46 南領地の都市に着いたところから
午後のお茶の時間前くらいに 南都市へ到着 宿屋へかと思ったら
領主に挨拶するとの事で 私は目立たぬように侍女さんの格好を取らせてもらった
顔と髪を隠せる大きめの三角巾と 召使い用のポンチョなど
ここでも外国人顔なので違和感ありありなのですが 小さなことは気にしない ワカチコ
隣でティランミーノ様が
「いつもと違う装いの貴女も素敵ですよ 私専用のメイドになって欲しいくらいです」
キラーン と愛想を振り撒いてます 眩しいねぇ
まず全員で領主様の執政室にてご挨拶
南都市の領主様は温和そうだけどかなり疲れたお顔でした 相当疲弊しているのでしょう
「ようこそおいでいただき 誠に感謝致します」
元気ない様子
バルディン様達が儀礼的なご挨拶と情報詳細 あと来る時に見た空間歪みの報告などなど
全部対応してくださった
実は私はその間 あの空中に存在する歪みまでどうやって近寄ることができるかを考えていた
領主様は話していくうちに希望を持ったらしく かなりの便宜を計ってくれるようにしていただいた
その後私ら各人を領主様のお館のゲスト部屋に案内してくださった
ちなみに滞在中はアナと侍女さんの3人部屋 侍女さんがすっごい恐縮してたけど何とか説得しました
夕食後 瘴特団の行動の会議に参加する
やはり問題は 歪みの位置である
「大弓で撃ち落とす事はいかがでしょう」
「危険だ 空間が裂けて瘴気が増える可能性が高い」
「櫓を組みますか」
「あの濃い瘴気の中で?いくらムギ様でも我々が作る間 ずっと瘴気払いさせるわけにいかないだろう」
「私の風魔法でムギ様を空中に舞わせるのは」
「どこまで安定して送り出せる?」
「落下なぞさせたら万死に値する」
あーだこーだで結局決まらない
一旦意見が出尽くした後にディートマート様が
「ムギ様 何か良いアイデアはありますでしょうか」
うーんとまだ調査が必要なんですがね
「ひとつ考えはあるのですが...実際にやる前に ちょっと明日岩山の近くまで行ってみたいです」
キラキラ王子が
「どういう事でしょう?」
「ジャックと豆の木か、天の橋立か...
ああいえ 最近覚えた魔法なんですけれど」
キラキラ王子のおかげでね
私の計画を瘴特団の皆さんに話してみた
翌日 瘴気のなるべく薄い所を通りながら
岩山近くの見晴らしの良い場所まで
私達は小隊を組んで向かった
まず歪みの高度を調べる
領主様にお借りした 遠方でも大雑把に測れる測量器具で距離を測る 何メートルの位置なのかな
ちなみにボビト族のありがたい翻訳機能で エイダール国の距離単位とメートル法をうまくマッチして翻訳してくれてる
すっごい便利!
大体地上から20メートルくらいだった
えっと計算するとマンションの7階の高さか...
対して岩山からの直線距離は 30メートルくらい 学校のプールより長いくらい
使おうと思った魔法は 収納魔法 床バージョンである
森の地面から階段の形にするのが「ジャックと豆の木方式」
対して 岩山から橋を渡す方法が「天の橋立方式」
...どちらも不吉なネーミングである事は後で気が付きました
正直 豆の木方式は 瘴気がいちばん濃い所で始めなければならないし
階段を登っていくよりは 橋渡りの方が楽に思えた なので 少し長い距離になるけれど
天の橋立方式を採用する事となった
問題は 私が歪みまでひとりで行くかどうか
バルディン様はじめ団員の皆様 大反対で
同行をすると言い張っていたんだけど
あの 重量の問題もあると思うのですよ
そりゃ魔力を強くしたらっていうけれど
そもそも 空間修復にも瘴気払いもしなきゃいけないし 余力を持ちたい
最悪 風魔法で下に激突しなきゃいいんだから
かなりの反対もありつつ
命綱の設定をしっかりする事で何とか折り合いがついた
...30Mの命綱でも20M落下したら意味ない気もするけれどネ
という事で明日天気の良いと思われる日に決行する事となった
南都市内に戻って
ディートマート様とアナと一緒に命綱の準備をする
しっかりとした縄で まあ安心ではあるのだがいくら太い縄だとしても 一本腹に巻くだけはいただけない
「...これ 少し手直ししていいですか?」
「ご不安でしょうか?」2人とも恐る恐るだ
「いえいえ!いいんですよ!よくこの長さが用意できたと思います
でも あの これだと 実際に落ちた時に ですね 内臓が大変な事になるんですよ ね」
安全帯はフルハーネスがいいです!
私は四次元ポケット(大)から前世界のリュックサックを取り出して
「人間が落ちるときの勢いに腹の一本だけだと 体が耐えられないんですよ 普通にぶら下がっても苦しいです だから肩、胸、腰、腿部分で分散して支えるようにするのが安全なんです
これはただの荷物袋なので 足の腿部分は布地を足さなくてはいけませんけどね」
2人ともはぁーーと感心してくれました
アナは
「異世界の ムギ様の世界の知識とは凄いものですね...」
ディートマート様は
「なんか...まるで実際に経験したみたいですが...」
ギク
聞かないで
秘技 笑って流す!
いまや安全帯は肩紐2本が常識のようですね
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