16 ドゴール警備隊隊長から
数日後の休憩時間に 隊長室に呼ばれたのはやはりステータスの事だった
隊長は特にいつもと変わらない顔で
「ご苦労さん 休み中すまんね ちょっと話があって
まぁ立ち話もなんだからそこに座って 俺のまずいお茶で悪いんだけどさ」
殺風景な隊長室には椅子が一つしかない
とりあえずそれに座る
「...で 見たんだろ?ステータス どうだったか教えて欲しいのだけど」
だーよーねーこう来ると思った
「ええと...」なんと答えたものか
口籠る私に隊長さんは
「今までのな お前さんの働きを見てて悪い印象はなかった 学はあるし 何かを騙そうとしてるわけでもない
勤勉で 怪しい動きは...特にはなかったと思うんだがね 魔法で通信スパイする感じでもない
ただ記憶を完全に失ってるわけでもないとは考えてる 一般的なことは本当に知らないみたいだしなぁ」
やっぱり監視はされてたんだ
取りに行った荷物の事は言及されないがわかってるのだろう
「悪い様にはしたくない ここらで分かった事でも話してくれないかねえ」
そろそろ限界か 信用できるか? この人を
隊長は飄々と話を続ける
「...ただステータスとかって自分以外は基本見れないわけでさ 全部が全部を話さなくても俺らには全然調べようがないわけ
だから必要な事だけ話されたとして
他に言わない部分があったとしても 責めようがないんだよねー」
「!」
この言葉で私は隊長を信用できる人とした 彼も私が馬鹿正直に話す事を望んでるわけではないのだ
ならば
「確かに そうです 私は記憶が全部ないという事ではありません
ただし 気がついたら知らない場所に居たというのは本当です」
「そして ここがどういう場所なのか全くわからないというのも本当なのです」
隊長さんは表情を変えずに
「ステータスには自分が何と書かれていた?」
全てを話す必要はない
「時空間魔法士...と レベルなどは言いたくありませんが」
「ああ レベルは話さなくて大丈夫だ あまりベラベラと吹聴するもんでもないしな」
「なので 私は自分がどこから移動させられたのかを知りたい そして家に帰りたいのです」
隊長さんはしばらく考えた後
「空間移動か時空移動か はたまたお伽話で召喚術なんてものもあるが それは力のある魔法の分野だな
お前さんの力が暴走した可能性もある
まずは魔法士に話を聞く必要があるか
良ければ知り合いの魔法士の所まで連れて行ってやる
仕事の合間で行く感じだけど それでどうだ?」
渡りに船である
「はい!是非お願いします!」
「ただお仕事は引き続きよろしくね
新しいお茶淹れてきてくれるかな あと食器棚に隠しおやつがあるからそれも」
なんだかんだで人使いが荒い
でもそれがこの人の優しさでもあるのかな
「すぐにお持ちします!」
帰れる道筋が少しでも見えた事が私を浮かれさせた
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各話の量がまちまちなのはご愛敬




