79 パーティのご飯を食べ終わってから
宴もたけなわ という時よりは前に
私はパーティから戻っていた
そして自分の考えをまとめていた
それとアナの部屋のドアに
「もし戻ったら部屋に寄って ムギ」と書き挟んだ
パーティは深夜前には終わっていたけど アナはまだ楽しんでるのかな なんて考える
あらやだ そのまま帰って来なかったらどうしよう そうだよ アナだってお年頃なんだからさ 外泊のひとつやふたつあってもおかしくない
メモを取り外しに行こうかと思った矢先に ノックされる
「ムギさん 起きてらっしゃいますか?」
ええ起きてます!
ドアを開けて 向かい入れる
「ごめんなさい 呼びつけてしまって あのもし...アナが良ければ 今日は一緒に寝ない?」
アナはすぐに
「準備して参ります!」
と嬉しそうに戻っていった
こちらの客用ベッドは広い 頑張れば女の子3人くらいはいける
かなり急いだのかあっという間にアナが入ってきた
まずはアナの話が聞きたいのよね
でも待って その清楚で色気のあるナイトウェアに包まれたアナが眩しいよー
「...アナって モテるでしょ」
アナはちょっと驚いた顔で
「基準が分かりませんが 過去に何人かは言い寄られる事はありますね」
だよねー
「すごく綺麗だもん 私が男だったら多分行ってる」
「嬉しいです 私もムギさんが相手だったら既に結婚してると思います!」
「結婚 まだ考えないの?サルティオ様と良い感じだったけど」
「...結婚 とまでは考えてないでしたけど」頬が染まる
「という事は 何か進展あったね?」
「口付けを...してしまいました」
わきゃー!
「ああもう アナ超可愛い!って事は2人は両想い? 恋人同士って事になるの?」
「そうですね は はい」
「良かったねー!私も2人が幸せなら嬉しい!」
嬉しいし また恋愛に於けるプロセスが割と自分の世界と近い事に安心した
「でもこれは ムギさんのおかげでもあるんですよ」
「ん?何かやったっけ?」
「腕相撲大会の企画してくれたじゃないですか」
「ああ あれね でもサルティオ様が強かったからだし」
アナはクスッと笑って
「内緒なんですが デインズ...いえサルティオは団長にお酒を盛ってたんですよ 団長はお酒弱いのは皆知ってますから
本当なら団長が優勝だったと思います」
ひど 目的のためならなんとやら
だから調子悪そうだったのか
「でも 結果良ければ 全て良し」
「バルディン団長は ムギさんと出かけたかったんだと思いますよ」
「.........」
相談しようと思っていた事を 不意に言われて固まってしまった
「...パーティで 何かあったのですか?」
「バルディン様に 好きと 言われて」
「まぁ」
「返事を明日する事になって アナに相談したかったの」
歳下に相談とは自分が情け無いが
「ムギさんはどうするおつもりですか?」
「正しいのは お断りする事だと思う」
「...受け入れるのは 正しくないのですか?」
「私がこの国の人とそういう関わりを持ってはいけないと 思ってるの 文化が違う人間だと 苦労するから」
「たしかに 国の中でも 身分差が理由で婚姻を解消する方も いらっしゃいます でも身近な例を知ってますが 別れる方は大概 コミュニケーションが足りてないからだと思いますわ」
そうか 日本でだって 離婚理由にそれはあるだろう
「バルディン団長が 人の話を聞かないなら お止めになったら良いです ですが 私の知る限りは」
「ええ 立派な方だもの そんな事ないわよね」
「ムギさんの悪いところは 相談無しで決めがちなところだと思います
無理でも言ってくれないと こちらは考えることもできないのですから」
「面目無いです」
「...ムギさんは バルディン団長がお好きですか?」
「うん...好き だと 思う」
アナは寂しそうに
「私はムギさんが決めた幸せなら どちらでも 構いません どんな決定をしても 味方です」
なぜ アナの目が光るのだろう
「さ 明日と明後日は荷物を纏めなくては もうそろそろ休みましょう」
「お休みなさい アナ ありがとう」
相談できて良かった 気持ちが落ち着いた気がする
ムギなりの友人への甘え回




