107 王都へ帰還するところから
王都まで半分くらいの行程に差し掛かり 夕方前には帰れるというところに来た
一羽の遣い鳥がくるくると旋回しながらやってくる あれは魔法士の師匠モーグズさんの魔法鳥だ
手を差し伸べると腕に止まり折り紙が開かれるみたいに一枚の手紙になる
そこに書かれた内容に驚愕した
『王都にて瘴気発生ーモーグズ』
「ツムギ 何があった」
「カーライル様 モーグズさんからです 王都で瘴気が発生しました!大至急戻りましょう 規模は不明です」
「なんだと!!今まで都市内では発生は無かったはずだが」
愛馬に鞭を入れて「ごめん もうちょっと頑張って」とお願いする
その甲斐もあったのか凄いスピードで進んでく
遠くから瘴特団の制服が騎乗で2名やってくる
アナとトマスリッド様だ
先頭をきるカーライル様は
「急ぎ状況報告しろ! 瘴気が発生したのか?」
「はい!一般街の西地区 南地区 東地区に中程度の空間歪みと思われます!
東地区は一部 貴族街に瘴気がかかっております
現在待機中の魔法士隊が東地区の対応中
現場は逃げる市民で混乱
警備隊が避難の誘導を行なっております」
「規模の大きさはどこが一番大きい?」
「南 西 東 の順に大きいです!」
「ツムギ 王都の南西口から入るぞ いいか?」
「もちろんです!急ぎましょう!」
「お前たち2名はこのままツムギの護衛に入れ」
「「承知しました!!」」
方向が決まってからは早かった
数時間ほどで南西門に到達する 外へ出る人で溢れてる
馬で皆を怪我をさせないように中へ入れてもらう みんな顔色が悪い
「ツムギ 今は治癒魔法を使うな 先に歪みを閉じるんだ」
そうだ 死ななければどうにでもできる 被害拡大をまず止めなくては
瘴気の臭いがしてきた
『瘴気払い 払え』
「カーライル様 どちらから!?」
「人の流れから見ると西地区の方がいいだろう 行くぞ」
時間が遅い 急ぎ馬を走らせる
途中 西地区の慣れ親しんだ隊員さんたちが必死に市民を誘導している
「ムギちゃん!?危ないからそっちはダメだ!!」
「いえ!私は瘴気を止めます!皆さんも早く離れて」
「え? ええ?」
更に奥へと行ったところにあった!歪みだ 凄い勢いで瘴気を出してる
ええい見え辛い!風魔法で濃い所の瘴気を集める『空気吸引』
凝縮してできた黒い塊を勢いよく亀裂に叩きこもうとした時
後ろから身体を引っ張られる
な何?
引っ張ったのはカーライル様
彼が私より前に出て 瘴気の塊を引っ掴む!ーなんて無茶を!!
魔法士でもないのに気合いで歪みにねじ込んだ
「閉じてくれ」
「ーーっ馬鹿!!」
そして 『空間収納 修復』
よし 閉じた!
カーライル様の左手は焼け爛れて痛々しい皮膚が残る
「何て事を」
急いでヒールをかけようとして止められる
「まだ次がある 終わってからでいい」
自分で布を巻いてしまった
「しっかりしろ 次にやる事は分かっているだろう?」
涙が出てしまう でもそれじゃダメなんだー今やるべき事は
残っている瘴気を浄化しなければ
お願い 一回で全部 早く無くなって
なるべく大声で 身体自体を反響板にするように歌う
『ピュフィリケーション』
いつもよりずっと早い時間でもっと強力に浄化が終わった これならもう大丈夫だ 全部浄化出来てる!
「カーライル様 次は!」
「南地区だ!ついてくるんだ」
西区警備隊隊長はじめ隊員の皆さん
信じられないようなものを見ていた
「ドゴール隊長!怪我人病人全て集めてください!後で来ます 症状別に重度を分けておいてください」
トリアージをお願いする
「お願いします では!!」
返事は聞こえなかったけど すぐみんなが動いてた さすが隊長 任せます!
南地区はもっと強力な瘴気だった
西地区よりももっと混乱してる
ふと道の一角で小規模な瘴気払いをかけてるらしき場所があった 何人か固まってるうちのひとり
ーモーグズさん!
思わず強力な瘴気払いをその一角にかける 祓った部分は3倍くらいになった
「ムギか 助かった 力足らずでな」
「連絡ありがとうございます おかげで早く帰れました 逃げられない人はここで避難しててください しばらくは大丈夫です」
「怪我するなよ」
「はい!」
さっきよりもっと瘴気が濃くなる
自分たちの周りにもかけ直す
ちっくしょ どこだ どこにある?
