45 新居に越せないところから
タイミング的にもう引越ししたいのだが
あと数日でアルデの森に行かなくてはいけない為 掃除、修繕などをしただけでちゃんと住む事がまだできていない
通勤が無いのが王宮別邸のいいところでついつい長居してしまった
上げ膳据え膳なのが少し楽になって来てしまって
...まずいまずい!あれに慣れたらダメ人間になる!
兎も角 新居は戻ってすぐに住める様にしておこう
こちらの世界で一般的ではないが どうしても譲れないのが 靴問題である
家の中では極力靴は脱ぎたい やはり日本人ですからネ!
スリッパを手作りして家の中はほぼ絨毯を設置する
水回りだけ板張りです
ああこれでリビングでくつろげる~
シディに「変」と言われるがお構いなしです!だってブーツとかずっと履いてられないものー
でも離れは普通にしましたさ
見張りの人はこまるでしょうし
自分の家 というには まだこそばゆいので 心の中でドキン亭と呼ぶ事にした
カタカタだとわからないが 漢字で 土禁 つまり 靴は脱げ!という意思表示の家である
さあ遠征の準備はほぼ終了した
もう本番だ 頑張ろう
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今回は少し移動が長い為 馬車と騎乗の混合で行くこととなった
人数は前回より多めの15人編成
私はリッツに乗って出発したが 疲れたりした場合はすぐに馬車に戻るように言われてる
確かに未だ3時間を越える乗馬をしていないのでそういう備えはありがたい
でもなんだかんだで2日くらいで南の都市に着くらしいし 向こうに宿もあるらしいので できれば全行程リッツに乗っていたい
今回は食事も大量に持ってきた
大所帯の場合も 荷物は私の空間にお任せあれ!
でも 作業時間の関係であまり凝ったものは作れないし 瘴特団の人が贅沢に慣れたら困るので 前回と同じようなメニューがほとんどだけどねー
薄茶髪の青年 以前私のピクニックを監視していた ディートマート様も今回は参加だ
「こういうスープがあるだけでも体の疲れが取れますね」
彼は臭いに敏感のようで誰よりも早く食べ物にくる
「皆さん装備も重いでしょうし 疲れるでしょう 沢山食べても大丈夫ですからね」
今日は鳥の手羽元と玉ねぎのスープ~
配膳時にバターをひとかけ入れると風味が立って美味いんだな~
実は私はこっそりスープにヒール効果を持たせている
普通に魔法を希望者にかけてたら
皆がバルディン様に怒られていたからだ
アナがスープを噛み締め(?)ながら
「ムギさん...レシピ教えてくださいませ! 次から私も作りますので」
と 一緒に来た侍女さんとあーだこーだと料理研究をはじめていた
うん 誰かが作ってくれるのは楽しみー
ちなみにキラキラ王子も今回参加で
キラキラさせながら野営のスープを上品にお飲みになられる
ふふ どうも似合わないですね
小学校の給食で使うひとクラス配膳の寸胴鍋があっという間に空になった
翌朝のマシュマロの乗ったシナモントーストを食べながら
思わずバルディン様に
「あれ 明らかに瘴気出てますよね?」
私の指差した先
南の都市横には森が隣接しているが
森の奥側から見覚えのある嫌な空気が流れている
ただ上から落ちるように森へ注がれているのだ
つまり空中から しかもかなり高い位置に空間の歪みがあるのだろう
ここからではどれだけの高さにあるか わからないけれど
南の領民は気が付かなかったのだろうか
「領主様からそういった報告はあったのでしょうか?」
バルディン様も
「いえ 特になかったと思います
空間の歪みが原因であることは最近の調査で分かったことなので 気がついていないのかもしれないですね」
「すごく目立つのに...」
「南都市の方向からだと背面の岩山に溶け込んで見える感じですね」
なるほど 確かに王都からの方向だと空と色味が違うので分かるが
岩山のグレー、黒、白の迷彩だとわかりにくいかもしれない...
...空って事は
「...どうやって あそこまで行けば...」
皆 何も言えない
前回とは違った問題発生だ
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