67 鬱鬱が続くところから
結局 夜の軽食もほぼ食べれなかった
残した物を見られると アナ以下侍女さん達に見られると 大層心配される事を危惧して もったいないお化け様に謝ってから 厳重に包んでゴミに捨てさせてもらった
朝食もほぼお茶で終了
だめだ 何も腹に入れる気がしない
ただ 体は別に調子悪くはない 最低限の睡眠は取れている 明日はきっと大丈夫
部屋に戻ってゆっくりと窓の外を見る
別邸にも潮の香りと海音が響く 海猫ーカモメもミャオミャオ鳴いている そういえば子供の頃は毎日これを聴いていたなあ
駄菓子屋のおばさんの腰痛はどうなったのかな
お父さんの仕事場の工務店のおじさん達は相変わらずだろうか
友達も また会おうねって言った後 そのままになってしまった
そんな他愛のない思い出を思い出しては哀しくなる 繰り返していけば たぶんそのうちに飽きて元気になるだろう たぶん
アナも侍女さん達も心配なのか街へお出かけのお誘いがあった
「ちょっと部屋でやる事があるので 皆でどうぞ」と遠慮させてもらった
うざい事にまだまだ鬱は続いた
前の世界は見る事もできないのかな
帰るのが無理だとしても 手紙でも出せればいいのに
スマホのアンテナが圏外なのを確認してまた落ち込む
お茶の時間に戻ってきたアナが沢山の食べ物をお土産に持ってきてくれる うん 美味しそうだね ゆっくりいただくね っていうかこれで夕食になっちゃうね
そんな感じで笑って答えたら
アナが何か堪える様に言う
「ムギさん 私には何もできませんか?
ムギさんのお役には立てませんか?」
綺麗な目がゆらゆらと波打つ
そんなことない いつも良くしてくれてるけど...?
聞かれた内容にどう答えればいいのかわからなくて
「そんな いつもアナさんは私に沢山してくださってますよ? アナさんが居なかったらどうすればいいかわからない事ばかりなのに いつも感謝してるのに」
「そうじゃなくて......!っ失礼します!」
...行ってしまった
うーん怒らせたかな でも自分でもどうフォローすればいいかわからない
アナの持ってきてくれた
お肉の串焼きをひと口食べて反省した
太陽が沈んで夕食後の団員団欒の時間 ワイワイとした音が聞こえる ああいいな 聴いてるだけでも楽しいな
家でもそうだったな
近所に住む両親の友人達が 時折宴会するのを兄妹3人で羨みながら寝ていた事
ダメだ そろそろ明日の事を考えなきゃ
ぼーっと明日の手順を考え始めようとした時
ノックがした 侍女の誰かかな
「はい」
扉を開けて 相手を確認する
バルディン様だ
「こんばんは 何かご用ですか?」
バルディン様はにっこり笑って
「はい 貴女を泣かしにきました」
ーーーーはい?
今回短めですみません!しかもいつもの更新時間より遅れた・・・




