17 魔法士の家に向かうところから
数日後 午後からの用事を済ませて 隊長さんと 馬車で街の南方面へ向かった
馬車からの景色は町並みが見れて何気に楽しい 途中でいかつい騎士団が私達を追い越していき 砂埃がすっごい舞う
こんな時はアスファルト舗装が恋しくなる
今回の目的は魔法士に会う事 そして帰還の手段を探すこと
魔法士の家は案外と小綺麗な建物だった
ただ庭にはいかにも薬草などがたくさん植わっている ああ なんか自分の世界でも見かける物もある
隊長さんがドアをノックして
「やぁ 邪魔するよ ちょいと相談したい事があるんだけど」
「ドゴールか うちは時間制だ 1時間で1万ゴールド」
恐らく この人が魔法士なのだろう それにしたって1時間1万ゴールド?っ高
「生憎く いま手持ちがなくてね ほら部下に酒を奢ったりしなきゃいけないし 嫁さんに花束買ったりしなきゃだし」
「お前は独身だろう 適当な事を言いやがって ツケにしておくからな」
「ああ大丈夫 ちゃんと払うから この子が」
軽く私の肩を叩いていい笑顔で言われる
「んん!?」
たいちょおおー 聞いてないっす!
「保証人は俺って事で」
魔法士はため息をつきながら話す
「...用件はなんだ」
あら 案外とこの方いい人かも ツケきくんだ
隊長さんは私の事情を簡潔に説明してくれて
私は簡単な挨拶だけで済んだ
「ムギと言います」
端正なお顔立ち 落ち着いた雰囲気の魔法士さんは
「モーグズだ。生憎私の魔法特性は植物育成でな 時空間なんてのは専門外だ そんな上級魔法は現在の王宮にも居るんだか居ないんだか」
困りました それじゃあにっちもさっちもいかないではないか
「では魔法のコントロール方法を教えてくれませんか?魔法をちゃんと使える様にしたいです」
モーグズさんは
「専門の学校に通う様な内容か?だがあれは10歳から18歳までの学校だ
年齢的に通えなくはないだろうが」
「じゃダメですね、私 ステータスでは19歳なので」
隊長さんは目を丸くする
「ん!??? お前 嘘だろ? どう見ても成人してる見た目じゃない!」
モーグズさんは冷静に
「規格外の童顔だな」
そりゃここの国の規格とは合ってないとは思うけどさ...しかし実年齢はもっと上なんだけどね
「私の故郷では至極一般的な見た目です 人種の違いなのではないでしょうか 男女共に身体もひと回りみなさんより小さいですし」
隊長さんはちょっと引いてた
「ともかくお金も無いですし 独学で勉強するしかないと思ってます
モーグズさん お手伝いなどしますので合間に魔法を教えてください どうかお願いします」丁寧に頭を下げてみた
モーグズさんは考えてから
「3時間労働で1時間講義...それでいいなら教えてやってもいい」
よし!時間の調整さえうまくできればそれで何とかできる 是が非でもない提案に私は頷いた
「隊長さん 警備隊詰所の仕事はちゃんとやりますので 空いた時間やお休みの日にここへ通わせてください」
隊長さんはニヤっと
「まぁいいんじゃないか ただ無理はしない事だ 隊員みんなが心配する」
モーグズさんは
「それじゃあ 来週からにしてくれ こちらも準備がある 使い鳥を出すから」
「ありがとうございます!よろしくお願いします。」
ああよかった ひさびさに勉強するのも楽しみだ 早く始まるといいのだけれど
私達はとりあえず一旦警備所に帰る事となった
帰りの馬車で隊長さんがぽつりと
「お前さんの年齢を13、14くらいだと皆んな思ってたんだよな」
「...それは隊長さんから訂正してもらえるといいのですが...」
「ああわかった だけどな 19歳っつーたら結婚対象でもおかしくない
隊の既婚者は問題ないが 侘しい独り身から逃げる手段は考えとけよ?
うちの隊員は無茶するとは思わんが」
うーん怪しい外国人だし 対象外だと思うけどね
「故郷に、帰りたいんだろ?」
もうこの世界に来て2カ月も経っていた
望郷の切ない気持ちで一言「はい」と答えた。
「ちなみに隊長さんはおいくつなんですか? 私の歳知ったんだから教えてくださいよ」
隊長さんは無表情で
「...四十には届かない」
「そうなんですか 髭が多いせいかもっと歳上かと思いました」
「いいんだ 俺はこれで」
「そうですね 役職あるなら威厳ある見え方がいいですよね」
隊長さんも苦労が多そうですね
さてと明日から忙しくなりそうです
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各話の量がまちまちなのはご愛敬