カーライル様が
「ツムギ!あそこでは?」
汚い用水路の側面にあった 水の流れがあるけれどなんとか降りれそう ー横から行ける
アナが
「ムギ様!お召し物が汚れます」
「そんなこと 気にしてられないっ!」
カーライル様も一緒に降りて私を流されないようにホールドする
場所によっては私の胸丈まで水が浸かる
うっかりすると体が持っていかれる
同じく風魔法で瘴気を集める 先程と同じようにカーライル様 集めた瘴気をぐいっと裂け目に突っ込む ごめん ごめんね
痛いよね 無理させてるよね
そして閉じる
歌は何故かモルダウの流れ いや何か気分で
ここも全部 全部綺麗になってしまえ!!
ヤケクソ感があったけれど一気にいけたようで 周りから歓声がかかった
ただ 用水路の中から歌ったからか まだ南地区全体モヤがある
少し落ち着いてもう一曲歌い 完全に浄化終了 うう 市民様がたの視線が痛い
カーライル様は西地区隊長へと同じ指示をして
「ツムギ まだ行けるか?東地区が残っている 中央を突っ切るぞ」
行かない選択肢は無いでしょ
「はい 行きます!」
アナがマントで身体を拭いてくれる
「だ 大丈夫だよアナ 汚れちゃう」
「これくらいしかできないのですから やらせてください!」
トマスリッド様は私の汚れた上着の代わりに自分の隊服のマントを被せてくれた
「私もこれくらいしかできないので」
馬達に水を飲ませたら
次の場所へ移動だ
ああなんか後ろでザワザワと
「聖女様だ」って言葉が聞こえる
できれば忘れて欲しい
東地区には一番程度が軽かった きっと魔法士さん達が頑張ってくれてたからだろう
「「「ムギ様!」」」
セラーレオ様はじめ みんなが希望の顔を向ける
「歪みの場所はどこかわかりますか?」
「はい 貴族街と一般街を分けてる塀の上です あちらです」
たしかに5Mくらいの高さの上に歪みがある ここからだと良く見えた
「木組み台を用意しますか?」
「いいえ 自分で行けます
カーライル様 これはそのまま閉じますから ひとりで行きます」
空間収納床を使って ひょい ひょいと
あの20Mの高さに比べたら なんて事はない
最後は修復からやってしまう
脈動は残っているけど 仕方ない 今後の課題だ
後は歌で仕上げ 高い場所からの方が音は効率よく広がる気がする
運がいいのかパワーアップしたのか はたまた火事場の馬鹿力というか
一回で全て浄化ができた
貴族街もやはり混乱してる 最後になってすみませんね
ただ ちょっとだけ 疲れたかも
よろよろと降りて行ったら
カーライル様が駆け上がって抱き留めてくれた
そうだ 早く手を治さなきゃ
もう 馬鹿馬鹿 魔法使えないくせに
ヒールで綺麗にする
そのあとステータスを確認する
HPが少なくて MPはまだいける 朝からの移動が響いてるな
「カーライル様」
「よくやったツムギ 家に戻るぞ」
「ダメ まだある」
「?」
「各区の急ぎの重病人だけでも治療しないと 疲れただけで魔力はまだ余裕あるから 連れてって」
「ダメだ お前に負担かかりすぎる」
「お願い 助けられる事はしたいの」
真っ直ぐにカーライル様を睨む
ごめん 心配なのはわかってるけど
このままじゃ後悔する
「急ぎの分だけだ」
「うん ありがとう」
リッツをトマスリッド様に任せて カーライル様の馬に乗せてもらう
西地区隊長の手腕は素晴らしく 症状別に部屋を分けられていた
「魔力の問題で時間の余裕がない人から治します 瘴気に当てられて意識が戻らないだけの人はまだ大丈夫です 他の重病人を見せてください」
手足の怪我などの程度の人たちは別部屋になっていて 押しつぶされて息が絶え絶えな人や頭の怪我などの人達が居る部屋へ通された
私は実はまだやったことないヒール
ーエリアハイヒールを前の聖女の残した魔法書から写していた
かなり魔力を使用するがここでやらずどこでやるのだ
ただ 加減は必要 魔力は使い切ってはダメ 自己治癒力で治るところまでやるんだ
『エリアハイヒール』
銀色の魔力は各重病人に覆い被さる
どうやら うまく行った
後はお医者に任せよう
少し立ちくらみする 視界が多少銀色にちらつくが意志の力で踏ん張る
「ツムギ!!」
「大丈夫です 次の地区に行きます」
フルMPなら屁でもないんだがなぁ
「隊長 ちょっと今日は他の方は難しいです 魔力回復したらすぐに来ますので」
「ああ 無理するな 警備隊詰所はこのまま病院とする」
更新時間が遅れました!




