プロローグ
《これは以前の垢で掲載していた「今日からはじめる悪役令嬢」のリメイクとなります。かなり展開が変わりましたが前の文章を残して欲しいというリクエストにより4話までは婚約破棄されません。》
先に言っておこう。
アリス=シアトル公爵令嬢は特に何も悪いことはしていない。
確かに婚約者に歩み寄る女性達を牽制こそしたもののそれは注意止まりであって嫌がらせ等はしなかった。
王族の血を引く婚約者に恥じないよう幼い頃から英才教育を受け、たゆまぬ努力で容姿を磨き、齢18にして完成された女性として貴族学院に君臨していたのだ。
しかし最近の事。
まぁ見た目はフワフワとした可愛らしい女子生徒が入学してきた。男爵の娘ながらアリスの婚約者に手を出したことが問題なのである。
うるっとした丸い瞳にカールが効いた赤茶の髪、はにかむような笑顔、全てが男の庇護欲をそそるペディア=シャラグスは貴族学院の上位にいる男どもを尽く篭絡し、貴族のマナーをぶち壊すかの如く独自のルールを敷いて行った。
自分から挨拶をする、名乗る、口を開けて笑う、芝生に寝っ転がる。
貴族としては考えられない行動だが男どもは無邪気として片付け、篭絡された。馬鹿かお前らは。
しかし君臨するアリスはそのペディアを避けられなかった。本来ならばかかわらないのが吉であるこのタイプだがアリスは君臨する者として学園内でマナー違反を犯したものを窘める必要があったのだ。だからちゃんと避けずに接し、自らの義務を果たした。
その結果がコレである。
「酷いわアリス様!私の事はどう仰られようと平気です!所詮は庶民の家庭から引き取られた娘ですもの!ですが義母や義父を蔑むようなお言葉は納得出来ません!」