69 バルディン団長が泣かしにきたところから
はい?
誰を?
泣かせる?
何を言ってるんだろう
上手く理解ができない
ええと 何かを言いに来たんだよね
うーんとうーんと
フリーズしかけた状態中に
バルディン様は
「とりあえず お話がありますので 中に入らせてください」
ああ そうですね
「あ は はい どうぞ」
でもなんだかバルディン様いつもより押しが強いな
もう少し物腰柔らかに聞いてくることが多かったんだが まあいいや
ちょうど椅子は2つ揃っている
でも机が間にないので 向かい合わせで面接みたいだ
椅子に私が座ると普通だけど バルディン様が座るとなんだかバランス悪く見える
とりあえず 聞いてみる
「あの...私何かしましたか?」
「そうですね こちらとしては困った事をされてますが その話は後に回します」
何か…やっただろうか
バルディン様は続けて
「とりあえず お茶を持ってきたんです 簡易的な淹れ方ですみませんが 飲んでください」
バスケットの中から
マグカップみたいな安定感のある蓋付きのカップに 大量の紅茶が入ってた
さほど飲みたい気分ではなかったので ひと口 味見する程度を飲み込んだ
「美味しいです」
今正直あまり味が分かってない
「もっと飲んでください」
「えと ちょっと多くて」
バルディン様は珍しく強めの言い方で
「ツムギ殿は今日全然 飲食されてないでしょう 体が持ちません
団長命令です せめて半分は飲みなさい」
まあ…その通りですね
私はまるで薬湯を飲むかの勢いで少しずつ胃に入れていった
よし 半分は飲んだぞ
「これで いいでしょうか」
飲みたくもないのに喉を通すのは結構しんどい
「いいでしょう では本題はここから」
なんでしょう
「私は瘴特団の団長です 貴女にとって私は何にあたりますか?」
うん?
…意図が読めない
「上司 に あたりますかね」
「そうです では私は ダメな上司ですか?」
とんでもない
「いえ とても頼れる 良い上司だと思います」
「じゃあ どうして 頼ってもらえないんですかね」
いやだって
「ええと…既に頼れるだけ頼ってますが」
「今 貴女は酷く弱っています どうしてひとりで頑張ろうとするんですか」
心配かけてしまいましたか
言いたいことはわからんでもない でも
「あとは自分の問題ですし 些末なことなので...」
「私にとっては それが大事な事なんです」
「え いや だって」
ホームシックまでは頼れないだろう
「すみません ご迷惑はかけないよう明日はちゃんと仕事しますので...」
バルディン様はまた怖い顔になって
「ツムギ殿は自分で言った通り 確かに不器用なのですね」
そういえば以前そんな事も言ったな
確かに不器用だと自分でも思う
ところでこの面接 いつ終わるのだ?
ムギがたくましく無い…!
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