103 愛馬リッツと変人の家に来たところから
複数話投稿です 順番にご注意ください
しばし浄化仕事から離れた話が続きます
ドガシャーン!バコッ!べシャン!
すごい 昨日とトラップの内容に変更がされてる お祖父様マメだな
大変申し訳ありませんがトラップは全て魔法 プロテクションで回避させていただきました
そして片付けは警備隊で培った技術でしておきました 掃除もしました
お祖父様は驚いた様子で
「毎回直すのも面倒だ 来る時は裏に回ってこい」
わーい 来てもいいというお墨付き いただきました!
「何の用だ」
「いえ 何かお手伝いあればと思いまして」
「特に何もない」
「あとは もしかして井戸掘りに興味があるのではないかと思いまして」
昨日 机の上に図面が引いてあった おそらく土を掘る物であろうと私は予想した
「まだ始めたばかりだ この辺りは別段水に困ってはおらん ただの趣味だ」
いや 始めたばかりって言う情報量ではないと思うぞ 素直じゃない
「すごく素敵な趣味だと思います だって上手くいけば旱魃の時に人を救いますから」
「この国ではな こんな井戸なぞ必要無い 魔法があるからな 緊急事態でも水魔法があれば何の問題もない」
「ー私の故郷は魔法使いが居りません
だから 灌漑工事や井戸掘りー治水に関して技術がすごく進んでいます
きっとここでもそういう土地はあると思います その為の技術開発はやるべきだと私は思いますよ」
「ふん 一丁前に言いおって」
「そうなんですよね 自分でも偉そうに言ってると自覚してます 実際に自分には大した知識はないのに」
そこで私は一枚の紙を出した
「知識はないけど情報はあるんです この図面見てもらえますか? 井戸掘りの器具の図面なんですが」
お祖父様 面倒そうに図面を見る
「なんだこれは 見たことない物だぞ」
「開発された地域の名前を取って 上総堀りと言います 魔法は要らなくて人力の足踏みで地面を掘るんです」
昨日 自前スマホの所蔵本に特集があった事を思い出して 夜のうちに図面を紙に写してみたものである
「まぁ 土魔法士や水魔法士がいらっしゃれば何の役にも立たないんですけどね
しかも私も実際に見たこと無いので参考になればくらいなんですけど」
お祖父様は
「いや...面白いな これであれば少ない力でも少しずつ掘り進める事ができるんではないのか?」
「そうですね ただ 失敗例もありますから過剰に期待されると困るんですけど」
スマホにある文章情報を図面に書き足していく 私には専門用語がわからないのだが お祖父様は理解ができるようだ 流石!
ひと息ついたところで
「そろそろ本邸に戻りますね また明日お邪魔します」
「ふん 勝手にしろ だからといってお前を認めたわけじゃない」
「わかってますよ あ そういえば お酒を試されました?」
お祖父様の目がちょっと煌めいた
「...あれは 何処の酒だ」
ふっふっふっふ かかったな
「作った場所はわからないのですが 買ったのは東領地の市場です 米のお酒なのでデラキで作ってると踏んでるんですが まだ行く時間がなくて...」
「まだあるなら置いていけ」
「嬉しい 私も好きなお酒なんです 明日持ってきますね!」
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翌日
「こんにちはー」
今度は裏手の作業場から入る
お祖父様は道具の手入れをしているところだった
「米酒はどうした」
「あは 早速ですか ええと はい 一升瓶しかなくて 一気に飲まないでくださいね 体悪くしちゃいます」
お祖父様はしっかと一升瓶を持ち上げる
「あとはツマミなんですけど フレッシュチーズを味噌漬けにしたんです ちびちび飲む時にはちょうどいいのでどうでしょう? お味見してもらえます?」
あ よく考えたら この人は貴族様
「す すみません 先に毒味しますね」
お祖父様は
「かまわん よこせ」
味噌チーズを小さなスプーンにちょっとだけすくったものを持っていく
目がくわッと一瞬開き
「なんだ...この 塩っぱくて酸っぱく甘いものは」
「味噌は米や大豆から作った調味料ですね 私はこの量を口に含んで冷酒を一杯いただけます」
「冷やすのか」
「お好みですけど お酒は冬はあっためて飲んだりします 味噌はお気に召されなければ 持ち帰りますので」
「いやいい 置いていけ」
よし お酒の好みは工場のおじさん達と同じだ!
それにしても やはりこの作業場はすごい 眺めている私をお祖父様は
「触ってみたいとか思わないのか」
「思いますよ でも これは職人の大切な道具です 私が簡単に扱っていいものではありません」
お祖父様何も言わず
「だってこの鉈の刃だって磨いた後にちゃんと椿油で被膜をさせてますよね 人が触ったら そこから錆びちゃいます
それに自分の道具は自分できちんと管理するものですから 他人に触らせたくないと思います」
共同道具は別だけど
「父君が大工と言ったな」
「はい でも子供には甘くて いくらでも触らせてくれましたけど 使い方などたくさん教えてくれました」
「やはり貴族の軍人の嫁には向いてないな」
それを言われるとぐうの音も出ない
「そうですね でもカーライル様が...す 好きなので なるべく努力しようと思ってます」
照れるーー普段なら言わないぞ
お祖父様は
「昨日の図面で不明なところがある
説明しろ」
「あ はい」
特集の内容と図面の写し間違いなどを話してその日も普通に帰った
少しは仲良くなれたかな
陳列された工具を見ると心躍ります




