71 涙が一旦収まったところから
身体がヒックヒックと上下する事を必要しなくなった頃
バルディン様は私の飲み残しのマグカップを手に取って与えた
...確かに 水分が不足している
先程とは違ってテンポ良く飲み終わる
足りないと思われたのか
バルディン様の分のマグカップも与えられる
泣きすぎで頭がぼーっとしてる もうなんでもいいや
また半分ほど飲んで いらないと頭を振る
バルディン様はマグカップを机の上に戻して
毛布の上から撫でてくれる
じわじと涙が出る でも撫でられるのが心地良い
そういえば最後に泣いたのってファルウェイ様に怒鳴った後の時だっけ
その前は 5年まえに映画で感動して泣いたくらいか
この世界に来てからも
案外と泣く事ってなかったんだなぁ
こんな異常事態で泣く事ができなかったのは良くなかったのかもしれない
だいぶ落ち着いた頃に
バルディン様が耳元で
「泣きたくなったら またこうして差し上げますから」
私は顔が熱くなって
「勘弁してください」と言うしかない
バルディン様はクスッと笑って
「だいぶ表情が戻ってきましたね 私は朝まで この体勢でもいいのですが それともベッドでお休みされますか?」
決まってるだろう 何言ってんだ
「ね 寝ます ひとりで」
バルディン様は私の室内靴を脱がし 毛布ごとベッドに運んで
「後でアリアンをよこします きちんと休んでくださいね」
と言って部屋から出ていかれた
ベッドに座り込んだ私は
「結局何だったんだ...」と
頭の整理がしばらくつかなかった
でも今日1日の鬱々はもう感じられなかった
ーーーーーーー
しばらくしてから再びノックがあり
ああ そういえば アナを呼んだと言ってたなと思い出し ベッドから降りようとした
その前にアナからドアを開けられて
「ムギさん バルディン隊長が ホットタオルとミルクをお持ちするようにと 言われ...」
私の顔を見るなり
私の近くまで来て
「泣いていらっしゃるのですか!?何があったのでしょう!」
いや あの なんと言ったらいいのか
「ええと あの ちょっと」
アナは表情を一変し
「あのクソ隊長...!ムギ様に何を!」
剣に手をかける
わぁぁ 待って待って
殿中でござるー!!
一緒にいた侍女さんも焦ってアナを止めようとする
「待ってアナ 違うの!バルディン様は...そう、カウンセリングしてくれたの!」
ピタ とアナが止まった
「ムギ様 私の事呼び捨てしてくれた...」
え そっち?
「だから 戦いダメ!話聞いて」
まず落ち着こう
「とりあえずそのタオル使ってもいい?」
涙を拭いて ホットミルクを飲んでからちょっと気分が落ち着いた
「ええと アナが心配するような事はなくてね いろいろ自分が溜め込んでたのを バルディン様が吐き出さしてくれたのよ」
侍女のエミルさんは ほっとした顔で
「そうですか ムギ様が元気がないのが皆心配でして 何か気持ちが抜けたような表情をされたんですよ 戻って来ていただけて嬉しいです」
心配かけてごめんね
「ここに来てからずっと家族が恋しくなってしまって...いい大人が恥ずかしいわね」
エミルさん
「いえ 当然です!でも本当に良かった あ ミルクお代わりされますか?」
「うん いただこうかな」
「すぐにお持ちしますね!」
エミルさんが出て行ってすぐ
「ねぇアナ 私 今まですごく気を張っていたみたい」
「...はい」
「みんなに失望されないようにって頑張り過ぎてたんだと思うの アナにもずっと迷惑かけて申し訳ないって思ってた」
「迷惑なんて、何も!」
「アナを信じてないわけじゃないのよ
ただここで人に甘える方法が私はまだ分かってないんだ
だからね これからアナにも少しずつ甘えてもいいかな」
アナは顔をくしゃくしゃにして
「勿論です!もっともっと甘えてください!」
私は立っているアナの腰回りにハグして
「ありがとう 嬉しい
でもアナも 私に甘えてくれたらもっと嬉しいな」
おおー細い腰だ いやそんな雰囲気じゃないです
友情が一層深まった気がする
これからもっと仲良くなれるといいな
しばらくして
「ところでムギ様」
「何?」
「バルディン隊長はどういう風にカウンセリングしたんですか?」
ええと
「ん?...内緒」
顔が赤くなってしまった
アナが
「あのムッツリ巨人野郎...駆逐してやる」
あらやだアナさん どこでそんな言葉覚えたのっ!とりあえずその手は下げましょう!
なんだかムギが逞しくない。。。
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