちゃ嬉しい。

私ってこんなに単純だったんだなぁ……


「随分と気楽なものだな、状況が分かっていないとばかりに」


そんな私の前には、いつの間にか御影さんがいた。

一人で笑っていたのがバレたのか、彼は変なものを見たような目で顔をしかめている。

が、今の私にはそんな彼がきたことさえちょうどいいと思ってしまった。


「タイムリミットまで今日を含め、あと2日だぞ。余裕をかますのも、いい加減にしたらどうだ?」


「へえ〜? さすがに天界の方でもそこまでは分かんないんですねぇ、御影さん」


「……何?」


その一言で彼の顔が、ますます曇ってゆく。

そんなことを気にもせず、私は胸を張って答えた。


「私、実はもう友達できちゃったんですよね~~~どうです? びっくりしました?」


「……ほう?」


「まぁでもすごぉくギリギリなんですけどね? 諦めてそのまま死んじゃおうかとも……」


「その友達を、放課後集めることはできるか」


信じてくれないと、思っていた。

案外彼は簡単に受け入れてくれたようで、私をまっすぐ見つめてくる。

そんな彼から視線を晒すようにうーん、と返事をにごしていると、


「屋上に来い。呪いをとくに値するか、僕が審判を下そう」


と言い放ったのだった。



「んでさぁ! 先生がいきなりここ読めって当てたんだよ〜? ひどいよね〜ほたるんが指で教えてくれなきゃどうなってたことやら……」


「それ、ただ梨桜が居眠りしてただけでしょ。自業自得。そういうのはほっといていいんだからね、蛍」


「いやぁ、あたしもたまに寝ちゃって梨桜に助けられるから、つい……楓は手厳しいなぁ」


梨桜、須賀さん、そして久保薗さんがいつものように言葉を次々に交わす。

何もない、普通の会話にうんうんうなずきながらも、私は扉をちらみしてみせた。


時刻は約束の放課後。

三人にあいたいという人がいる、それだけしか言っていないのにも関わらず、快くみんな屋上に来てくれた。

幸い、みんな何も予定がなかったからよかったようなものだけど。


放課後になってもなかなか彼は現れないし、姿さえみえないせいで、みんなからは嘘をつかれた、と思われてそうで少し怖い。

話のネタが尽きたのか、須賀さんが思い出したように私に、


「そいや六花。そのあたし達に会いたいって人、ほんとに来るのか? もうすぐ5時だぞ?」


としびれを切らしたように口を開いた。


「うーん……言い出したのはあっちだから、大丈夫だとは思うんだけどー……」


「なぁんか怪しいよねぇ……はっ! まさかその人、うちらの心をもてあそんでんじゃない!? 告白だと思ったら、実は果たし状でした的なオチとか!!」


「第三者を通じて言ってくる時点でそれはないでしょ。漫画の読みすぎだよ、梨桜」


梨桜の言い分に、苦笑いを浮かべていたそんな時ー


「黙って聞いていれば随分な言われようだな」


低い、聞き慣れた声が上の方から聞こえる。

見上げるとペントハウスの上の方に、彼―御影さんがいた。

いつから、そこにいたのだろう。

高い位置にいたにもかかわらず、彼は何の抵抗もなく飛び降りたかと思うと軽やかに私達の前に着地して……


「そいつらが、話していた友人という奴か?」


と言い放った。

予想外の登場の仕方だったからか、みんなぽかんとしていて……


「はい……って言っても最近なったばっかりなんですけど。右から長谷部梨桜さんに須賀蛍さん、それに久保薗楓さんです」


「……ふうん」


「あ、あと、これだけじゃ信憑性ないかもって思って、お揃いでキーホルダー……持ってるんです。これでどう、ですか?」


気まずい沈黙が、謎に流れ出す。

吹いてくる風がどことなく涼しい。

重たい空気が異様に緊張を促すようで、思わずごくりと唾を飲み込む。

……だが。


「悪いが、呪いをとくには至らないな」


は、はぁぁぁぁぁぁぁ!?


「話が違う! なんで……なんでといてくれないんですか!? まだ30日たってませんよね!? それなのにどうして……!」


「言っただろう、呪いを受けたものがお前だけとは限らないと」


納得がいかないとばかりに叫ぶ私とは違い、彼は落ち着いていた。

何を言ってるのか、全然わからない。

確かに、そんなことを言っていたような気もする。

だけど今呪いを解かないことに、必要な情報だろうか?

