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63 東領地へ出発するところから

雨季も終わり 諸々の準備も終えたところで 今日東領地へ出発する事となった

今回は片道に5日もかかる 現地でも最低1週間以上は滞在する 長丁場だ

その為 瘴特団はいつもより人数が多く それに附随する侍女さんや従僕さんらも付く


馬も一緒だからほんと大所帯

「すごい 人数と荷物」


私の半分独り言みたいな感想にアナが答える

「そうですね 長期遠征ですから でも船に乗って河を下るので楽だと思いますよ

船は軍船ですが綺麗な船みたいですし」


ここにきて初めての船旅だな

「そっか 楽しみね」


荷物は私の収納空間にとも思ったが

いちいち私が取り出さないといけないので反対された ちぇ


リッツに乗って王都からエインズ河に向かう 大体半日くらいで着くようだ


河の大きさを見て少し驚く え これ河?湖? デカイ 広い 向こう岸が霞んでる

よく考えたら小振りとはいえ軍船が浮くくらいの深さなんだろうからそりゃ大きいか


そして 軍船

なかなか日本でもお目にかかれない船 おおー 大きい帆船だー

どこぞかの湖に浮かんでる観光海賊船を思い出すなぁ


おっと瘴気浄化(お仕事)に行くのに少し浮かれてた 反省反省


大所帯の為 荷物の運び入れや 乗船だけでもそこそこ時間がかかった

陽が落ちるくらいになってからの出港だった


河はあまり波がないので海船よりかは揺れないようだ ありがたい

河を下る際にも風が必要なので 魔法士様方が風魔法を出す さあ出航です


ーーーーー



翌昼前 船旅に浮かれているのはどうやら私だけではなかったようで 瘴特団団員のお祭り要員ポティロン様が相談に訪れた


「ムギ様 お疲れ様です

あの 少々お願いがあるのですが 聞いてもらえますでしょうか?」


「はい?なんでしょう」


「実は本日夕方の食事後に 我々 腕相撲大会を行う予定でして!」


「わ 楽しそうですね、是非観戦したいです」


ポティロン様は

「今回の勝者にですね特別褒賞を設定してるのですがー」


「はい」


「それを『翌日の補給港でムギ様と街歩きをする権利』 とさせていただきたいのです!」


なぬ?

そんなものが商品になって良いのか?

もっと人が喜ぶものにしようよ

参加者減るでしょ それ


少し考えてから答えてみた


「それ 少し商品の変更と もうひとつイベントを加えても いいでしょうか」


ポティロン様は

「? どのようになさりたいのですか?」


「あのですね...」


ポティロン様はうんうんと聞いて 早速参加者を募りにいきます! と張り切って行った


さあ私も準備を始めようっと

楽しくなってきた!


ーーーーー


夕食後のレクリエーションにはそこそこの人数が集まっていた

瘴特団団員だけではなく 船員 侍女 料理番 などなど幅広く集まっている


ポティロン様がはじめの説明をしてくれる

「さて紳士同胞よ!今夜は身分関係なしの腕相撲大会だ

ルールはいつもの通りトーナメント戦

ただし今回はスペシャルな褒賞を用意してあります」


みんなわくわく顔だ


「なんと!勝者は明日の寄港のドニンの町で

ここに居る女性達の意中のどなたかと街歩きができる権利です!

仕事もその日は免除ですよ!」


おおおおー


拍手と期待の声が甲板に響き渡る


「早速始めたいと思いますが その前にエキシビションもありますので そちらから ムギ様 説明お願いします」


おっと説明しなきゃ

「はい 今回男性だけの楽しみでは女性に不公平なので 女性も腕相撲大会ならぬ 押し相撲大会を致します」


皆さん押し相撲とは? というクエスチョニングが顔に出てる


「参加者女性には既にルールを説明済みですが

この2つの小さな箱の上だけで お互いを押し合います 単純に落ちたら負けですのですぐに終了します


掴んだり 殴ったりは失格です 手だけを押す事!


そして同じくトーナメント戦にて優勝者は ここに居る腕相撲参加者に同じく街歩きを申し込む事ができます!」


きゃーっっと黄色い歓声が出る


「ちなみに選ばれた男性は 明日 紳士的にエスコートをお願いします もしこちらの意に沿わない不埒なことや そっけない態度を取られたらーーー」


「取られたら?」

ポティロン様 ナイス合いの手


「ここに居る私含めた女性全員に 軽蔑されます」


何人か ひえっ という声をだす


「それではまず押し相撲から始めまーす」

軍船乗りたい 観光用の海賊船じゃなくて・・・


☆の評価とブックマークが力になります!よろしくお願いいたしますー

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