39 午後 モーグズに相談するところから
不思議な間取りの賃貸物件は
実際に借りれるのが数日後という事で契約だけ済ませてシディとそこで別れた
午後ティータイムよりは早い時間から
モーグズさんの家へ昨日の銀色塗装事件について相談をしに行った
レトログレードで過去見魔法を見せる
「...というわけなのですよ
モーグズさんはこういった魔力のコントロールはわかりますでしょうか?」
モーグズさんは考えながら
「右手から集中して出すよりも前に 声で魔力を放出させてるんだろう それだけ魔力が有り余ってるという事か...」
続いて
「何にしても出し方が違うだけでコントロール方法は一緒だ お前の意識の持ちようで魔力の形状は変えられる」
ただなとモーグズさんは憂う
やっぱりこの方 かっこいいなー
「声に魔力を乗せて放出は凄まじい発想だが 瘴気払いでは十分ではない可能性もあるぞ」
「と言いますと?」
「あれはあくまでも払い避けているだけだからな 消滅させるには...浄化の魔法を使わなくては」
あ それならば
「古代エイダールの聖女魔法書にあったかもしれません ピュフィリケーションとかいう...」
「それはおそらく聖女のスキルだな」
「ですね」げんなりする 他の魔法士さんはできないかもじゃん
モーグズさんは思い出したように
「そういえばお前が歌ってた曲は なかなかいい曲だが 浄化に向いてる曲かどうかはわからないと思うぞ
何言ってるのかは内容が不明だが」
え つまり曲によって浄化魔法と合う合わないがあると言う事か
「そこは 実際に歌って研究してみます...」
「ここでやっても構わないぞ 私も聴いてみたい」珍しくモーグズさんがニヤニヤする
「笑わないでくださいよ? すごく恥ずかしいんですから」
まずはピュフィリケーションの習得と
テスト用の瘴気も少し欲しいな
次の遠征で瘴気を瓶詰めにできるかしら
後は曲をいくつかチョイスしなくては
後日談で
モーグズさんが珍しくお願いしてきた
なんと私のスマホのプレイリスト音楽を聴きたいという事だった
聴かせてみたらハードロックが気に入られたようで ノリノリなモーゼズさんでした
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警備隊の部屋には戻れないため
しかたなく王宮にお世話になる
リッツの世話をしにちょっと馬房に寄り
その後文官さんにも家の事を報告する
一応条件はクリアしましたからね!
その後は怒涛の流れで侍女さん達の世話を受けた お風呂 着替え お祈り 晩餐 娯楽 お酒 就寝まで!
「ムギ様はマナーについてご不安との事なので
こちらで貴族の生活を体験されると良いと存じます」
...まぁ 確かにね
ただいくらなんでもご飯後に わざわざ演奏家とか大道芸の人を呼ばなくてもいいのでは!?
ただ侍女さん曰く「これが普通」だそうな
貴族 大変
翌日からもそんな疑似貴族体験が続いている
流石に仕事の際は解放されるけれど
毎日やってたら人手がいくらいても足りないと思うの
ああ 表情筋が死んでいく
昼から馬房に行き リフレッシュで乗馬
たまに見かける騎士様が馬場で待っていた 今日は代わりの人がレッスンだったな
こちらに向かってきて
恭しい挨拶で
「本日はレッスンを担当させていただきます ルドルノ・ティランミーノと申します この度は大変な栄誉をいただき光栄です」
整ったお顔立ち 完璧な金髪碧眼 きっとご立派なお貴族様なんでしょう
そんなお方が にこぉーっと笑いかけてくれる
周りに花があってボワボワボワボワンと咲いてます 眩しいです サングラスください
キラキラ王子ですね
いや 栄誉も何もまず初心者に乗馬教えるだけですから
「ご丁寧なご挨拶 恐縮でございます
ムギにございます ティランミーノ様 本日はよろしくお願いします」
一応こちらも丁寧にね
「そんな 堅苦しくされないでください
是非今後はルドルノとお呼びください」
いやいや アナの時も思ったけど
庶民の私が貴族の名前呼びするのはハードル高いって
ちなみにアナも公式の場所ではお互いちゃんと様付けにしてるし
しかもティランミーノ様は男性だから周りにどう取られるのやら たぶん 面倒臭い事になる
困った顔をすると
ティランミーノ様は笑って
「私の方が焦っていたようですね ティランミーノでも結構です 本日は楽しくレッスンしましょう」
っほっ
「はいっ」




