47 岩山へ本格的に行くところから
高所恐怖の方は読まれないほうがよろしいかと思います
空間歪みを修正するべく 現地へ朝から向かう
岩山は風が吹き上がり 天気はいいのに気温が低く 体の体温が少しずつ奪われていくよう
目的の岩棚に行くには瘴気払いをしつつ裏から登っていくしかない
時間はかかるけど
13人の瘴特団員で行けるところまで馬で駆け上がる
いよいよ馬が入らないところまで来たら
瘴気の無い場所で5人馬番を残して現場待機させる
一応数時間保つ瘴気払いはかけておきました
そして8人で目標の岩棚まで向かう
岩棚から見える歪みは 相変わらずダラダラと瘴気を垂れ流す
私はリュックサックを体に取り付けて 最終チェックを行った
隊員の皆様はハーケンという 岩に挿し込む器具を打ち込み 命綱を通していく
おお なかなかそれはいいアイデアだ
バルディン様が怖い顔で
「いいですかムギ殿 前回のように瘴気を集めないで 修復する事のみ考えてください 絶対です」
私は苦笑いして
「はい 今回はそうします」
「途中で何か異変があればすぐに知らせる事です 中断して 構わないのですからね!」
はいー バルディン様どんどん顔怖くなってるから 早く始めます
気力と体力は十分 昨日は練習もした
よし、始めますか!
『瘴気払え』
『空間収納 床』
同時起動する
そして足を踏み出して空間収納の上を歩き始める
いっぽ にほ さんぽ よん...
数歩歩いて気がつく
空間収納は半透明 しかも私が十分に歩けるくらいの程度の幅
なので 下が よーくーみーえーるー
っっこっわー!
だって7階よ?
どこぞの国で透明アクリルの橋とか作ってて そこ歩くなんてアホかって思ってたのに!
決して高所恐怖症ではないけれど
今までにない恐怖が生まれた
あわてて空間収納の横バージョンを施工
手すりになるように所々作っていった
だが足が 竦んで動かなくなる
風も吹いて体が揺れる
ーーー怖い!
その時 背中のハーネスもどきに少し引くような緊張が伝わる
後ろをちょっと見ると
命綱をしっかりと持った瘴特団員さんらが不安げに見てるのがわかった
こら!!!!私!
自分が言い出したんでしょーー!!!
しっかりしろおおお!紬!!!
顔を戻して
はんぽ いっぽ はんぽ いっぽ にほ
ゆっくりだけど確実に進む
ゆっくりでいい あそこまで行くんだ
30Mを行くのにトータルの時間は1時間近くもかかったかもしれない
誤算なのが縄の重み 強化軽量魔法をかけてあるといえども太くて重い 綱引きの縄担いでるみたい
それでもあと数歩で歪みに触れる事ができる所で 大きめの空間収納 床を作成
足を肩幅に安定させて
『瘴気払え』
『空間収納 修復』
気合を入れて完全に閉じるように魔力を注ぐ
数分かけて魔力が歪みに定着
ーーー閉じた よかった
でもやはり以前と同じだ 銀の脈動が残ってる
後ろの方で瘴特隊が喜んでる姿が見えるが風で声が聞こえない
ひと息ついて
戻る事だけを考える
行きよりは高さに慣れてきた
というか麻痺してきたのか
少しだけ 少しだけ早く 足を進める
気が緩んだのか 体に寒さを感じた
あともう5Mだ よかった
ちゃんと 戻れたでしょ?みんな
ーーと思った時
ガクッと 視線が崩れた
踏み外した!?
「引けー!!!」
よろめく私 背中が引っ張られるので回転する 崖のようになっている所へ 背中がべタン!と張り付く いってぇ
「3人はそのまま! 2人で引き上げろ!」
ズリズリと崖の上に何とか持ち上げてもらった
よかった 何とか帰れた のかな
ぜいぜいと息切れしながら
「ゆ 油断しました ごめんなさい」
と謝った
ティランミーノ様が
「よくお戻りになられました 立てますか?」という
立てる...かな
一応何とか立てるみたいだけど
なんだか足が笑ってる わあお カタカタと 筋肉痛みたい
バルディン様がこちらの様子を見て
「顔が真っ青です 体が冷えておられるのでは? そちらに座って 皆 マントを集めろ!」
そうかもしれない なんか寒いもん
先にハーネスを外して
マントに包まり
マントの上で
マントの枕で
マントを更にかけられる
「だい じょぶ です が
ちょっと ここで 寝かせて
じゅっぷん」
緊張の糸が切れたのか 体がドンと重くなる 半分くらい 意識が飛んでたかもしれない
しばらくしてから意識が戻ってきた
なんかすぐにそこで火を焚いてくれたみたいで ぱちぱちと音が鳴ってた
あー 温いー
しばらくして ああ もう30分は経ってるかも というところで起きあがった
こっそり 自前のステンレスボトルに入ってたお茶を飲み
「すみませんでした かなり時間かかってしまいました」
バルディン様が
「いいえ 今回も無理させてしまいました 体が大丈夫でしたら 戻りましょう」
実はまだ私にはミッションがある
「すみませんが あともう少し 時間もらえますか?」
高いところが苦手ではなくとも 実際に立つと怖いと思います。。。
☆の評価お願いします!まだまだ話は続きますのでブクマもお願いします~




