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61 反省したところから

クルト君が戻って行ってから すぐ雨が降ってきた 今度はそう強くはない


...いかんなぁ 子供に無用な心配をかけてしまった 発言に注意しなくては


「...ふぅ ダメだなぁ」


「何がですか?」


っわっっ バラ垣の背面から声がかかって 海老反りみたいに 体がビクッとなる

振り向いたら バルディン様が顔を覗かせた


「...びっくりしました」

気配は出して来てください


バルディン様はサラッと屋根のある東屋に入ってきて

「馬場にリッツが居たので ツムギ殿が来てるのかと」


「あ リッツを馬房に戻さなきゃ!」

雨に濡れ鼠はダメなのでは


「いえ リッツは雨の時も はしゃぎますから大丈夫ですよ 雨が止んでから拭いてやればいいでしょう」


バルディン様は何故か私の横に座って

「で 何がダメなんです?」


おい 聞いてたのか

私は顔をむーとしながら

「...どこから聞いてらっしゃったのですか?」


「...東領地の話くらいからでしょうか」


結構長くデバガメしてますね

「まあ いい大人が 子供に心配をかけさせたてしまったなぁと 反省してました」


「殿下は貴女を好いておられるから 特にですね」


好かれるのは嬉しい

「ふふ いずれうちの弟みたいに反抗期が来て そのうちいい女の子ができたら

ババア呼ばわりになりますよ きっと」

ババアは嫌だけど しょうがない


バルディン様は

「...あれは 案外 真剣だと思いますよ」


またまた〜 と薄ら笑い


「可笑しくは無いと思いますよ

今 殿下が9歳 ツムギ殿は19歳


10年で殿下が19歳で成人したら 

貴女は29歳 そのくらいの差でしたら 射程圏内です


現皇后陛下は陛下より 6歳上ですしね」


へえ この国も姉さん女房ありなのね


バルディン様はちょっと真面目な顔になって 私の正面に顔を寄せた

おい ちょい近くないか?


「...私は今 29歳で ツムギ殿は19歳

10歳の差でも もちろん射程圏内ですよ」



え?ええと?

今なんかさらっと すごい事言った?

バルディン様 29歳なんだ ってそういう事じゃなくて


そして ち 近寄ってませんか?更に

ダメだ 免疫がなくなってて

落ち着かなくなってる

いま 首が赤くなっている 気がする

手足が冷えるーーー


「り リッツを! 馬房に戻してきます!」


ステンレスボトルを取り

バルディン様の反対側からベンチを出る


雨でもかまわん とにかくここから離れなくては

遊びたがるリッツを無理無理引っ張って

体を拭いてやった


バルディン様の言葉が耳に残る

「なんなのあれ...」とリッツに聞いても 愛馬は

『グケケッ』としか返してくれなかった



ーーーーーーー


自宅土禁邸にて ちょっと大きめの手鏡を持って自分の顔を見る


普通の状態

笑ってみる

普通の状態


いや やっぱりコレはない

安定の日本人顔だ

何度見ても この国の美のレベルと明らかに違うよ


バルディン様って 怖いけれど

カッコいいもの 顔整ってるし

ダークブラウンの艶ありの髪

眼は琥珀というか 金?

手がゴツゴツしてるけど それもセクシーだし

声とか 良い声してるしね


美形の流れで余談だが

キラキラ王子 ティランミーノ様は

夢見る乙女の星って感じで

金髪碧眼 モデル体型の痩せマッチョ

そりゃあ誰もが見惚れる人だし


あまり関わりが多くはないけど

魔道士の銀髪セラーレオ様だって

一見女の人かと思うくらい綺麗 サラッサラの長髪 菫色の眼

しかも頭良いし 天才って感じ


まあ 全員あげていくとキリないが

瘴特隊全員 見目麗しく 礼儀正しく 家格よしだから 私が混じると違和感のオンパレードなのだ


でもほら 仕事だからさ

いちいち落ち込んでもしょうがないし


射程圏内ってだけで...


...

...

そうか 言葉をよく考えたら

圏内というだけで 撃つつもりがあるという訳ではない!

ストライクゾーンが広いというだけの説明かもね いやそうだろう そういう事にしたい

きっとバルディン様は39歳でもオッケーなのだ!


そうしたら うっかりのぼせた自分の挙動が恥ずかしくなる


どっちにしても 心臓に悪い...


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