閑話3 サルフ・ドゴール警備隊隊長のところから<短編>
ムギの有料差し入れを2人分籠に入れて フェリシアの家のドアをノックする
俺も2日と空けず通うなんてしつこいな
だがフェリシアみたいなタイプは放置するとそのまま忘れられてしまうため こまめに通うのが得策と思う
「やぁ また来たよ 今日はパンプキンパイだとさ」
ムギの甘味は常に控えめなので 続けて食べれるのがいい
「...茶菓子の礼は茶で我慢しろ」
もっと他のもので返してもらえるといいんだがねぇ 婚姻届のサインとかさ
まあ そんな事は言わず
「今日は薬草茶より紅茶がいいな この間持ってきたのでいいだろ」
フェリシアは「面倒な」と言いつつ
手順は馬鹿丁寧に茶葉を蒸らして淹れてくれる そんなところも俺のツボだ
ああ茶が美味い
「ムギの菓子は相変わらず美味いな あいつ 聖女業が終わったら 菓子店開かないかな」
「全ての瘴気が無くなった後はどこぞかの貴族に嫁入りするだろうから 無理だろう 下手すると王族入りだぞ」
なんとも似合わないね いや 性格が向いてないって言う意味でだ
「でもこれ持ってきた時の雑談で 将来は馬に乗って世界中旅するとか言ってたぞ
何か魚のスープが飲みたいから食材集めをしたいらしい
乗馬の上達方法を警備隊員に習ってたな」
フェリシアは
「聖女とは思えんな」
「そうだな 人には向き不向きあるように思えるが あいつは聖女向きじゃない」
「ところでフェリシア」
「何だ」
「また一緒に暮らさないか?」
「断る」
「じゃあ結婚しない?」
「何が違うんだ 断る」
「そうか じゃまた次来たら求婚するからな」
「いい加減 諦めたらどうだ」
こんな会話も心地よい
居るだけでも幸せだー物足りないけれど
「たぶん一生無理だと思うぞ」
フェリシアの顔は無表情だが
感情が動く時は髪の毛が逆立つんだよな
あーあー 今相当照れてるな
さて 今日のミッションはこれで終了と
【作者からのお知らせ】
58話が2方向へ分かれます。パラレル版は恋愛要素少なめです。
違う方向へも舵を切ってしまいたくなり 同時にパラレル作品を投稿することにしました。
よろしければそちらも読んでいただけると嬉しいです!
https://ncode.syosetu.com/n0111gz/
召喚聖女は逞しく パラレル ~聖女なんてごめんです!~