いや絶対必要ない。そもそもこの3人と呪いは無関係だし……


「少なくとも僕は、この3人に見覚えがあるぞ」


見覚えが、ある?

さっきからこの人は、何を言っているんだろう。

そりゃあ久保薗さんは同じクラスだし、見覚えあって当然って言うか……

二人も二人で人気者だし、御影さんがみかけててもおかしくはないはず……


「えーーっと……悪い、六花。こんな時にすげー言いにくいんだけどさ……あたし、六花がここに呼んだ理由に、心当たりがあって……多分、あたし達じゃダメなんだとおもう……」


「え? 心当たり?」


「……最初は白だったのが赤になったネックレスを見た時から怪しいとは思ってたけど……今泉さんは私達と同じ、ってことだよ」


そういうと二人はとある場所を指さす。

久保薗さんはイヤリングを、須賀さんはチョーカー。

その中央には緑と赤の宝石がはめこまれている。

……あれ? 待って。アクセサリーに、宝石……?


「ま、まさか……あなた達……」


「ふふっ、ばれちまっちゃあしょうがない。そう! 何を隠そう! うちらこそ! そこの御影っちに呪われてしまった、囚われのお姫様なのだぁぁぁぁぁ!」


長谷部さんが大声で叫び、袖をまくりながら右腕を上げる。

その腕には私達と同じ、青い宝石があしらわれたブレスレッドがされていたのだ!


「う、うそでしょ!? みんな、あの神様の呪いを受けた人ってことですか!?」


「呪われた人物同士の接触は無効とする」


「えっ、何それ聞いてない! そもそも他言無用なんだからこうなるまでわからなくないですかね!?」


「文句ならあの神に言うんだな」


「な、なんなんですかあの人は!!!」


理不尽だ。あまりにも、非合理的すぎる。

内緒にしとけと言われていた呪いが、こんな形で返ってくることある?!

こんなのあんまりすぎる!!


「い、異議あり! こんなの、他に呪いをかけてる人がいたら同じことの繰り返しじゃないですか!」


「安心しろ、お前ら四人しか被害者はいない」


「それでもです! 私、絶対これ以上友達できる気がしないんですけど! あと一日しかないのにどうやってとけっていうんですか!」


「ろ、六花落ち着けって……」


須賀さんがなだめてくれるけど、それでも怒りは収まらない。

17年間苦労して、やっと手に入れた幸せ。

それだけかかったんだから、きっと今後一生訪れるわけがない。

だったら……!


「……そこまでといてくれないのなら、3人の呪いをとくことで私のもとけるってのはどうですか!」


「「「え?」」」


「私が3人にかかった呪いをといてみせます! それくらいやったら呪い、といてくれてもいいでしょう!?」


友達になってくれた優しい、温かい3人に恩を返していきたい。

それくらいしか、私にはできないかもしれないけど。

あんなに救われたのは、生まれて初めてだからー……

こんなにいい友達がこの先できる気がしない以上、こうすることしか……!


「分かった。この話は一旦持ち帰らしてもらう」


私の勢いに呆れたように、御影さんはそう言いながら屋上を去っていく。

そんな彼の後ろ姿にべーっと舌を出しながら、私は心に決めた。

そっちがその気なら、私もやってやろうと。

呪いなんかに絶対負けない。みんなで笑顔で卒業してやろうって。

……そう、思っていた。


「え、六花ちん、あのぉ……意気込んでるとこ悪いんだけど……うち、呪いといてもらわなくて結構よ?」


彼女の言葉が、聞こえてくるまでは。


(ツヅク!!)

……はい、というわけで

おわりません!! まだまだ続きます!

そんな簡単にとけると思ったら大間違いだよ、ってことで。

ただ、友達を作るまでを長々やればいい話では、

なんて言われそうですが、

私には無理でした、はい。すみませんね


キーワードは題名にもある宝石、

そしてアクセサリーなんですが、

実は出会った時から伏線はたちまくっていたんですね。

やっと全部言えたので、すっきりしました。


次回は17日更新!

新たな物語が始まる!?


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