43 ひとりで乗れる方法を考えるところから
先日の馬の背にひとりで乗れない問題を解決したくて いい方法がないか考える
脚立も良いのだがこの世界の脚立は木製で あまり質が良くない
重いし扱いづらい
魔法でなんとかする?
風魔法だとホバリング方式か
いや周りに埃が舞って迷惑だな
投げた板を空中で時間止める?
んー時間魔法だとMP消費が多いので緊急時はあまり使いたくない
空間魔法でだったらどうできる?
...一般の収納魔法は半透明の空間に入れる感じ 水を張った桶に物を投げ入れる感じといえばいいのか
工夫をしていくと私の四次元ポケットみたいに ジッパーをつけたみたいに現れる
ということは 出入り部分の手触りは触る感触があるので物質化してるという事だ
それならば出し入れのイメージを床下収納にしてみてはいかがなものか
蓋を作って...
自分の足が乗るくらいの大きさで...
『空間収納 床』と魔法起動する
出た!
恐る恐る 手を乗せてみる
うん 板の上に乗ってる感じ
少しカタカタいうところまで実家の台所床下収納を再現していた
開けると四次元ポケットと一緒だ
わーいわーい成功だーー
その上にヨイショと体を乗せる うん 重量クリアで 安定してる
「これでリッツにひとりでも乗れるわ」
大満足である ただそれだけの日
ーーーーーー
別の日に 古代魔法の報告を済ませてファルウェイ様の所から別邸に戻る際 道に迷った
やはりショートカットで帰ろうとしたのが間違っていた...
ええと どっちへ戻ればいいのだ?
どこかの庭に紛れ込んだのやら ショートカットした道に戻るため垣根をよっこらしょと越えようとした時
ブニっと 何か踏んだ
「えっ、何っ?」
慌てて体重をかけ切る前に重心を後ろに戻す
びびびっくりした 子供が軽い匍匐前進してる
「...君 何してるの?」
男の子は「静かにしろ 見つかる」
「かくれんぼかな?」
「......そうだ 見つかるから お前もしゃがめ!」
はいはい いいですよお
「なんで 付いてくるんだ」
「いえ 実は帰り道で迷っていて」
「...仕方ないな あそこの陰まで行けば 教えてやる」
アイアイサー
子供でなければ完全に不審者だが
それなりに道がわかるみたいだし 関係者であろう
恐らく彼にとって安全だろうと思われる場所までやってきてから
「それで どこに行きたいんだ?」
おお 立ち上がったら 良いとこのお坊ちゃんという感じ
小学校3年生くらいかなぁ
頭良さそう くりんくりんの金髪で 青い瞳
「えーと 別邸かな 馬場まででもいいのだけれど」
「じゃあこっちだ」
「ありがとう」
道案内してくれたが何故かこちらをじーと睨む
「何か?」
「...いや お前はどこか貴族の子女か?」
この普段着の格好でそんなわけない
「いえ とんでもない」
「じゃ 下働きか」
ちょっと違う気もするけれど
「...通いで仕事をいただいてます」
ちなみに君は?と聞きたかったが偉そうなもの言いに
「えと そちら様は」と聞いてみた
しばらく黙ってから少年は
「...東領主の息子だ 陛下に瘴気の現状報告をするのについてきた
...今は王子のお相手をしていた」
歩きながら話して
彼の独自の道案内で見つかりにくい路地を行く
「王子様とのかくれんぼはいいんですか?」
「大丈夫だ たぶん今全然違う方向を探してる」
かくれんぼの設定範囲広いな 王子の放置いいのか
ふとレクリエーション大会で使わしてもらった訓練場が遠くに見えたが
休憩時間なのだろうか どうやら騎士様方がドッジボールの練習をしている
「あれが最近流行り始めたボール遊びか」
騎士様方 練習してあまり強くならないで欲しい
「そうですね なかなか面白いですよ」
領主子息はぐるんとこっちを向いて
「お前もやったことあるのか?」
ええまあ そうね
「はい レクリエーション大会に参加しました」
領主子息は怒りを露わにして
「ずるいぞ!女のお前だって参加したのに
子供だからって僕らは見せてももらえなかった!!」
観覧の禁止は別にしてなかったんだけどなぁ それにこれ私にとっては子供にも楽しいものだし 少し可哀想
「じゃ ちょっとだけやります?」
「いいのか!!」
「馬場の端っこなら大丈夫でしょうから ただお友達放置は良くありません
10分くらいだけですよ」
馬場の目立たない場所で マイボールをポケットから取り出す
「ボール遊びはした事はありますか?」
「...こんな変なボールではない
もっと 小さくて飾りがついてるやつなら」
それは実用ボールではないだろうよ...
5Mくらい離れてから
「じゃあ とりあえず私にボールを投げてみてください」
領主子息ーめんどい 少年は私に対面で両手で頭の上から振るように投げた ボールは虚しく落下してコロコロと転がっていく...
うん 初めてか!
「ちょっとこっちにきてください 投げ方はですね
利き手ー私は右手ですがーで投げます
その時 体は対面じゃなくて右側に向きます
左手左足を前に足は腰幅に広げて
右手のボールを前に出して投げてください」
実演しながら壁に向かって投げると
綺麗に戻ってきた
「よし 僕もやるぞ!」
力いっぱい投げるが壁まで届かず
「ええと 左足を軸にして 駒みたいに体を回す感じにするの 踏み込んで
左手も投げた後残さないで 大袈裟にやると ...こんな感じ」
左足だけで回転してみる
「こ...こうか?」
さっきより遠くに投げれた
「そうそう 上手
もっと投げる瞬間左足に体重をかけるといいですよ じゃあさっきの場所から私に投げてみましょうか」
しばらく拙い投げ合いをしたが
少年のボールは私に届くくらいになっていた
「そろそろ時間ですね 王子様をあまり放ってはいけないし 私も戻らなくては」
少年は不満そうに
「おい お前 名前は!」
えーと いまさら?
「ムギといいます」
「ムギ!明日 今と同じ時間にここに来い! 続きをやるぞ!」
お昼時間なら可能だけど
「約束できませんが 来れたらでいいですか?」
「ダメ!絶対来い!僕はあまり時間ないんだから わかったな!」
えーー
「わかりましたよぅ で そちらのお名前は?」少年よ 名乗れよ
「ク ジ、ジルドだ!」
という事で明日のお昼はどうにも潰れそうです シェフに馬場で食べれる軽食を作らせてもらおうっと
お休みの間 ろくに出かけられず 馬に乗って出かけられるムギがうらやましいです
みなさま 頑張りましょう
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