40 遠乗りに行くところから
ティランミーノ様は馬場の場外出口に向かい
「今日は街外に出ましょう 常歩 と速歩は大丈夫との事でしたので 外での実践です」
王宮から市街地に向く道ではなく
王宮北側から歩いて出れるという
すぐに走りやすそうな草原が広がったところでリッツに乗る
だけど
外でだと鎧が高すぎて足が届きません...!
後ろから
ティランミーノ様が
「捕まって」
と私の脇下を掴んで持ち上げた
ちょ ちょっ!
急いで左足を鎧に突っ掛け 踏ん張って鞍を掴み 何とか鞍に乗った
右足でティランミーノ様の顔蹴らなくてヨカッター
「あの こういう時 普通はどうやって乗るんでしょうか?」
「そうですね 訓練では軽くジャンプしながら鎧に乗りますけれど
または馬がしゃがんでくれる事もありますよ」
ひえー それは私にできるのか
リッツがしゃがんでくれる事をお願いするしかないかしら
あ でも 空間収納に簡易台入れとけばいいか
キラキラ王子様は
「まずは私が先に行きますので 付いてきてください 落ちないでくださいね?」とウインク混じりで言う
ぶわわわわわっ
花が増えてます 更に増えてます
すげえ ある意味魔法よりすげえ
生ナチュラルウインクだー
とりあえず自信はないけど
「頑張ります」です
コースはどんどん森の中へ
乗馬は鞍にずっとお尻を鞍に乗せるわけではなくて 軽く上げ下げするため かなりの運動になる
きっとスピード的にはすごく抑えてくれてるのかな とりあえず難なくついては行ける 景色も見えるし
遠くに山が見える 手前には小さな湖 キレイ 楽しいな
周りが開けた小高い丘まで来て休憩との事
えーと降りるのは自分でいけるかな
っと 思ったらティランミーノ様がリッツのすぐ横に
...えー 手を広げられてるのは ダイブしろと?
「たぶん重いので 自分で降りてみますよ」
ティランミーノ様 笑顔で
「いいえ 足などを怪我されたら困ります 大丈夫ですよ ムギ様は羽根のように軽いですから」
っどっひゃー!
王子が ナチュラル王子気質がここにおる!日本のロマンス趣味のお嬢様ー!集合ー!
とりま突っ込むところとしては 私はヒール使えますが?くらい だが言えぬ
ただこの状態で断るにも断りづらい
えいっと片手を借りるだけで 何とかしようとしたが 少しバランス崩して 結局身体ごと支えられてしまった
「ね? やっぱり羽根のようだ」
キラキラキラキラキラキラッーー!!
うわ サングラスじゃ間に合わない 誰か 誰か遮光カーテンをもってこいー!
ティランミーノ様はゆっくり私を地面に下ろして エスコートしてくださった
次から絶対脚立用意するぞ
そこから何ともまあ用意のいい事で
簡単なお茶を出してくれた
「少し座りましょうか 見てください あの山の麓一帯には南の都市があるのですが その横に森がアルデの森があります」
それは
「次の遠征の場所ですね」
ティランミーノ様は真面目な顔付きで
「南の領主は早めの救援要請を出していました なかなか王都で対応ができませんでしたので 焦られていると思われます」
私は懸念していた
「遠征の際は『聖女』が行くとお伝えなのでしょうか」
ティランミーノ様はニコっとして
「いえ 瘴特隊が行くという事になってますよ 貴女はその中のひとりという体です」
ほっとした
「そうですか ワガママをすみません」
「良いのですよ 貴女ひとりで背負う事はありません」
あれなんか手を取られたけど
そしてキラキラ感が増したような
!思い出した この人ドッジボール試合で最後に私の手にキスした人だ!
「あ あの」
「できれば貴女を小さな箱に閉まっておきたいのですが 仕方ありません
私はいつでもお側にてお守りいたします」
うわーまたくる!
...の瞬間に
『ぶっふぁぼえばあぁぁ!』
リッツの不思議な鳴き声がこちらに向かって来た
なんか臭い息と唾も飛んできたな...
私はサッと手を下ろして
四次元ポケットからタオルを取り出す
先にティランミーノ様にそっと渡す
自分のは愛用の手ぬぐいでいいや
少し固まったティランミーノ様に私は
「...あの 馬というのはこう鳴くのでしょうか」
「いえ...このようなのは初めて聞きました...」
リッツ グッジョブ!
帰りもスムーズに戻れた
ただティランミーノ様の後ろ姿はお貴族然としていたが少し哀愁漂っていた気がする
戻った後 リッツのブラッシングを念入りにやって差し上げた事は言うまでもない
いつも読んでいただいてありがとうございます!
まだまだ話は続きそうですので 長いお付き合いいただけると嬉しいです
☆評価とブックマークおねがいします!
少しずつ増えていくのが励みになります




