54 ゴブリンの瘴気浄化を訴えるところから
瘴特隊対策本部にて
今までの経緯を伝えて なるべく早く対応したい旨を説明した
反応はまちまち
ボビトやゴブリンの為だけに部隊を割くわけにはいかないと言う人や
なるべく早く対応すべきと言う人
休暇の人間も居る為 人数が手薄であるから1ヶ月待つ様にと言う人
私は説得できる材料も碌にない為 できる限りの懇願をした
「ゴブリンの所在地に瘴気が発生している可能性が大きいです
王都に近いこの場所を放置するのは危険と思われます
また モノドル国に近い領地になりますので 瘴気がモノドル側の住民を襲い 難民となって来るかもしれません
それはエイダール国の不利益となります
今現在問題なのはゴブリン族の一部の地域のみ 小さな瘴気帯は早めに閉じれば影響は最小限に留まります
早期対処が国庫の出費を抑えます
ボビト族は私を最初に助けてくれた種族です なのでできる限りの対応をしたいのです!」
思いつく限りの提案をしてみる
こちらに転んだ者も居るが反応は芳しくない
結局 統括のダウィード様が
「ムギ様のお考えも一理ならずともあるが 現状 隊員数があまりにも揃っておらず
順次 呼び戻しの上 充分な戦力が揃い次第出発とします」
「ーーーわかりました よろしくお願いします」
ーーーダメだったか
己の力の無さに辟易する
ダウィード様がそう判断するのも理解できる
だが胃がむかつく
それに反応するかの如く 腕輪が震えてる コーディア様が静かに怒っているのだ
私は静かに心を決めた
その日の夕刻 私はある仕掛けをして 自宅土禁亭を出た
仕掛けはレトログレードの進化版だ
今までの日常の行動を再生する様に立体映写するという魔法で 魔力消費は多少多い
だけれども 以前に比べて自分のMP値は格段に増えてるし 計算では5日は持つはず
全部映さなくても部分的で良いし
大体休みを明後日から2-3日取っていたので 明日だけどうにか忙しく仕事してる風にしていればいい
瘴特ストーカー団員達にバレない様
作業部屋の電気をつけて
「ムギ 魔法勉強中のため 籠り中 声かけ不要」と玄関に貼り紙する
市内にある貸し出し馬の場所まで歩いて20分ほど
外塀を空間収納 床魔法を使ってよじ登る よし 夕刻の逢魔が時刻なのでわかりづらく誰も気がついてない
ーー皆さん ごめんなさい!
シュタッと壁を降りて貸し馬屋まで走って向かった
ーーーーー
夜でも馬は目が利くらしい
はじめての夜間乗馬で緊張だが 自前のスマホ夜間ライトを照らしながら ボビトの森の方向へ向かう
流石に常歩での移動だ
あの いつだったかテントを隠した場所まで来たところで 影から声が
「やっぱり そうきましたね」
思わず
「っひっ」っとなさけない声が出る
この声は まさか
「こんばんは」
顔の怖い人だ でも 今は何故か怖くない
「バルディン様...!」
バルディン様は穏やかに
「貴女が自分の立場を理解して大人しくしてるかとも思ったんですが
それでも敢えて行くという事は 相当な覚悟があるのでしょう
ならば私を供にお連れください」
でも 本部決定の元に決まった事を 団長であるバルディン様が破った場合 ただではすまない
「ダメです あなたには お立場があるでしょう?
私ならどうにもなりますが 団員ならば咎めがあります」
バルディン様はきっぱりと
「私達の本分は貴女を守る事ですよ 嫌と言ってもついて行きます」
続いて
「そう思うのは私だけではありません ほら 後ろからやっと来た」
何名か隊員達が馬でやって来る
「良かった...!見つかって 明日から休み予定のトマスリッド隊員と ディートマートが参上致しました!」
「こちらは明日から自宅護衛担当のポティロンです アリアン隊員も連続出勤したいとの事で 同伴して参りました」
良いのだろうか みなさん進退がかかっている
アナが
「ムギさんは明日以降 発熱の為 自宅にて休養です 看病は私がする事になってます」
私はバルディン様に向かって
「バルディン様は...」
「ファルウェイ師長に急な頼まれごとができて出かけることになってます 数日はかかるでしょう」
うわ 泣きそう
「皆さん、本当にありがとうございます!」
バルディン様は
「では今のうちに走れるだけ距離を稼ぎます 朝日の出前から 決行開始だ」
先頭を切って移動してくれた
微力ながら持っていたライトを後ろから必死に照らす 電池が持ちます様に!
勇敢で無謀な集団がボビトの森まで向かっていった
また投稿が遅れてしまった!
☆の評価をお願いします!




